~朝の一時~
久しぶりの更新です
ピピピピッピピピピッピピ…
カチャッ
「………」
何だか妙に気怠い
理由は…まぁ大体は検討がつく、昨日の生徒会のせいだろう。
結局あのあと親睦会だ、と騒ぎだした副会長に近くのファミレスへと連行され、転校生に良くある質問攻め(主に雅先輩から)が続いた。お陰で帰宅したのが夜の8時、健全なる高校生にしては少し遅いだろう。
「うわぁ、学校行きたくねぇ」
どうせまた副会長に引っ張り回されるのが目に見えてるし…
「よし!休もう!」
「なに一人言言ってんの、兄貴」
「うおッ!?」
扉の前には我が妹サマが立って、こちらを見ていた
「早く降りてきてよね、朝ごはん出来てるんだから」
「日向!お前は、いつも言ってんだろ!ノックを…」
「はいはい、分かりました。とにかく早く降りてきて」
ガチャッ
そう言い残し、妹は部屋から出ていった。
まったく、昔はもっと可愛いげがあったってのに…
「はぁ…」
仕方なく、学校へ行く準備を始める。
ズボン、ワイシャツ、ネクタイ、ブレザーと着こんでいく。
そして寝グセでえらいことになっている髪を鏡の前で整える。
「よし、こんなもんか」
髪を自分で納得がいく状態にし、いつも通り鞄を持ち階段を降りる。
時計を確認すると8時5分、丁度良い位の時間だ。
「ふぁあああ…」
ガチャッ
情けなく欠伸をしながら、リビングの扉を開ける。
だが、納得いかない。昨日は確かにかなり早めに寝たはずだ。しかし今の俺の状態は睡眠時間2~3時間の奴の状態だ。
折角、深夜帯という高校生にとって貴重な時間を犠牲にしてまで寝たんだぞ?あまりにも酷すぎるだろ?
「あんた、ただでさえ目付き悪いんだから眠そうにしないの、更に目付き悪くなるわよ」
「お袋、少し言葉には気を付けてくれ、気にしてんだから」
確かに俺は目付きが悪い、何と言うかツリ目だ
加えて寝不足の際には更にグレードアップされた目付きの悪さになる。
それと朝は頗る機嫌が悪い、何と言うかこの世の全てが恨めしく思えてくる、理由眠いから。
「家なら良いけど、学校ではやめてよね。友達に、お兄さん怖いねとか言われたく無いから」
妹による追撃を受け、更に気怠さが増幅する。
というかやめてくれ、これ以上眠い上にイライラさせないでくれ…
「はいはい、分かりました」
適当に返事を済ませ、朝食に手をつける
時刻8時15分、少し急いだ方が良さそうだ。
♪~♪♪♪~♪♪~♪
「………」
ダラダラと通学路を歩く俺は耳にイヤホンをはめ、好きなアーティストの最新曲を聞きながら登校中だ。
因みに隣には誰もいない。
妹は?とか聞くなよ?あの年で朝から「お兄ちゃん!一緒に学校行こう♪」なんて言うわけないだろ?
寧ろ俺の方が「一緒に行くか?」と聞いても「兄貴目付き悪いしヤダ」と一撃必殺の攻撃を受けて終わりだ。そんな自分を甚振る様なドMの様な行為は御免である。
「はぁ~」
あぁ、やべ、考えただけで心が痛い…
「朝から随分と大きなため息だねぇ」
「うおっ!」
突然掛けてきた声の主に驚く
「やっほ~、おはよう彼方くん」
「相馬先輩ですか、驚かせないで下さいよ…」
ごめんごめんと反省した様子の無い謝罪が帰ってくる。
「ふーむ、やっぱり君のステータス間違えて無いと思うんだけどなぁ」
「ふむふむ」とか「でもやはり」とか一人でボソボソと呟いてる相馬先輩に付いていけず、話を変えることにした。
「ところで相馬先輩は毎朝この時間に登校してるんですか?」
「ん?私?うーん、まぁ日によるかな~眠かったり寒かったりするといっつも遅刻ギリギリまで寝てるし、逆に夏場は暑いから目が覚めて早めに学校に行くね~」
「へぇ~、何か自由な感じで猫みたいですね」
個人的に俺がこの先輩に抱いたイメージは一言で言って「猫」だ。理由は行動がいつも自由気ままであるからだ。
その内、この人の頭から耳が生えて「何か猫になっちゃった」なんて言われてもあまり驚かない気がする。
「同じ事を奏に言われた~」
なんと、戀塚先輩とは気が合いそうだ
「ところで、このままだと私たち遅刻しちゃうよ?」
「え?」
時計を確認する
「8時25分!?やべぇ!!相馬先輩!走りましょう!」
「お、この私に走りましょうとは随分挑戦的だねぇ」
「何を訳の…」
その瞬間、ビュンと俺の横を風が吹き抜けた
「は?」
「おーい、置いて行くよ~」
声の方に目を向けると、20メートルくらい先に相馬先輩がいた。
ってか、早すぎだろ!
「ちょっ…先輩!早すぎッス!」
「あははー♪」
結局、相馬先輩には追い付けずに学校に到着した。
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「ふぁ~」
「随分とデカイ欠伸だな」
「しかたねーだろ、眠いもんは眠いんだから」
クラスに入って席に着くと同時に欠伸をした俺に話しかけてきたのは、どこのクラスにも一人はいるであろうムードメーカー的な存在である平賀晃太であった。
こいつは転入当日に開口一番、自己紹介もすっ飛ばし俺にメアド教えてと話しかけてきてメアドを交換した人物で、恐らくクラスでは一番話すであろう人間だ。
「一体何時に寝たんだよ?」
「うーん、10時くらい?」
「十分寝てんじゃねーか」
「俺は基本的に12時間は睡眠したい人間なんだよ」
「寝過ぎだろ、ナマケモノか少しは我慢して動けよ」
「おいおい、言い方が悪いぞ。欲望に忠実と言ってくれ」
「然程変わらねーじゃん」
若干呆れたように平賀は笑う
するとそこでガラガラッと扉を開けて入ってきたのは我がクラスの担任である、英語教師の……名前なんだっけ?まぁ、良いか
「おはようございます、さてHRを始める前に龍嵜くん」
「はい?」
突然、俺への指名が入り少々戸惑ったように返事をする。
「問題です、このクラスの担任である私の名前を答えなさい」
「はっ!?」
「持ち時間10秒、なお友達に利くのは禁止とします」
「はっ!?ちょっと!?」
「10、9、8 …」
慌てて周りを見渡すとクラスメイトからは苦笑いが返ってきた。
その間にもカウントダウンは進んでいく
成る程自分で頑張れと……
えーっと、確か転校初日に言ってた気がする……
「3、2、1、0!タイムアップー!」
無情のタイムアップ…と言うわけでもないが担任からの時間切れの一声
「スンマセン、分かんないッス」
こう言うのは正直に言うのが一番だろう、流石にこの担任も転校してきたばかりの俺を説教なんかはしてこないはずである
「秋山三咲ですっ!覚えておくように!そして答えられなかった罰として後で次の授業に使うプリントを取りに職員室に一緒に来てもらいます!」
酷いもんだ、転校したばかりの人間に問題だして分からなかったから雑用とは…
「はぁ、了解です」
渋々、了承した。




