一歩目の第三話
前略
どうも、ボブです。
前話に引き続き楽しんでいってくれると幸いです
それでは、本文ですー
キサ伝記 冒険譚〜1〜 冒険者
むかしむかしのキサのこと。
二人の青年がいました。
一人は力持ちの大男。
勇気と優しさを持った立派な男でした。
一人は貧民街の世話焼き男。
生きるために必死で誰よりもタフな男でした。
二人はある時出会い、戦い、そして共に傷を負った後、世界中で一番力強く冒険しました。
それがキサに伝わる冒険譚の始まりでした。
そして、全ての冒険の祖となり、冒険者は皆、勇気と優しさと、必死な志を受け継いだのでした。
空は雲一つない快晴。
そんな空とは対象的に二人の気持ちはどんよりと沈んでいた。
「暑い・・・もう無理・・・」
「泣き言を言うなッ!」
「へーい・・・」
「返事はハイッだろう!」
「ハイッ!」
幾度となく繰り返したこの問答が始まる五時間前────
「あっ、あのぅ・・・」
遠慮がちに声をかけるカロスに、村長は
「分かっとる、お前ら弓なんか使ったことないんだろ?」
飄々とカロスの言いたいことを言ってのけた。
直後、ニヤニヤ笑いを浮かべながら、
「そんなことを言い出すと思って教鞭をとってくれる講師を呼んだ」
と言いながら二人から視線を外して奥の扉に向かって「お願いします」と声をかける。
「おいおいおい・・・これってYO・・・」
奥の扉から現れた鋭い切れ長の瞳に耳の上できつくまとめられた長い髪を揺らした、可愛いより美人と形容すべき女性がその桜色の唇に大きく息をため、
「私が今日からお前らの弓の基礎の基礎からを教えるミルズだッ!」
また波乱は訪れた様だった