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第十九章 リュフナの決戦

ロイ=ウェル第十九章です。

ついに、名前のない女王達との最終決戦です!

次回で物語完結予定です。最後まで楽しんで頂ければ幸いです☆

 リュフナの戦況は酷かった。数多くの仲間が負傷し、死んでもいた。エルキヴァードが人間として蘇った代わりに、伝説である絶対王、ラススヴェートが死に、加護が無くなったからである。

 加護が無くなったことに、一同は絶望した。名前のない女王の軍勢に襲撃をされた際、一同は名前のない女王から、ラススヴェートの死を告げられた。信じられない面々に、名前のない女王は仲間を一人殺すことで、それが事実と証明してみせた。

 ラススヴェートも居らず、どこに行ったのかマーシャルとエリーもいない。一つの伝説は死に、もう一つの伝説は更に条件を満たしていなかった。そんな状況に、戦士達は諦めようとした。そんな戦士達を奮い立たせたのは、リリーだった。リリーは、勇敢にも自分に襲いかかって来た敵を血の剣で切り朽ちさせ、みんなに言った。「私達は負けてない!諦めて戦わないのと、諦めずに戦うの、どっちが勝利に近いと思うの!」

 それを皮切りに、戦士達は勇気を出して戦い始めた。特に、リリーとマリーの戦いぶりは凄まじく、自らの血の剣でもって、数多くの敵を朽ちさせていった。ただ、ずっとロイ=ウェルを支配してきた名前のない女王達の力はやはり強力で、加護もない中での戦いでは、やはり武が悪かった。

 すごい速さで味方が死んでいった。次は自分の番じゃないかと思いながら、一同は戦い続けた。勝つ為に戦っていたが、だんだんと理由は変わって行った。絶対に勝てないような状況の中、ただ死ぬのが怖くて嫌で、敵を倒して、少しでも死を遠ざけたくて戦っていたのだ。ただ、死への怯えは剣や弓に迷いを生み、余計死が近づいた。誰もが勝利を信じられず、ただただ感情と命が蹂躙されて行った。

 そんな中に、突然、空から三人の子どもが降りて来たのだ。最初、戦士達は新手の敵かと身構えた。よく見ると、三人の内の二人は見慣れた存在ーマーシャルとエリーだった。二人を見た戦士達は、戦力が増えたことに喜び、名前のない女王は舌打ちをした。リリーとマリーの健闘はすさまじく、名前のない女王の味方達も大勢死んでいたのだ。これで、伝説が四人になってしまったではないか…!だが、もっと嫌な予感がする。何か、良くないことが起こっている。あの黒髪の子どもは誰だ?いや、顔に見覚えがある…あれは…。

「お前は、ラススヴェートではないか!」と、名前のない女王が叫んだ。「なぜだ!お前は確かに私の手で殺したはず…!」

 それを聞いた黒髪の子どもは答えた。「ああ、確かにあんたに殺されたよ。けど、遠い昔にロイ=ウェルと契約したんだ、ラススヴェートとして死んだ後に、人間として蘇るようにと。…あんた、僕のこの姿に、もっと見覚えがないか?」それを聞いた名前のない女王は、古い記憶が蘇るのを感じた。エルフに殺させた子どもは、目の前にいる子どもと同じ顔をしていた。まさか…いや、確かに!

「お前はロイ=ウェルが選んだ最初の子、エルキヴァードではないか!」と、名前のない女王は叫んだ。マリーとリリー、そして名前のない女王の配下を含む全てのロイ=ウェルの民達が驚愕した。死んだはずの最初の子が現れ、伝説が条件を満たしたのである!

 その事実は、戦士達に勇気を再び与え、名前のない女王達に恐怖を与えた。それでも、名前のない女王は配下達に命令した。「人間どもを全員殺せ!血に触れさえしなければいいだけだ!」

 命令を受けた配下達は、マーシャル達に襲いかかった。マーシャル達は、血の剣で配下達を切り付け、刺した。ふと、マーシャルは敵の攻撃を交わすエルキヴァードの方を見た。そういえば、エルキヴァードは、何も武器を持っていない。自分達には、エルキヴァードがラススヴェートだった時に作ってくれた血の剣があるが、エルキヴァードは無いのだろうか?マーシャルは、エルキヴァードを襲う敵を倒し、お礼を言ってくるエルキヴァードに尋ねた。

「ね、エルキヴァード。血の剣はあるのかい?」

 それを聞いたエルキヴァードは、にっこりと笑って言った。「いや、無いよ」

「はぁ!?なんで無いんだよ!」とマーシャル。

「いやいや、少し前まで僕、ラススヴェートだったんだよ?ラススヴェートの時は人間じゃ無いから、人間の血の剣作れないし。エルキヴァードとして蘇ったから、人間にはなったけど、もう血の剣を作れる力は無いし…」

「人間に戻った後、名前のない女王をどう倒すのか、ロイ=ウェルと話してないの!」マーシャルは必死にエルキヴァードを守りながら聞いた。エルキヴァードは首を振って言った。「なーんも話してない」

「詰めとけよ、そこら辺も!」とマーシャルは叫んだ。なんで巧妙に死だとか捏造してるのに、一番大事なところで詰めが甘いのだ!マーシャルは怒り、エルキヴァードを睨みつけ、ついでにロイ=ウェルも睨もうと、とりあえず空を睨んだ(国を睨むのにどこが適切か分からなかったからだ)。

「そんな怒るなって。策ならあるから」と、エルキヴァードは言った。「僕が名前のない女王に抱きついて動きを止めるから、君達四人は僕諸共、四方から血の剣で女王を刺せばいい。そしたら、五人分の人間の血が女王に触れて、殺せる。まぁ僕も死ぬけど、本来、僕は死んでいるべき存在だし」

 まるで、最初から決めていたように、エルキヴァードは答えた。その言葉や瞳には、様々な国の民を救って来た絶対王としての、威厳や覚悟があった。それを聞いたマーシャルは、エルキヴァードはやはり絶対王だと感じた。そして、絶対に死なせたくないとも感じた。もう彼は二回もロイ=ウェルの為に死んだのだ。

 マーシャルは、必死になってエルキヴァードが死なない方法を考えた。そして、ある方法を思いつき、姉達を呼んだ。人間達五人は計画を共有し、実行することにした。

 名前のない女王達や、ロイ=ウェルの民達は驚いた。突然、マーシャル、エリー、マリー、リリーの四人が、エルキヴァードを血の剣で斬ったからだ。名前のない女王は、仲間割れをしたのかと歓喜した。だが、それは長くは続かなかった。エルキヴァードを切ったマーシャル、エリー、マリー、リリーの四人が走り出し、四方から彼女をエルキヴァードを切った血の剣で刺したからである。

「ギャァァァァァ!」身体が朽ち始めた名前のない女王は叫んだ。彼女が朽ち始めると、彼女から作られた配下達も、名前のない女王を残して一斉に朽ちて行った。名前のない女王は朽ちながら、自分を取り囲む四人の間から、自分の方に歩いてくるエルキヴァードを見た。彼の身体には四本の赤い線ーマーシャル達が血の剣を完璧に使いこなし、死にもしないしすぐに治るほどの浅さで切った傷があった。「畜生…!」それが、名前のない女王の最期の言葉だった。

「…かわいそうな奴だったな」エルキヴァードは名前のない女王が完全に消えると言った。「あいつには自分を最期まで見届けてくれる仲間も、最期に呼ばれる名前もなかったんだから」

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