第二話~相変わらずツイてねェな~
「畜生め、毎度の事ながらツイてないな…」
昨晩に転校先の学校への登校を控えた俺だったのだが。
朝、起床する時間が思いのほか早く、時間には余裕を持って行けるななんて思い、俺にしてはツイてると若干気分が良かったのだが…野犬に追われたせいで学校から真反対の方向に来てしまった…
「最初から遅刻とか、どんだけ俺、度胸あんだよ…」
っと、そう言えば自己紹介をしてなかったな?
俺の名前は龍嵜彼方、自分で言うのもなんだが、ごくごく平凡な男子高校生である。
親の都合上、地元だった北海道を離れ東京に引っ越してきたばかりである、まぁ、小さい頃にここに住んではいたらしいが…(母親談)転校先の学校への初登校がまさかこんな形になろうとは、誰も予想しなかっただろう。
これで、パン咥えた女子とぶつかってでもみろ。どこぞのマンガキャラだ。
しかし、こんな現実逃避をしていても時を刻む時計は何の狂いもなく進んでいく、そろそろ行動しなければ本格的に遅刻してしまうだろう。
「しゃあねェ、走るか…」
そうぼやき目的の高校へ向け駆け出す。
………………………………
「走れば、意外と何とかなるモンだな」
そう思ったのは、走りはじめてから十分程した頃だった。
思ったより、学校への距離は短くものの十分で学校の校門が見える場所まで来た。
そこから歩くと大きな時計台が特徴的な、これから俺が通うことになる学校、柏木学園が眼前に広がって来る。
周りを見渡すと広大な敷地面積を誇る学園の設備が目に入る、グラウンド場、剣道場、体育館、テニスコートに野球場、そのすべてが学園内に納まってしまっているのだから驚きだ。
校門をくぐると、この学園の制服に身を包んだ生徒が次々と登校してくる。
そして、登校してくる生徒の殆どが俺を見て不思議そうな顔をして通り過ぎて行く。
俺が来ているのは前の学園の制服であり、この学園の白い制服とは真反対の真っ黒なブレザーを着込んでいるのだ、まぁ無理もないだろう。
そんなことはさておき、とりあえずはこの学校の職員室に行かないとな。
そうでもしねェとクラスすら分からん、つーか職員室が校舎にあるって事ぐらいしかまだ分からんし場所なんて以ての外なんだが…でもまぁ何とかなんだろ、細かい事気にしてても埒があかねェ。という訳で職員室のある校舎まで歩みを進めると、左腕に「会長」と書かれた腕章をした女生徒が校舎の入り口に立っていた。恐らく、腕章をつけていると言うことはこの学校の生徒会長なんだろう。
(そーだ、あの人に聞けば職員室なんか一発だろ)
「スンマセーン、そこの腕章付けてる人~」
そう言いながら俺は彼女の肩に手を伸ばす。
この行為を後に俺がどれ程悔むことになるか、今の俺は知る由も無い。
ヒュッ
空を切る音
その瞬間、俺の視界には眼前に居たはずの女性徒の姿はなく雲の浮く青空が広がっていた。
気付くと俺の体は宙を舞っていた。
もちろん、地球上の生物は重力に縛られており人間も例外では無い…
ドサッ!!
「ガハッ!!?」
直後、背中に訪れる衝撃
「なんだ?貴様は?」
…これが俺、龍嵜彼方と生徒会長、虎沢悠月の初コンタクトだった…




