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第十三章 光があったら

ロイ=ウェルの第十三章です。

マーシャル達は、ラススヴェートとの合流を目指します。お楽しみ頂ければ幸いです☆

 弓と弓矢を持ったスーが、扉前で「急いで出ましょう!」と言うと、マーシャル達はすぐに立ち上がり、スーのように扉前に集まったが、サーは大きな袋を集めて、スーに言った。「あなた、あのベーコンを取ってくださらない?お茶っ葉とお砂糖、あとマッチもいるわね。あとは誰が、あの隅にある壺から、あるだけパンを取ってきてください。フライパンとパン切りナイフ…は、武器と一緒の袋にしましょう」

「なにをしてるんですか!」とマリーが叫んだ。

「荷物を準備してるんですよ」とサーはそれぞれの袋に何が入っているか書きながら、落ち着いて答えた。

「武器も食べ物も無しで旅できないでしょう?」

「でも時間が…!」と焦ったそうにマリーは言った。「敵が来るかもしれないじゃないですか!」

「そんなに慌てることはないでしょう」とサーは言った。「よく考えてみてください。リリーは今さっきここから去っていったんですよ。あの子はまだ、女王にここのことを伝えられていないのだから、女王も女王の味方も、今すぐここになんて来られやしませんよ」

「たしかにそうですが、先を急いだ方が良くはありませんか?」とエリーは言った。「さっきのオークのように、私達を狙っているやつは国中にいるはずです。そいつらから逃げながら、暗闇の中で、どこにいるか分からないラススヴェートの元に行くのは時間がかかるに違いありません。だから早く行動しないと」

「それはまぁ、そうですね。けれど、ラススヴェートのいる場所を探すのは難しくはないと思いますよ」と、サーは言った。「ラススヴェートが近づくにつれて、ラススヴェートの私達への加護の力も強まります。あなた達がオークに殺されなかったという段階で、もうすでに近くには来ているはずです。ピンチになれば、ラススヴェートはまた助けてくださるでしょう。その時に、力を感じる方へ行けば良いのです」

「まさか、わざと危ない目にみなさんを遭わせる気か!」と、スーは叫んだ。

 そんなスーに、サーは袋を渡して言った。「いいえ?私が囮になります。この袋の中に、力を感知できる道具が入っています。今から私は外に出て、暗闇に潜む女王の味方達を人間を見つけたといっておびき出して倒します。久しぶりに女王陣営に楯突く者の登場ですし、躍起になってあいつらは私に向かってくるでしょう。その時にラススヴェートが助けてくれたら、ラススヴェートの力を感知して、その方に向かえば良いのですよ」サーは、落ち着き払って言った。それを聞いたスーは言った。

「私がその役を引き受けるよ、ラススヴェートの加護があるとはいえ、危険には変わりないんだから」

「あら、だから私が引き受けるのよ?」と、サーは笑って言った。「あなた、私に勝てたことがあった?」

 それを聞いたスーは苦々しげな顔をして黙り込んだが、サーの言う通りだったようで、深いため息をついてから「…それでは、任せるよ」と言った。

 サーは、戦闘の用意をした。彼女は剣士で、部屋の中から相棒の剣を持って来て腰に下げ、扉の前に来た。「では、行きましょうか。私が先に出ます。私が目立ち始めたら、スーに従って隙を見てここを抜け出し、ラススヴェートの所へ向かってください」と、サーはマーシャル達に言った。「また会いましょう」と、マーシャルは返した。

 それに頷くと、サーは扉を開けて外に出た。遠くの方で、サーが「ここに人間がいるぞ!」と叫ぶ声がし、しばらくすると剣同士がぶつかり合う音がした。それを聞いたスーは、マーシャル達の方を振り向いて言った。「ラススヴェートの方角が分かりました、さぁ、行きましょう!」

 スーに従い、マーシャル達は家を出た。来た時のように、裾を摘んでの列で、一同は暗闇の中を移動した。戦いの音が聞こえる中、自分達だけが絶対的に安全な所へ行くのは気が引けたが、自分達を想ってくれているエルフェル、スーやサーの想いに応えようと、マーシャル達は歩き続けた。

 どこに向かっているのか分からない暗闇を歩き続けるのは身体的にも心理的にも辛く、段々とマーシャル達には疲れが見え始めた。特に、エリーとマリーのそれは顕著で、転けそうになることが増えていった。 それを感じたスーは「少し休憩しましょう」と、苔が地面一体に生えた広場で提案した。喜ぶ元気は無かったが、三人は歓声を上げたいほど嬉しかった。苔は柔く、座り心地も寝心地も良かった。エリーとマリーは横になり、マーシャルとスーは座って足を伸ばした。やがてエリーとマリーは、すぐにウトウトし出し、眠そうな声を出した。それを聞いたマーシャルは二人を揺すった。

「ねぇ、二人とも寝ないでよ」と、マーシャルは叱った。それを聞いたエリーは何とか起きたが、マリーは夢の世界へ旅立って、寝息を立て始めた。「ごめんなさい、なんだかすごく眠くて…もしかしたら、もう夜なんじゃない?」とエリーが目を擦りながら言った。それに対してスーは応えた。「女王に支配されてから、この国はずっと暗闇ですから、今が朝なのか昼なのか夜なのか、全然分からないんです。昔は時計があったのですが、女王が全て回収したので、時間も我々は分からなくて…すみません、質問に答えられず」

 申し訳なさそうなスーの声を聞き、エリーは慌てて言った。「そんな、謝らないでください!悪いのは、女王なんですから!」それに続けて、マーシャルも言った。「そうですよ、スーさん。しかし、不便ですね。光があったら、今が夜か夜じゃないかくらいは分かるのに。早く女王の支配が終わって、光がロイ=ウェルに戻ると良いですね。光が戻ったら、何がしたいですか?」と、マーシャルは質問した。そうですね…とスーは目を閉じて考え始めた。その方が、頭の中で想像しやすかったからである。エリーやマーシャルも、自分達なら何がしたいかを同じように目を閉じて考えてみた。もしかしたらロイ=ウェルには無い素敵な案を提案できるかもしれないと想ったからだ。

 三人が目を瞑っていると、不意にマリーが寝ぼけた声で言い出した。「光があったら、あったかいねぇ…」そうだね、あったかいね…と、三人は目を閉じたまま思った。そして、三人同時に思った。なんだか、さっきよりもあたたかくないか?

 三人は一気に目を開けた。すると、眩しさで目が痛くなった。それが落ち着いてから、今度はゆっくりと目を開いた。辺りは光で溢れていて、美しい緑の苔の上を、光が戻ったことが嬉しい緑色の小鬼が走り回っていた。見上げると空は青く澄んでいて、そこをたくさんの妖精達が飛び交っていた。歓声を上げた三人は、マリーを叩き起こした。起こされたマリーは不機嫌そのものだったが、状況を理解すると、三人のように歓声を上げた。四人は手を繋いで輪になり、はしゃぎながらグルグルと回った。光が戻った!ラススヴェートが来たんだ!

 三人やロイ=ウェルの住民達が歓喜の叫びを上げていた頃、リリーも同じように叫んでいた。もっとも、彼女が叫んでいたのは全く異なる理由であったが…

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