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負け犬男と嘘つきな君。  作者: N-springgold
4/10

光と闇(1)

よろしくお願い致します。

朝8時、久しぶりにこんな早くに目が覚めた。まだ少し寝ぼけた頭でテレビをつける。相変わらず胸くそ悪くなる事件ばかりのニュースだらけ。結局アニメにチャンネルを変えた。


…少し目が覚めてきて思う。そう。昨日の『アレ』は何だったんだろう?

私自身もいじめにあっていたが、よく考えればああいうものはどこにでもあってどこにでもいる。彼らは匿名で、名前を告げられず死刑にもならない。

結局弱いものが弱いものを叩き人間は憂さを晴らすのだ。ならぱ関わるだけ無意味。


私は(君)からの電話には二度と出ないと決め、着信拒否までした…。


少し心が痛む?うずく?分からないがとにかくもう変なことに巻き込まれるのはうんざりだ。


そして私はまた今まで通り昼間から酒に酔い、仕事もせず、気持ちが切れたらまた死ねばいい、と完全に(君)に出会う前の負け犬クズ人生に戻ってしまっていた。あ、ちなみに今更だか私は昔、大規模な大震災に合い、家を失い死にかけた事がある。

ただ、その大震災の2、3ヶ月前から金銭的な面から餓死を望み体重が40キロを切っていた。

毎日空腹、それを避けるには寝るしかない。一日中寝ていた。

その時に起こった大震災、それの影響だろうか、その1ヶ月後、私は強烈な過呼吸とめまいに襲われ倒れた。救急車で運ばれ数日間の入院。


その間、とにかく検査、検査、検査である。が、脳波、耳鼻科、内科…全く異常が見つからない。

金銭的な面と、結果の分からない苛立ちに、私は『もう大丈夫』と嘘を言い半ば強引に退院した。それでもめまいや頭痛、信じられない視力や聴力の低下、そして、孤独、無力感は消えない。


そうしているうちに今年が終わりそうになっていた。…一体私が何をしたと言うのか?これはなんなのか?何も分からない


しかしそんなとき、脳神経外科にある場所を紹介された。

そこは、…精神科だった。


とりあえず予約をし、受診、と言うより私は何を思ったか、その精神科医に、自分の苦しみをありったけ口にした。

先生は意識と精神が明らかにおかしい私の話を真摯に聞いてくれた。

そして、『とりあえず筋肉注射をしましょう』と話、ケツに打たれた。

その後精神安定剤と抗うつ薬を処方された。


…正直私は精神安定剤に少し抵抗があった。なぜなら、よく昔、バラエティでギャグに『精神安定剤を下さい』などというものがあったからだ。

私は…『それ』なのか?


しかし症状が治まらない、日常生活すらままならない。

私は精神科医を信じ服用を始めることにした。


それから二週間ほど経ったか。驚くことに症状はかなり改善された。まだ少し、不安になると、症状は出るが倒れる程ではない。私は精神科医に、改めて感謝し、通院を決めた。

医者は『精神安定剤は不安や恐怖、ストレスから、体が緊張し体に無駄な力が入るがゆえに症状が出る、だから、その不安を抑え、体の緊張をとくためのもの』などと、分かりやすく説明してくれた。

うれしかった。何よりふざけたバラエティで、誤解をしていた自分を恥じた。

次にそんな地上波番組を見たら苦情電話かけてやる。


なんて、数年前の事を思いながらようやく体が楽になり、雪も降り始めいよいよ今年も終わりかと、物思いにふけっていると、高笑いする中学生くらいの集団とすれ違った。

部活帰りか?なんて悠長に通り過ぎようとした時、ある言葉が耳に飛び込んできた。


正直絶句した。


『あいつさぁ遺書にうちらのこと書いて死にやがった』『ふざけんなよ、マジで』『てめえが勝手にしんだんだろうが、俺らは殺してねえよ、くそボケが。』


『…。』


『…聞き覚えのある声、見覚えのある制服…』

『まさか、まさか!』


彼らは言葉を失いその場に立ち尽くす私をよそに高笑いしながら、まるで、その『死』が面白くて仕方ないかのように笑いながら、時に苛立ちながら話し、通り過ぎた…。


私はすぐに家に帰り嫌いな地上波番組、衛星放送のニュース、ネットまで調べたがどこにも載っていない。

『気のせいか?ちがうのか?あの時の彼じゃないのか?』


どうしようもない恐怖と不安、苛立ちにかられながら私は携帯に手を伸ばした。


…『確認、確認だけ、(君)とは二度と関わらないと決めた。だから…確認だけ。』


まるで誰かに言い訳するようにぶつぶつ言いながら着信拒否した番号に電話をかけた。


何度かコールがなり(君)が出た。


そして私が話を始める前に即座に話始めた。


『かかってくると思った、どう?精神安定剤は効いてる?』

少し明るい声で語る(君)

わたしはかなり感情的になりかなり大きな声を荒げてこういった。


『死んだのか?彼は。あの時の彼は!』

『だとしたらなぜ、ニュースになってない?なぜ同級生は笑いながら話をしているんだ?』


『あらぁそれはあなたの方が分かるんじゃなくて?彼らは真の犯罪者だと。』


私は言葉に詰まった。


それを見透かしたように(君)は言う。

『どうする?私を助ける気になった?』


私は迷わず答えた、いや、答えてしまった。


(君)を助ける云々じゃない!許せない、奴らも世の中も!


『んふふ、じゃ契約成立ね。もう二度と着信拒否なんかしちゃだめよ?明日また詳しく話すわ』


そう言うとあっさり切れた電話。

私はその携帯を握りしめ不思議な怒りに震えていた。



しかしこれが、私の本当の人生、戦いの始まりになることを私はちっとも分かっていなかった…。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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