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第3章
白い満月に照らされた庭で仁王立ちのまま、舞台口上のような長男の伯父の叫びが、あたりにまで風に震えながら響くと、縁側や仏間から固唾をのんで見守っていた兄弟たちからすすり泣きが聞こえてきた。
すると今まで縁側に膝をついて見守っていた二男の未亡人たるお嫁さんが、急に立ち上がるとなんと裸足のまま庭を横切るように走り出した。驚いたまわりの女兄弟たちが、やはり慌てて裸足のまま後を追ったのだが……
二男のお嫁さんは、甘美な果実の匂いが漂う桃の果樹園の真ん中あたりで、 ──豊かな実の神聖な1本の桃の樹に隠れて── 白い野うさぎのようにうずくまって泣きつづけていた。今度は母も、他の女兄弟と一緒に彼女を取り囲みともに肩を抱き合った。彼女らみなの月明かりに白く浮かぶ素足は、血が滲んで痛々しかった。




