【1話:狂った世界へ誘われる】
俺が見たものは黒い服の男に、老婆が射殺
されている姿だった。
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地には滴る真紅の血液、眩み歪む視界。
俺はここで死ぬのだろうか。
万物は死して光が絶たれ、永遠に終わる事の無い
漆黒の闇が訪れる……。
次に目を覚ますと そこは見覚えのない暖炉があった。
『……ここは…?』
俺は誰かに助けられたのだろうか…?
力が入らない足で部屋の奥にある扉へ向かうが閉まっている。
かなり古い家なのだろうか、煉瓦の壁はひび割れ、クモの巣が
あり、雰囲気はかなり悪い、暖炉が無ければ視界は確保
する事は出来ないであろう…。
すると扉が軋む音をたて 突然開いた。
『!?……誰だッ!』
後ろを振り返ると 見知らぬ人間が立っていた。
手には赤黒い液体がこびりついた異型の刃物を持っていた。
『……また産まれた様だなァ?始末するようかねェ……』
フードを被った鼻の長い人間は目で確認出来ない速さで
俺の背後に移動してきた。
『(なんだコイツ!?)』
そんなことを考える暇もなくホコリが溜まった床に
血が流れた、だがその血は俺の血ではない。
恐る恐る上を見ると フードを被った人間は
これまた異型の刃物で串刺しにされていた。
『……ッゴぁァっ…ザリオラの連中が…生意気なぁ…!』
その声には生気は無かった、そう言い残すと人間は
床へ倒れこんだ。
それと同時に倒れた人間の後ろに立っていた
男の姿が見えた。
『……お前も くたばったのか?まぁそりゃそうだろうけど』
……は?何を言うんだこの男は?俺はこの通り生きている。
『ふん、まあ理解できないのも無理はないな』
いやいや…理解できるわけないだろ、大丈夫かコイツ。
『自己紹介が遅れた、俺はルーラスだ、よろしくな、新人』
新人だと…!?何の話だ?そういえば
この死んだ奴がザリオラの連中とか言ってたな。
ザリオラとは聞いた事がある、死者の魂の檻と
昔何かの本で見た気がする……。
その死者の魂で生前に偉業を残した者が
生まれ変われるとか……そのザリオラだろうか?
『ああ、そのザリオラだ、よく知ってるな、話が早い』
嘘だろ?心が見透かされてるとでも言うのか……?
『カンが鋭いようだ君は、君の心の声は全てお見通しだ
だが一つ、下界では死者をまとめる所という印象を
持たれているようだな…ザリオラについて…
大方あってはいるが 死者の檻というよりも
死者が抗う世界…と言ったところかな?』
『ち、ちょっと待ってくれ!何なんださっきから!
ザリオラとか死者の檻だとか…俺は何でここにいる!?
ここは何なんだ!あんたは一体誰なんだ!』
くっ……コイツ……死者の檻だと?馬鹿にしてるのか……!?
ムカつく……ブッ飛ばしてやる!
『死者の檻ではない、死者の世界だと言って…』
『うるせェ!俺はこの通り生きてんだろ!いい加減にしr』
……ドォンッッ……!!
ぐ あ ぁっっ……!!
突然鳴り響く銃声、男が持っているのは特殊な
装飾が施された銃。
そこから放たれた銃弾が俺の左胸を直撃した。
『(…死ぬの…か 俺は……!ちくしょう……!)』
そう思い ふと胸を見ると
……何故だ?出血していない…どういうことだ!?確かに今
俺はコイツが撃った銃で心臓を貫かれたはずじゃ……
『いやぁすまないw君、俺の事殴ろうとしたでしょw
ちょっと大人しくしてくれないと上の者に怒られるし…ね?』
……ね?じゃねぇぇぇぇぇ!本当にふざけてるのかコイツは!
一発ぶん殴らないと気がすまねぇ!
そう思い立ち上がろうとすると 部屋の外から
子供の泣き声がした。
『!?な、なんだ!?外で何が……!』
そう思い 立とうとすると足に力が入らず俺は床に倒れた。
『またか…君はそこで大人しくしていろ!すぐ戻る!』
そう言いながらルーラスという男は外へ駆けていった。
『この野郎!待ちやがれ……っ!』
俺は役にたたない足を引きずりながらルーラスを追った。
外に出た俺が見たものは まさに地獄だった。
謎の黒いフード付きの服を身にまとい、暗い紫の
バッヂのようなものを胸につけた男に老婆が
射殺されている姿だった。
…なんなんだこの世界は……
『おばあちゃあぁぁん!おばあちゃあぁぁん!』
泣き叫ぶ女の子、黒服の男が嫌そうな顔をして
その子供を射殺したのだ、近くにいた俺とルーラスは
帰り血が浴びた。
『うっ……うわぁぁぁッッ!』
帰り血が顔に付いた、生暖かい血液が顔を流れる。
俺の悲鳴と同時にルーラスと黒服の2人がこちらを向いた。
『お前!部屋に居ろと言ったろ!?』
そう言っているルーラスの言葉は耳に入らなかった。
何故なら黒服の男の持つ銃は俺に向けられていたからだ。
『けっ!ガキがァ!死ねェ!』
そういうと銃口から銃弾が撃ち出された
だが、俺に痛みは無かった。
『うぐぁぁ……!』
ルーラス!?なんでお前が撃たれてるんだ!?
『ルーラス!どうしたんだ!』
『どうしたって…お前に死なれちゃ 俺が困るんだよ…!』
そういうとルーラスは傷口の血で素早い指の動きで
地面に魔法陣を描いた。
『…ラヴァル……ヘラ……ズ……!』
そう唱えると前方にいた男達を爆風が襲った
『……し…………少年……お前は……ゴホッ!ゴホッ!』
ルーラスは倒れた。
『ルーラス!?何故俺を初対面の俺を助けたんだ!ルーラス!』
この世界はなにかが狂っている、明らかに
理不尽過ぎではないだろうか?
俺は何故こんな世界居るのだろう、俺という存在は
一体どこの世界へ来てしまったのだろうか……。
~END~
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