道筋の第八話
無謀と勇気の違い。
無謀とは、恐れるものなく突っ込むこと。
勇気とは、恐れるものに立ち向かうこと。
このように文面で見ると明確に違うように感じるが、もっと根底の、元の場所には、違いなど無いのだ。
勇気も無謀も、守るためなのだ。
誇りを、友を、人生を。
必死で何かを守る者に、恐れを言うなど野暮も甚だしい。
守れ。無謀であっても、勇気であっても。
砦防衛戦
〜作戦概要〜
砦前に出没予定のゴブリン五小隊の討伐。
砦内にて各参加者集合の後、武器種混合中隊三隊に別れ、弓兵は砦上、剣兵・槍兵は砦下にて迎撃。
以上。
朝の砦内は、五十人ほどの人がそれぞれの武器を点検していた。ヒリヒリと肌が感じるほどの緊張した空気が全体を包んでいる。
受付を済ますと、上記が印字された紙を渡された。
「読んだな。質問は?」
カロスが手を上げる。
「ゴブリンとはどんなものなんですか?」
率直な質問に一瞬迷った後、すぐに口を開く。
「ゴブリンは、群れで行動する、動物よりは怪物だ。繁殖能力が非常に高く、また、知能はヒトの
五歳児ほどであると確認されている。主な武器は棍棒、見た目は浅黒い緑色だ。」
スラスラと言い終え、ミルズは懐から真新しい短剣を二本、取り出した。
「それぞれ腰にかけておけ。接近されたとき、せめてそれで少しでも抵抗しろ。相手に大した腕力はない。武器も棍棒で、一撃で殺されるほどでは無い。もし頭を直撃されたら、気絶する前に叫べ。危険を知らせるのが最優先だ。」
その後、ゴル(牛)の革のカバーがかかった短剣を渡し、
「準備しろ。終わり次第、砦上に上がって来い。」
と言うと、踵を返して階段に向かっていった。
残された二人は無言でいつもの赤銅鎧に身を包み、矢筒を背負い直し、弦を張る。最後に、短剣を腰にかける。
全ての準備が終わると、顔を見合わせて、ダイパがニヤリと笑いながら
「緊張、してるか?」
カロスも負けじと笑みを浮かべて
「そっちこそ」
と軽口を叩く。
なんせ、軽口でも叩き合っていなければ緊張で身体が動かなくなってしまいそうなのだ。
震える拳を沸かせ、立ち止まりそうな膝を鼓舞しながら、二人は砦上に上り始めた。