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第七章 もう、いい

ロイ=ウェルの第七章です。

リリーはマーシャルを裏切り、追い詰めます。

追い詰められたマーシャルは絶望と失望に襲われ…。

最悪な判断がもたらしたものを、是非読んでいただければと思います。お楽しみ頂ければ幸いです。

 「…え?」と、マーシャルは小さな声で言った。驚きのあまり、上手くリリーが言ったことを飲み込めなかった。今、リリーはなんて…?僕が、名前のない女王にロイ=ウェルのことを聞いた…?僕が、閉めなかった…?そして、リリーが話したことを理解しきると、必死になって叫んだ。

「違うよ!僕はそんなことしてない!」

「さっさと認めなさいよ。あんたしかロイ=ウェルに行ったことを認めてるのはいないのよ。行かなきゃ知らないような情報を、あんたはずいぶん沢山知ってるじゃない」と、リリーは問い詰めた。

「それは、エルフに教わったんだよ!」マーシャルは必死になって否定した。「やめないかお前達!リリー、責めてばかりなのも大概にしなさい!!」と、ビリーが言ったが、リリーは止まらなかった。

「どうだか!それに、あんたはあの梟頭がどこを通って来たか知ってた。閉めるように言われて、すぐに駆け出していたじゃない。それは、あんたがあの時ロイ=ウェルに繋がるのがどこか知ってて、自分が閉め忘れたのを分かってたからでしょう!家のルールを守れないやつなんて信用できないわ」と、リリーはやり込めた。

「違う…だってあの時…ロイ=ウェルから戻って最後に出たのはリリーだったじゃないか…!」とマーシャルは言った。悔しくて悲しくて、訳が分からなかった。とうとう、マーシャルは昂った沢山の感情を抑えきれずに泣き出した。けれど、リリーはさらに容赦なく、ビリー達に向かって言った。

「ねぇ、私がもし本当にロイ=ウェルに行ったことがあるなら、みんなに話して回ると思わないこと?」

 それを聞いたエリーとマリーは、確かにその通りだと思った。もし、リリーがどこか異世界に行ったのだとしたらーそれが選ばれた者しか行けないような世界ならなおさらー自分達に自慢してくるに違いなかった。けれど、リリーが自慢してくることは無かった。リリーが名前のない女王陛下への忠誠心に駆られて、普段と異なる行為をしているのを二人は知らず、リリーの勢いに押され、段々とマーシャルを怪しむようになっていた。まさか、本当にマーシャルが悪者に…。ルールを忘れて…。

 その視線を、マーシャルは敏感に感じ取った。マーシャルはしばらくは何か言おうとしたが、やがて諦めて言った。瞳には、絶望や失望が現れていた。

「もう、いい」冷たい声でマーシャルは言った。あまりの冷たさに、本当にマーシャルが発したものなのか最初誰にも分からなかった。が、マーシャルは同じ冷たさで、続けた。「信じられないなら、別にいい。僕を家族や親切にしてくれた者を危険に晒すようなやつだと思いたいなら、ずっとそう思っておけよ。お父さん、庇ってくれて…僕を家族にしてくれて…ありがとうございました。けど、もうお別れです。こんな姉さん達より、きっと僕はロイ=ウェルの住民の方が好きです。僕はロイ=ウェルに行って、エルフを助けに行きます。そして、もう戻りません」一息でそう言うと、マーシャルは部屋を出て行こうとした。

 最後に、マーシャルは振り向いてリリーを見つめてこう言い残した。

「君が蓋を閉めなかったのも、名前のない女王に色々話したことも、君が正直に認めたんなら僕は味方しなかった。どうなるかなんて、君は知る由もなかったんだものね?でも…君は僕を味方にしたくないんだね」

 そう言うと、マーシャルは出て行った。そして、この日以降、二度と姉妹の前に現れようとしなかった。

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