彼女!!
なべくんに告白!
果たして…。
私は体を勢いにあずけながら、階段を降りていく。
体が少し浮いたのがわかった。
二人の前にすっと姿を現すと二人が顔をあげた。
私の姿を見つけると、ミヨちゃんは笑顔で手を振った。
すばやく
「トモ、OKやよ。」
という。
ー OKってー! ー
私の胸は高鳴る。
天にも昇る気分だ。
「トモ、こっちおいで…。」
ミヨちゃんの言葉にドキッとする。
私はなべくんの前に立った。
「トモ、付き合ってもいいって…。交換日記から始めましょうって…。」
私は顔をあげて、彼の顔をチラッと見ると、下を向いた。
「本当に…?!」
心臓の音が彼に伝わらないか心配だ。
三人の沈黙の中、時間が過ぎていく。
止まることのない時が刻む数秒間…。
今、この瞬間から私となべくんは、彼氏と彼女になるんだ。
「今日からよろしくね。」
なべくんの声がかすかに聞こえた。
彼は振り返って私を見つめる。
私はうなずいた。
彼は照れくさくそうに手を首にやった。
「じゃあ、又、明日…。」
と立ち去っていく彼。
彼の後ろ姿が眩しかった。
ミヨちゃんは私の手をにぎった。
片方の手で私の頭を撫でた。
「良かったね。実はなっちゃんのところもうまくいきそうなんよ」
「えっーそうなん、良かった。」
私は今年で13歳だ。
自分の足でしっかりと歩きだしてる。
もっと自由に飛べるかもしれない。
「本当に良かった。ミヨちゃん、すごいね。ミヨちゃんがいなければ、今日という日はなかったわ。」
「私のおかげかな〜。」
「ありがとうね。」
彼女は目を細めてにっこりとした。
時間の流れゆっくりと感じる。
「さぁ!私達も帰ろうか…。なっちゃんも校門のところで待ってることだし…。」
二人でB棟の校舎を足早に出ていく。
日は傾き、夕日のオレンジ色の光が目に飛び込んできた。
でっかい太陽が見えた。
何か壮大な太陽が見えた。
壮大な自然の姿があった。
手で少し遮りながら、二人は夕日を見る。
心地よい風が頬を撫でる。
私は思わず、校庭を振り返る。
グランド内では、野球部員たちが列をなしてラインに沿って走っている。
かけ声をかけながら走っている。
それを見ながら、なべくんの立ち去る姿を思い出す。
少し無邪気だった彼…。
私はなべくんが好きだ。
私はこの瞬間を忘れないだろう。
足早に帰る彼女を追いかけて門の外に出たのだった。