第1章 第3話 オライオンside ~変形機構搭載型地上戦闘用Head〈アイ〉(後)~
長らくお待たせしました!どうぞ!
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「…電圧良し、油圧良し。タービン回転数上昇。温度、正常値を維持。トランスフォーメーションコグ、動作正常。起動シーケンス、プラクティスモードで起動。システム、オールグリーン。」
新品の革椅子の臭いと油の臭いが混ざりあった嫌な臭いを漂わせたコックピットに私、セレッサ=クルーウは搭乗していた。
「クルーウ訓練兵。準備はいいか?」
「ハッ!準備、完了しております。」
現在私はアフレイド帝国「五重壁」の第五の壁内の出撃ゲートに待機していた。この五重壁は10km間隔で展開されており、我々はこの壁が作られて以来、敵からの被害はある事を除けば一件も無くなったという。
突然だが、私はどうしても新品の革椅子の臭い、もしくは油の臭いにどうしても吐き気がしてしまう。
私達…今は1人しかいないが、私達第39期訓練兵団は5年前の入団式の翌日に第二次逆神戦争で私以外は「全滅」してしまった。創造神オライオン。元々はこの惑星オライオンの創造神であり全人類から崇められる対象だった。だが、その崇められる筈の対象は、異常気象を起こして作物を枯らす、酸の雨を降らせる、街が何個も消えた等、被害は図り知れない。。ひどい例では、大陸が2つ程消し飛んだという。そんな中、直接攻撃を喰らって消し飛んだ者。飛ばした岩石を喰らって蜂の巣になった者。割れた地面に引きずり込まれた者。様々な死に方を私は目撃した。ただ見ることしか出来なかった。
「クルーウ訓練兵。今回の任務は総統閣下がご覧になられている。失敗は許されんと思え。」
「了解。」
私は操作レバーに手を掛けた。
第二次逆神戦争が終わり、訓練兵の中で唯一生き残った私を待っていたのは、国民や上官達からの激しい称賛の嵐だった。よく生き残った、まさに奇跡だ、等他にも言われた。「サバイバー(奇跡の生還者)」とも呼ばれていたな。
ハッ、何が奇跡の生還者だ。笑わせる。そんなモノ、こちらには何の慰めにもならないというのに。
…今回の任務は変形機構搭載型地上戦闘用Headアイ(以下はアイと呼称)の戦闘データをとるため、大型の野獣を討伐する事である。大型の野獣、それは…
「クルーウ、来たぞ。気を抜くなよ。」
「了解。」
全長5mの黄金の尻尾の複数生えた狐である。第二次逆神戦争後に急激に被害を拡大させている。この狐を調べようにも討伐すれば蒸発?してしまうので、どこの場所に生息しているかがわからないのだ。
カ ッ カ ッ カ ッ
独特の鳴き声で鳴いている。音を分かりやすく例えるのであれば、硬い床の上をヒールで歩いている時のような音だ。
「よし。ゲート、開放。」
「了解。変形コード入力完了。トランスフォーメーション開始。」
私はアイを人形から四輪の自動車に変形させた。モデルは軍用の装甲車なんだそうだ。
車両形態に変形させたアイをどうするか?そんな事分かりきっているだろう。
「うおぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!!」
奴等を轢き殺す為だ!相手は三体!一匹位は仕留めれる!
それに合わせて狐どももこちらに突進し始めた。バカめ!
グシャボキッ
鮮血が飛び散りアイの灰色の装甲を紅く濡らす。タイヤの溝には肉がこびりつき、装甲には飛び出した腸やら脳やらが引っ掛かっていた。そんなグロテスクな画だが、こいつらの死体はすぐに蒸発するのですぐに新品に戻った。
後2体か。この調子ならすぐに終わるだr…
〈エマージェンシーエマージェンシー、車軸に異常発生。エマージェンシーエマージェンシー…〉
何!?車軸だと…ッ!ま、まさか…さっきの突進は…。
「狙いは車軸か!?」
しかし、何故「車軸」が破損したのだろうか。
さっきので被害を被るとすれば前面装甲だろう。
「…!こ、これは!」
地面に転がっているものを見て、私は驚愕した。
「小型の爆弾だと!?バカな、奴等にこんなものを製造するような知能は無いはず…!」
マズイ。このアイは変形機能を実現する為装甲を最低限まで減らしている。お陰で紙のような防御力になってしまった。つまり一撃でも喰らえば致命的ということ…。
「ははは…。嘘だろう?この私がたった一匹の狐に脚を取られる…だと?」
※
目を覚ませば、そこは電脳空間だった。普通なら、そんなの嘘に決まってる、と言われると思う。だけど、今の状況から考えてそれは無いと思う。実際、身体があるという感覚はあるけど手足は固定されているように動かなくて、視力はあるけど、嗅覚、聴力が失われ、発声が出来ない。
私の名前は「神代 鮮美」。ごく普通の中学校のごく普通の中学生。
「はぁ…。なんでこんな事になったんだろう…。」
今の私にはここに来る直前の記憶が無い。何か衝撃的な事が起きたような…。
「…あれ?何か動けるようになった?」
急に手足が動くようになった!?
「うわ眩し!目が、目が~!」
今度は目が見えるようになった!?すると、ここは本当に地球なのだろうか。と、疑う位に素晴らしく綺麗な景色がそこに広がっていた。
「す、すご…。」
しばらく空いた口が塞がらなかった。すると。
「ちょ、勝手に脚が!ちょ、と、止まらない~!」
さっきから一体何だっての!?そして遠目にとても綺麗な狐が見えた。だけどそれは私に混乱をもたらした。
「え…?尻尾が何本も生えてる…?しかも大きい。4~5mはあるかしら?」
すると、巨大狐達がこちらに全速力で近づいてきた。
「え。ちょちょ。避けないと轢かれちゃうよ!というか私が避けられない~!」
ぶつかる!
グシャボキッ
…は?ひ、轢いた。轢いてしまった。殺した。殺してしまった。私は、何を…ッ!何をしたッ!
刹那、股関節辺りが激痛に襲われる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁッッッ!痛いィ!」
私はただ、激痛に悶えるしか出来なかった。
※
「だが、まだ終わらない!勝負はここからだ!」
やめてよ。
「ライフルでも喰らってろぉぉッ!」
その銃しまってよ。やめて。撃たないで。
「ハハハハハハハハ!!!一匹!どうしたどうした!お前らそんなもんじゃないだろう!」
私の「身体」で、
「ハハハハハハハハ!!!ハハハハハハハハ!!!どうしたよ!もう終わりかつまんねぇなおい?」
命を奪わないでよ…!
お読み頂きありがとうございました。次回もご期待下さい。




