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第一章 マーシャル、本棚を開ける

王道ファンタジーを目指しました。

ロイ=ウェルという、意思を持つ異世界が舞台です。

ロイ=ウェルに選ばれた四人の姉弟の冒険を、楽しんでもらえたらと思います。

 昔、ある古い屋敷にエリー、マリー、リリーという三姉妹が住んでいた。これから話す物語は、ある夏に三姉妹の元に、後継ぎとして分家からマーシャルという男の子が来たことから始まる。

 三姉妹が住んでいる屋敷は、村の奥まった場所にあるー最寄りの駅から10キロ、一番近い病院へも5キロはあるーいつから建っているのか村に知っている人が居ないほどの古い建物だった。その建物に、三姉妹は父と家政婦と一緒に住んでいた。母は早くに死んでおり、父が家政婦と協力しながら三姉妹を育てた。

 三姉妹の父であるビリーは、かなり歳をとっていて、お金がもったいないと言って、ある時期から髪を伸ばしっぱにしており、波打つ髪が体全体をすっぽりと包めるぐらいになっていた。マーシャルは一目みてビリーが好きになった。後継ぎとして来たマーシャルに対して、あれこれ厳しいことを言わないことも好ましかった。ただ、ビリーは、ある一つのことだけは何度も繰り返し言い聞かせてきた。

「いいかい、この屋敷ではあけたものはなんでもー扉でも、鍋の蓋でも、カーテンでもー絶対にしめること。それだけは絶対に守っておくれ」

 最初の晩、ビリーの言い聞かせが済んだ後に、三姉妹は弟を自分たちの部屋に招待し、改めて自己紹介をし、明日からのことを話しあった。

「夏休み前に来てくれて、嬉しいわ」

とエリーが言った。「私たちはこれから姉弟なんですもの。みんなで楽しく過ごしましょうね。きっと今までで一番良い夏になるわ」

「お父さんの言い聞かせには参ったでしょう。でも、それさえ守れば、基本的に私たちの好きに過ごしていいって方針なのよ。何をしようかしらね」とマリー。

「姉さんたちは能天気ね」とリリーが言った。彼女は特に家業を継ぎたいなどとは思っていなかったが、後継ぎとして今後大事にされるだろうマーシャルに嫉妬していた。「仲良くなれるかなんて分からないじゃない。いとことして会ったことも無かったのに、いきなり姉弟になったのよ。性別だって違うし」

「それが何か問題なの?」とマリーは言った。「あんたは、女としか仲良くやれないわけ?」

「そういうわけじゃないわよ」とリリーは言った。「ただ、マーシャル様に簡単に仲良くなれると勘違いして欲しくないだけ」

「うん、そうだね。仲良くなれるかは確かに分からない」とマーシャルは言った。「でも、僕はみんなに好きになってほしいし、みんなを好きにもなりたい」

「ならお互いを教えっこしましょう」とエリーが答えた。「時間はたくさんあるし、この家ではたくさんのことが出来るわ。周りは森だし、森には小川だってあるのよ。家にラジオやおもちゃもあるしね」

「図書室はあったりする?」とマーシャルは聞いた。こんなに大きな家なら、本だけの部屋もどこかに無いかと思ったのだ。マーシャルは無類の読書家で、この世にある空間で、図書室が一番好きだった。

「ああ、やっぱりあんた本が好きなの。人間の友達が居そうに見えないもん」とリリーは言った。

「友達はいるよ。本も友達ってだけさ」とマーシャルは答えた。

「図書室もあるわよ。部屋の中じゃ、一番広くて素敵よ。明日、案内してあげるわ。けどその前に、もし晴れたら先に森に行かない?森の小川はお魚も釣れるのよ。私たち、小川の近くに特製のかまどを作ってあるの。釣った魚をすぐに焼いたり揚げたりできるのよ。明日のお昼、是非ごちそうしたいわ」

「ありがとう!どっちも楽しみだ」とマーシャル。

「パンも持って行きましょう!」とマリー。

「荷物持ちはマーシャルね」とリリー。

 でも、翌朝は酷い雨降りで、雨でほとんど窓の外が見えないくらいだった。

「あんたが来た翌日が雨なんてね」とリリーが言った。四人はビリーと朝食を食べた後、食堂に残って今日やることを話し合っていた。

「あら、あんたはマーシャルが天候に影響を与えるほどの存在って思ってるのね?」とマリーが言った。「そんなすごい人が弟なんて誇らしいわね」

「お魚のランチは今度にしましょう。じゃあ、今日は家を案内するわね。図書室で読書しましょ」エリーは言った。

 みんなはこの案に賛成し、四人は食堂を出た。屋敷は終わりなんてあるのかと不安を覚えるくらいに広く、部屋もたくさんあった。綺麗に整理された客用寝室など普通の部屋もあったが、石だけが展示してある部屋や、ガラスが部屋の壁や天井に貼られた部屋など、大変魅力的な部屋もたくさんあった。そんな部屋を見るたびにマーシャルは興味を引かれたが、「家の部屋だと図書室が一番だから、ここはまた今度!」と三姉妹は図書室に急いでおり、マーシャルも何より本が好きなので、納得して後を追い続けた。

 しかし、次に訪れた部屋からマーシャルは動きたくなくなってしまった。その部屋は大きな扉付きの本棚が一つだけ置かれた殺風景な部屋で、三姉妹は一番つまらない場所と思っていたが、本を見つけると読むまで気が済まないマーシャルは、棚を開けて本が読みたくて堪らなかった。

「そこにある本は、全部図書室にもあるわよ」とリリーは言い、三姉妹はすぐに出て行ったーただ、マーシャルは動かなかった。彼は、せめて手に取って数ページだけでも読みたかったのだ。鍵が閉まっているかもしれないなと思いながらも、試しにマーシャルは本棚をあけてみた。

 すると、不思議なことが起こった。確かにあったはずの本が無くなり、扉の中が真っ暗な暗闇になったのだ。まるで物語に出てくる異世界の入口のように、暗闇はマーシャルの前にあり続けた。

 なんだ、これは。どこかに繋がっているのか? いつか読んだ物語のような現象に好奇心に駆られたマーシャルが中を覗くと、暗闇はずっと奥まで続いているようだった。マーシャルは怖さもあったが、暗闇の先を見たくて、本棚の中に入り込んだ。そして、中からゆっくりと本棚の扉をしめた。ビリーからの言い聞かせをマーシャルは忘れていなかった。この屋敷では、あけたものは絶対にしめなくてはならないのだ。

 もっと奥に進んでも、終わりは中々来なかった。終わりで顔などをぶつけないように、マーシャルは両腕を前に伸ばして歩き続けていたが、手には何も触れなかった。どこまで続くんだろう? 少しずつ暗闇に目が慣れていく中、マーシャルは慎重に進み続けた。

 すると、ついに手が何かに触れた。目を凝らすと、それはとても頑丈に出来た扉だった。マーシャルはその扉をあけて、またしめた。扉の先はまだ暗闇だったが、冷たい空気が感じられた。気づくとマーシャルは夜の森の中に立っていた。

 マーシャルは驚いたが、何よりも嬉しさがあった。まるで物語のような展開が、自分の人生で起きるとは思わなかった。こんな冒険なかなか出来ないぞ。これから先に起こりそうなことを、今まで読んだ物語を思い出しながら、ニマニマしながらマーシャルが考えていると、遠くに小さな光が見え、足音が近づいてくる音がした。光と足音が大きくなり、マーシャルの前に、奇妙な人物が姿を現した。

 彼はマーシャルより背が少し高く、暖かな火を灯したランプを持っていた。目の色は青色で、肌は透き通るほど白く、美しい金髪を短く刈り込んでいた。それだけなら人間で通ったが、尖ったとても長い耳を持っていた。

 彼は片手にランプを持っていたが、もう片方には美しい水晶を持っていた。水晶には、マーシャルの顔が浮かんでいた。この人物はエルフで、ランプを掲げ、マーシャルと水晶のマーシャルを見比べると驚いて飛び上がり、水晶を落として割ってしまった。

「ああ、なんてことだ!」エルフは泣きそうな声で叫んだ。

初めての投稿です。

お読みいただき、ありがとうございました!

マーシャルと三姉妹の冒険を、是非お楽しみください。

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