ステップ1
未来学園。
その名を知らない者は今の日本にはいないだろう...。
日本政府公認で都市を丸々一つ改造して造られたその学校は、日本全土からある種の才能を持った天才が集められ、すべての年代で最高の環境と最高の設備・最高の指導者から最高の教育が受けられる。 多くの天才がこの学校から生まれ、数年のうちそれらを中心に日本は目覚しい進歩を遂げ、先進的かつ柔軟、誰もが想像しないような取り組みにより大きな変化を遂げていった。 この学校の卒業生は各分野の天才であり、今では日本のみならず世界の中枢でも活躍しており未来学園の名はブランド化されつつある。
だがそれは表向きの姿であって本当のところは隠されている。
その姿とは・・・
~~未来学園地下迷宮7階層~~
浅黒い緑の肌をした一つ目巨人が、手に持った丸太のような木の棒を振りかぶりフルスイング。
ブォーン!!
凄まじい風きり音と共に迫り来る攻撃を、間一髪の所で後ろに飛んで避ける俺。
一つ目巨人・・・サイクロプスは薄ら笑いを浮かべ、武器である木の棒を肩に担ぎその巨体を揺らしながら俺との距離をゆっくりと詰めてくる。
下層域と呼ばれる迷宮10階層までには、出現するはずのない中層域の魔物だ。 その体は鋼のように硬く、ボデービルダーのような重厚な筋肉の鎧で覆われていて、並大抵の刃物や銃器では傷をつける事さえ難しい。
現に俺の手に持っている武器、ガンズブレードの剣先は半ばから折れて使い物にならなくなってしまっている。
「んにゃろう。 完全に俺のこと格下にみてなめくさりやがって...とは言ったものの、どうしたもんかねぇ・・」
俺は腰に着けたポーチに手を入れると中身を確認する。
「通常弾が1セット(6発)に炸裂弾1発か...終わってんなこれ...」
「ウォーーーーーン!!」
サイクロプスが両手を上げて吼える。
まさか、下層域でサイクロプスと出くわすなど思ってもいなかったので、碌な装備も道具も持ち歩いていない。
その状態で彼これもう30分は戦闘を繰り広げている。
戦況はご覧のとおりで、奴は無傷俺は慢心創意と言ってもいい状態だ・・。
だが、死ぬつもりはない。
俺は、剣と銃が一体となった短剣型のガンズブレードを両手に握りしめサイクロプスと相対する。
サイクロプスは片足を上げ踏みつけ攻撃にうつる。
「っ! くらえ!」
ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! ドン!
横に飛んで踏みつけをかわし、サイクロプス目掛け銃弾を打ち込むが硬い皮膚に弾かれダメージを与えることは出来ない。
反撃とばかりに、サイクロプスは手に持つ木の棒で横薙ぎに払う。
「くっ!」
ガンズブレードを体の前で×の字に交差し直撃を防ぐが、
「がはっ!」
体ごと弾き飛ばされ、背中から後方の壁に激しく叩きつけられる。
体からジンジンと痛みが伝わり、ミシミシと骨が軋む音が・・・。
「..いっつ.....骨の数本持ってかれたなこりゃ....」
その間にもサイクロプスは俺の方にその巨体を向け近づいてくる。
ピンチでる。
こんな時、物語の主人公なら凄い力に覚醒してこのピンチを切り抜けるんだろうけど・・・。
「仕方ないよな・・・」
そんな都合のいい事が起こるわけもなかった。
「...うっく、いっつー...こりゃ奥の手使わないと無理っぽいなぁ..武器が壊れるからホントは使いたくないんだけど・・」
痛みに顔を歪めながら立ち上がり、腰のポーチから炸裂弾を取だし弾を込めサイロプスに向けて構える。
「一つ目野郎、この一撃で勝負だぜ」
サイクロプスは棍棒を振りかぶり、渾身の力を込め振り下ろす。
「怒れる弾丸よ その激しき怒りで彼の者を喰らい尽くせ! バーストレールガン!」
ガンズブレードの出力を暴走爆発させ、高出力・光速の速度で弾丸を打ち出す。
ガンズブレードの銃口から金色の光と共に放たれた弾丸が、一直線にサイクロプスへと向かう。
サイクロプスは棍棒で防ごうとするが、弾丸が棍棒に触れると弾丸は棍棒を貫通、大穴を開けその後ろのサイクロプスを襲う。
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
着弾と同時に炸裂弾が弾け大規模爆発を起こす。
爆風で吹き飛ばされないよう踏ん張り、獏煙で立ち込めた煙が晴れるのを待つ。
煙が晴れると、首から上を吹き飛ばされた真っ黒に焦げ上がったサクロプスの姿があった。
「ふぅ~ 流石は中層域の魔物、装備全損でやっとかよ」
手に持ったガンズブレードは暴発によって銃口から弾け飛び、俺の手にはグリップであった部分だけが握られていた。
「ま、命があっただけ良しとしますか...いっつつ、こりゃ帰ったらしばらくはカプセル行きだな...」
左腕に着けられた装置を起動し俺は地上へと帰還するのだった。




