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妹の悪巧みで妹いじめの罪で婚約破棄された姉の私は、断罪され冒険者にされましたわ、今魔物がたくさんのダンジョンに魔法使いとしておりますわ。それはなぜかというと…。

作者: 幸枝

「オークの肉ってうまいのかな」


「豚の味らしいですが」


「ふうん」


 私は今、どうしてこんなところにいるのでしょう? 剣士のトリスタンがオークにとどめを刺した後、食いたいなと見ています。


「食ってみようか?」


「毒があるらしいですからやめておいたほうが」


「そっか」


 冒険者というやつですか、私は今はそうですが、実は昔、といっても半年前まで侯爵令嬢であり、王太子の婚約者でした。

 どうしてダンジョンの最奥で剣士と二人でパーティーを組んで、魔物退治などをしているのか……。



『シャルロット・グラッセ、お前は妹のティーバをいじめた、その罪により婚約破棄をし、断罪する!』


 私は王太子殿下の婚約者でしたが、しかし妹をいじめた罪とやらで皆の前で断罪され、妹がその後釜に座るという出来事がありました。

 妹にいじめられていたのは私です。いつもあの子は私のものを借りますわといって勝手にもっていき、自分のものにしたのです。

 反対に私がしたこととされ、私は泥棒と言われて、妹にいままでの盗ったものを返すようにいわれました。

 ええ、そんなことできませんわ。


 金銭で返せといわれました、だがお父様から私は縁を切られ、お金など全くもっていない状態です。

 辺境送りにするかわりに、冒険者としてダンジョンに入れ、そしてその稼ぎで返金しろと言われまして……。


 魔法使いとしては火属性と癒しの属性がありましたので、攻撃と癒し手としては使えるということで……。剣士のトリスタンと組んで、ダンジョンに入る日々なのです。

 稼ぎはすべて王家に取り上げられております。


「……腹減ったな」


「干しいもならありますわ」


「でもシャルのじゃ」


「あげますわよ」


 トリスタンは元聖騎士でした。その口の悪さで、王族を侮辱したといわれ、騎士をはく奪されて、家からも追い出されたそうです。

 侮辱はしていないといいますが、確かに聞いたところ、王女が彼に言い寄り、それを断ったということで腹いせにされたことらしいので、やりそうなことだなと思いました。

 何か似た者同士の私たちでしたので、パーティーを組んでもやりやすかったのですわ。


「この奥に幻のアイテムとやらがあるのか」


「それさえあれば、すべてをつきつけて……自由になれますのよ!」


 ダンジョンの最奥にたどり着き、そして私たちはドラゴンの像を見上げていました。

 これって罠ですわよねえ。


「アイテムがありませんわ」


「あの像をどうにかすればいいのか」


「……下手にてだ、ってトリスタン!」


 像に触るトリスタン、どうしてこう考えなしですの、罠を解除する魔法は今は魔力が回復してないから使えませんのに!

 像が動き出して、そして炎を吐きました。


「ファイア・ウォール!」


「……すまん!」


 炎のブレスを私は防ぎました。でも魔力がほぼないので、何回も使えません。


「トリスタン、あと3回しか使えませんわ!」


「了解!」


 トリスタンは聖剣を構えたまま、竜に向かいます。本物ではなくて、作り物みたいですけど、ブレスの威力は本物に近いですわ。


「神よ、我が手に祝福を!」


「ファイア・ウォール!」


 炎のブレスを私が防ぎつつ、トリスタンの聖魔法と剣の攻撃であたります。でもこれってあと。


「竜の弱点は確か逆鱗だ!」


「作り物ですわよお!」


 龍の逆鱗とやらに剣を突き立てるトリスタン、ええ、まあ……竜がぎゃああと叫んで倒れたからよかったものの、それが弱点じゃなかったら私たち今頃……。



「お、おお、幻のアイテムといわれた、これは!」


「ダイヤですわ、確か昔の大魔導士、アレイスターが作り上げたという錬金術の集大成のブルーダイヤですわ!」


 大粒のブルーダイヤが竜が消えた先から現れました。これを売れば……。


「これって売れるのか?」


「あ、確かに売れるかどうかは……」


 そういえばブルーダイヤって、マジックアイテムでもありましたわよねえ、あ、いい方法がありますわ。私がニヤッと笑うと、トリスタンが怖いと身を引きます。


「その笑いやめてくれよ、シャル」


「……これさえあればああああ、アレイスターが付与したのは確かそうですわよお!」


 私は嬉しくなってきました。大笑いした後、あいつらに復讐をしてやれると笑うと、腹が減ったなあとまたトリスタンが言います。


「我慢なさい!」


「あ…う……」


 私はトリスタンを引きずって帰ります。ブルーダイヤ以外に良い宝物がなかったなあと彼がいいますが、いえこれだけで最高ですわよと笑うと、怖いからそれやめてとまた言われてしまいました。




「私はお姉さまにいじめられていませんわ、お姉さまのものを盗ったのは私ですの! お姉さまの首飾りもドレスも髪飾りも私のお部屋にありますわあ!」


 私は笑ってブルーダイヤを妹の前に見せました。そして「私、あなたの品物を泥棒しました? 嘘ですわよね」と声をかけたのです。

 ペラペラと妹が殿下の前で本当のことを白状しはじめます。


 ええブルーダイヤは秘密の暴露という魔法が付与されまして、これの前で質問すると嘘をつけず、本当のことを話してしまうのですわ。

 ああどうして忘れていたのでしょう、最初からこれを使えば!


 殿下がおろおろして、妹はこれまでの悪行を暴露しています。

 いい気味ですわ。



「でもさあ、シャル、侯爵令嬢に戻れたのに、どうしてまだ冒険者してるんだ?」


「まあ結構楽しいので」


「ふうん」


 私は今日もトリスタンと二人でダンジョンの中です。

 妹は悪行がばれて婚約破棄の上、辺境送り、私は身分が戻りました。殿下は女性不信になりいまだに婚約者の後釜が見つからないそうですわ。


 トリスタンって結構いい男ですわ。それに……優しいですし。


「トリスタン、どうして私とパーティーを組んでくれましたの?」


「魔法使いが欲しかったから」


「……」


「あと、お前が気に入ったから! 貴族のお嬢さんなのに冒険者でもなんでもやってやりますわよ。あなた私とパーティーを組みなさい! って命令されたのは生まれてはじめてで、面白い女だなって」


「……あの時は必死で悪かったですわよ」


「そういうところ好きだし、嫌いじゃない」


 トリスタンはにやりと笑います。ああ、こういう顔好きですわ。

 私は魔法を唱えます。

 私たちのダンジョンの日々はこれからも続きますわ。

お読みいただきありがとうございました!

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[一言] 稼ぎも戻った…んすよね…?(笑)
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