第六章 最悪な判断
ロイ=ウェルの第六章です。
今回の章では、ロイ=ウェルと屋敷の関係などが判明します。また、リリーがマーシャルのことを…。
気になる方は是非読んでください。お楽しみ頂ければ幸いです☆
私の書斎においで、とビリーは四姉弟を集めた。書斎の椅子に座ったビリーは、横並びとなった四人に対して、ゆっくりと話し始めた。
「ありがとう、おかげで私やこの世界は救われたよ」
その口ぶりから、少なくとも父は自分達よりも、外からやって来たやつについてや、ここでは無い世界について知っているのだろうと、四人は悟った。
「君たちが知ってるのはどんなことだい?」とビリーは尋ねた。それに対して答えたのは、マーシャルだった。静かに、思い出しながらマーシャルは答えた。「向こうで、エルフに教わりました。この屋敷の開けられるものを、向こうの世界ーロイ=ウェルが選んだ子が開けたら、ロイ=ウェルに行けます。決まりの場所から行けるわけではないので、いつでも好きに行けるわけではありません。ロイ=ウェルは、扉の先にあって、長い間名前のない女王に支配されて暗闇に包まれています。選ばれた五人の人間がロイ=ウェルに集えば、悪の時代が終わると言い伝えがありますが、すでに過去に一人、名前のない女王の命令ですでに殺されていて、言い伝えは終わっています」
ビリーは頷いた。「そう、その通り。秘密にしていて、悪かったね。ロイ=ウェルのことは、この屋敷の後継ぎにのみ、大人になってから伝えるのが伝統なのだよ。遠い昔に、ロイ=ウェルに選ばれた子が、そこで殺され、私達一族はその子の家族から、この屋敷を買い取ったのだ。その時に、ロイ=ウェルについて教わり、後継ぎだけが語り継ぐようにしたのだ。わざわざ人殺しのいる世界と屋敷が繋がることがあると、家族みんなに伝えて怖がらせたくもないし、悪の時代が終わる条件が満たされてないのに、ロイ=ウェルが誰かを選び、こちらの世界の人間を導くことなんてもうしないだろうから、知らなくても何の問題もないと考えてね。現に、今まで長い間、繋がることはなかったのだし」
「この屋敷で、開けたものは閉めなくてはならないのは、ロ…なんとかから何も来ないようにですか?」と、マリーが怖がりながら小さな声で話した。恐ろしい世界と自分の家が繋がっているのなら、もしかしたらさっきの梟頭のような化け物が、聞き耳を立てて潜んでいるのではと思ったからだった。
「さよう。もしかしたら、ロイ=ウェルのことを知らされてない誰かが何かを開けた際、ロイ=ウェルに繋がってしまう可能性が絶対にないとは言えない。その時に、扉を閉めずに行ったら、ロイ=ウェルの方からさっきのやつのような化け物が出て来て、屋敷の人間、それから更に他の屋敷以外の人間まで襲ってしまうかもしれない。だから、開けたものは必ず閉めるよう、家族に言っていたのだよ」
それを聞いた四人は、震え上がった。ついさっき、化け物がビリーを殺そうとしていたことを思い出したからである。次に、エリーが質問をした。
「あの、出て来た奴も、繋がっているのを閉めたら帰るんですか?」
「ああ、元々違う世界の存在だからな。繋がっている間しか、あっちの生き物はこちらにはいられないのだよ」と、ビリーは答えた。
その返事を聞いた後に、またマーシャルは話し出した。「すみません、あの梟頭が最後に言い残したことについてなんですが…」リリーはビクッとして固まってしまった。自分も何を言っていたか知っていたからである。
「あの梟頭、帰る最後に気になることを言ってたんです」と、マーシャルは続けて言った。「この屋敷の人間を全員殺して、最後に火をつけるように指示されたけどしくじったと…。あのエルフのように、ボロボロにされるって…。僕は、ロイ=ウェルでエルフに会いましたが、この屋敷のことや、自分以外の人間については話しませんでした。なのに、あいつはこの屋敷のことや、屋敷にロイ=ウェルに来た人間以外がいると知っていました。それに、あいつはエルフのことも話していましたが、多分そのエルフは僕が会ったエルフです。そのエルフに僕は二回会っててー今日が二回目ですーそのエルフがこちらへ帰るのを手伝ってくれたりしてたんです。でも、二回目に行った時、一回目に僕を帰らせたのはバレてなくて、エルフは無事で、それなのにあいつはエルフがボロボロになったとか言ってて…誰かがエルフのことを、あの梟頭に指示を出したやつー多分名前のない女王にー話しているんじゃないかと思うんです。この屋敷の人間のことも含めて…」
そう言いながら、マーシャルはリリーのことを見つめた。自分じゃないのなら、リリーしか向こうに行っていないのだし、リリーでは無いかと聡明なマーシャルは話しているうちに気づいたのである。マーシャルの視線に、ビリーやエリー達も気がついた。
もちろん、リリーも気づいていた。ただ、ここで認めたくなんかなかった。みんなに責められたくなかったし、自分が女王陛下の味方だとバレることが嫌だった。そうしたら、みんなは女王陛下に会いに行こうとしなくなるだろう。リリーは必死に頭を回転させた。そもそも、あの梟頭に命令したのが女王陛下か分からないではないか。女王陛下は私達を歓迎したいと言っていたのだし、きっと悪い人なんかじゃない。歓迎したいなんて言ってるのに、殺すよう命令するなんておかしいし、期待に応えられるように、私は姉さんやマーシャルを連れてお城に行かなくちゃいけない。何なら、お城に連れて行った際に女王陛下に助けを求めれば良い!そしたら、女王陛下の言うようにみんなを連れていけて女王陛下を喜ばせることが出来るし、みんなも助かって何の問題もないわ。
かわいそうに、リリーは名前のない女王が、人間が殺されるのならば、リリーがみんなを連れて来た時でも(時間の流れ方が異なる為、早く来られることもロイ=ウェルでは可能性があった)、梟人間がリリーに開けさせたままにしていた鍋から出た時でもどっちでも良いと思っていたのを知らずに、一途に女王陛下の命令を叶えることと、自分や女王陛下は間違えていないということのみを考え続けていた。そして、その考えのもと、リリーは最悪の決断をし、実行した。リリーは、まっすぐにマーシャルを見つめ、それからビリー達の方を向いて、高らかにこう言った。それは、マーシャルを裏切る行為だった。
「私は、ロイ=ウェルに行ったことなんてないわ。みんな、騙されないで。姉さん達、私がロイ=ウェルのことを話したことなんてないわよね?でも、マーシャルは行ったと自分から言ってたわよね、それも二回も!色々ロイ=ウェルについて知ってるみたいだし、それを教わった人が、名前のない女王なんでしょう?あんた、私に罪を押し付けようとしてるのね。そもそも、みんなを今日危険に晒したのはマーシャルなのよ。だって、閉め忘れたの、マーシャルなんですもの」




