prologue~書き始め~
久々の投稿。
連載できるかも怪しいものである。駄文等は勘弁願いたい。
昔のある文豪の本で、恥の多い人生を送ってきたという書き始めがある。
そのフレーズを聞いたとき、この人は人生というものを愛しているがゆえに絶望してしまったのだろうと感じた。以降それを僕の人生の基本に置いてきた。結局、それで失うことが多かった。後悔もあった。でも、そのどれもが素晴らしいものだった。
僕は、手に入れては失い、手に入れては失い、獲得と喪失を繰り返してきた。手に入れては、その温かみとありがたさを、失ったときは悲しみと絶望を、心に穴ができてはそれを埋めてそしてまた穴を掘る。結局心の傷が消えることはない。代わりのもので埋めるしかないのだ。
僕は、控えめに言って、つまらない人間だ。
趣味が多いが特技はない。趣味があっても、特別のめりこめるような趣味を持っているわけではない。読書、音楽を聴く、テレビを見たり、ゲームをしたり、インドア派の趣味が多いがそこまで変わったものがあるわけでもなし、趣味が特技と被るわけでもない。
他人を無駄に傷つけることもないが、他人に愛情を振りまくこともできない。いつも愛想笑いを浮かべ人と一定の距離を取ろうとした。そうすれば無駄に傷つくことはないと無意識にわかっていたのかもしれない。今思えば、悲しい人間だったようなに気がする。大抵の人にはそれで通じたが、どういうわけか僕の周りには一定の距離以上に近づいてくる人が必ずいた。それも、かなりの変わり者だ。ヤンキーと呼ばれる人、文学少女、ハーフの少女、いたずら好きの男の子、口下手な女の子、いろいろな人が僕に接してきた。最初はさほど興味なんてなかった。いつも通りの愛想笑いで受け流そうとしたが、どういうわけかそれでは振りほどけないどころか、逆に僕により一層かかわってきた。気づけば僕はそんな彼らとの時間を共にしていた。
これは、そんな僕のお話し。
書き始め、完