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2.なぜか、クラスのギャルは僕にだけ厳しい?

なぜか分からないけど、クラスのギャル――氷室凛さんは、僕にだけやけに厳しい気がする。

クラスで僕が仲良くしてるのは、二人。

一人は龍之介、明るくて誰とでもすぐに打ち解けるタイプの男の子。

もう一人は佐倉陽葵さん、ちょっと天然だけど、いつも笑顔で話しかけてくれる。

だけど氷室さんは……僕のこと、あんまり好きじゃないのかもしれない。

というか、理由も分からないのに、なぜか僕にだけ当たりが強いんだよなあ。




ある日の英語の授業中、すでに授業が始まっているのに、僕は龍之介と楽しくおしゃべりをしていた。

もちろん声を低くして、僕たちの席はちょうど教室の一番後ろの隅の席だから、他の人には影響がないだろうと思っている。

僕と龍之介は英語の授業が苦手だ。僕は元々勉強が得意じゃないし、彼は英語に興味がないからだ。

だから、自然とこうなった。

「それでさ、俺がドリブルでボールを渡して、エースのキャプテンにパスして……」

「おお!すごいね。」

龍之介は数日前のバスケ部と強豪校との練習試合の話をしている。

まだ二年生なのに、スタメンを勝ち取っているなんて、龍之介の実力には本当に感心する。

「それから、向こうの佐藤が速攻で巻き返そうとしたんだけど、俺がブロックして止めたんだ……」

「龍之介、あんた!授業中にこっそり話してるんじゃありません!立って答えなさい!」

楽しい時間はあっという間に過ぎ、興奮してつい声が大きくなった龍之介に、英語の先生が気づいてしまった。

「え、あの……」

龍之介は僕に助けを求めるように目を向ける。

黒板には「How old are you?」と書かれている。

(うーん、全然わかんない。)

僕は龍之介の目を見ないようにそっと顔を背ける。

…背後から龍之介の驚いた声が聞こえた。

ごめん、龍之介、でも僕もわからないんだよ!

「…I’m 16 years old.」

前の席の氷室が小さな声でヒントをくれた。

龍之介は少し驚いた後、自信満々の笑顔を浮かべて、

「I am 16 years old!」

「…正解です、座ってください。」

龍之介は得意げに腰を手でポンと叩いて、

周りからはささやき声が聞こえてくる。

「さすが龍之介!」

「授業を全然聞いてないのに答えられるなんて、かっこいい!」

…と、ほとんどが女の子の声だ。

「悠也!見たか、今の俺、マジでかっこよかった!」

「…あ、うん。」

(氷室のヒントのおかげでしょ!龍之介、ただそのまま答えただけじゃん!)

…ツッコミたかったけど、もう龍之介の熱血バカな性格には慣れてるから、何も言わずにおいた。

「ありがと、凜!」

龍之介も氷室に感謝の言葉を言う。

「……」

英語の先生に気づかれたくなかったのか、氷室は何も言わず、後ろに手を伸ばして「YA」のジェスチャーをしてくれた。

そして、僕たちはまたおしゃべりを続ける。

「…総志郎が下弦の七を使って、腹式呼吸・五之型、気を止めた!」

「おお!それ、超クラシックな技だ!」

今度は僕が龍之介に昨日見たアニメの話をしている。

「…でも、下弦の七が水鬼術・溺死でそれをかわした。」

「えぇ!?それ、必殺技じゃないか、悔しい!」

「急いで、紋逸が睡眠呼吸・一之型・瞇眼を使って、総志郎を守ったんだ…」

「白河君!授業中に静かにしてください!立って答えなさい!」

英語の先生がチョークを投げてきたが、当たらなかった。

「は、はい!」

僕は慌てて席を立つ。

(うっかり大きな声で話しすぎた…)

さっき龍之介が呼ばれて答えさせられたばかりなのに、僕もすぐに同じことをしてしまって、恥ずかしい。

今度、黒板に書かれているのは「What is your favorite color?」

まずい、全然わからない。

僕は隣の龍之介に助けを求める。

「うーん…」

でも、龍之介は顔を背けてしまう。

(なんだよ、龍之介、裏切り者!)

こんなこと言いつつ、僕もさっきのことがあったから、もう文句言えないけど。

「…My favorite color are gold.」

また、氷室が小さな声でヒントをくれた。

僕はしばらく呆然としていた。

そして、僕は龍之介がさっきしたように、自信満々に腰を突き出して答えた。

「My favorite color are gold!」

「間違い!」

「え、えぇ?!」

「colorは単数名詞だから、areじゃなくてisを使わないと!」

「えぇぇぇ?!」

英語の先生の反応は予想外だった。

前に座っていた氷室が少し振り返った。

「…生徒として、ちゃんと授業を受けるのは基本だよ?」

氷室は冗談めかして舌を出し、ニヤリと笑って言った。

(な、なにぃ!)

僕は完全に騙された!

氷室にしっかりとやられた!

氷室は再び前を向き、楽しそうに歌を口ずさみながら、ツインテールをリズムよく揺らしている。

「白河君、廊下で立ってなさい。」

「…本当にすみません。」

僕は英語の先生の処罰を受け入れ、素直に廊下で立たされる。

立ち去る前に、周りの友達が笑いを堪えているのを見た。

特に佐倉が顔を真っ赤にしている。

(…恥ずかしい。)


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