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15話 レイラ、幸せになる

「ふむ、完治と言って良いでしょう。あとは体力と筋力を戻すよう栄養のあるものをたくさん食べ、適度に運動をしていくことです」

「ありがとうございます先生。おかげで回復できました」

「いえいえ、それでは」


 ようやく、医務室から外へ出ることが許された。

 長かった……。

 予定よりは一ヶ月早い退院になったものの、二度と両親の仕業による巻き込み事故はごめんだ。

 まぁ、もうそのような心配もいらないのだけれど。


 先生と入れ替わるタイミングで医務室へガルアラム様が入ってきた。


「退院おめでとう」

「では、お願いします」

「あぁ……」


 私は立ち上がり、ガルアラム様の胸元へ飛び込んだ。

 ギュッと両腕で抱きしめられる。

 これを望んでいたため、私は死に物狂いで怪我の回復に専念していたのだ。

 ゆえに初めてギュッと抱きしめられた感覚は、一生忘れることなどないだろう。

 この先何度抱きしめられても、だ。


「ふふふふふふふふふふふふ♪」


「よしよし。本当に事故の件はすまなかった」

「もう謝らないでください。ガルアラム様の責任ではなかったではありませんか」


 以前みた嫌なユメのほとんどがそのとおりだった。

 元お父様の手下が仕組んだもので、ガルアラム様が誰かを事故死させて地位を落とさせるためのものだったらしい。

 偶然、私がその被害者になってしまっただけで、元お父様もさすがに驚いてしまったようで仕方なくガルアラム様の提案に乗っかったそうだ。


「最初から知っていたのでしょう?」

「まぁ、途中からではあったがそういうことだ。事故で俺を狙ったものか、レイラを狙っていたのかがわからなかった。だから意地でもレイラを引き留めておく必要があったのだよ」

「でも、意地張って帰るって言ったとき、必死に止めてくださったのは今でも嬉しいなって思っています」

「あれは引き止めておく云々ではなくてだな……」

「ふふ、ところで……。本当に平民になってしまった私でも良いのですか?」


 元お父様の悪事やガルアラム様を狙っていた件、そして私への仕打ちが全て公に広まった。

 貴族位剥奪のうえ、国外追放されることとなったため、伯爵邸にあった財産や私物は全て没収となっている。

 まぁ私の私物といってもボロボロになっている服しかないし、表向きには見栄えをよくするドレスが二着しかないし別に気にしていない。


「俺は好きになった者としか結婚する気など始めからなかった。たとえ今回の件で悪役令嬢という噂がさらに広まってしまったとしても、俺には関係のないことだ」


 ガルアラム様をより強くギュッと抱きしめた。


「私も同じです。たとえ周りからどんなに酷評を受けていても、今後は精一杯ガルアラム様に尽くし、汚名返上できるよう務めます」

「ん、んん……」


 ガルアラム様がどういうわけか浮かない表情をしていた。

 次期侯爵様のおそばに添い遂げるのだから、私の評判が最悪のままでは迷惑をかけてしまうから挽回するのは当然のことだと思うのだが……。


「どうして躊躇うのです?」

「いや……、ほら、レイラはとびきりに可愛いから……」

「ん?」

「貴族界にレイラの素晴らしさが伝わってしまえば、その分レイラのことをジロジロと見ようとする輩が現れるかもしれん……」


 どうやら、意外にも独占欲の強いお方だったらしい。

 むしろ、私にとっては嬉しくてたまらなかった。

 こんなに大事にされているんだなって思えば思うほど、ガルアラム様にギュッとする力もどんどん増していき……。


「ガルアラム様こそ……、今もなお交際の申し出の手紙が来るではありませんか。おあいこです。私だって妬きますから」

「だからこそ、早いうちに公開する。婚約前提で交際を始めたと、な」

「ありがとうございます。一生添い遂げます」


 これからは私の幸せな毎日が続くはずだ。

 ガルアラム様とともに。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

あらかじめ完結まで書いていたので、完走できてホッとしています。


最後に、新作のお知らせです。


『【連載版】「時間がかかりすぎ」だと使用人をクビにされましたが、クビにした伯爵家は崩壊がはじまりました〜公爵家の使用人任務では丁寧だと褒められます〜』

普段よりもガッツリです。

執筆に気合入れています笑。


ぜひよろしくお願いいたします。


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