表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空飛ぶスキルは僕の夢  作者: ほーらいたけ
6/7

暗雲立ち込める話

魔力切れとは体内にある魔力を体の動作を司るものを除き、ほぼ全てを使い切った状態であると女神が言っていた。


どうやらスキルの使用には基本的に魔力を使用するらしく《千里眼》とて例外ではないらしく、現在使用できない。


なので、この99%畑の村を今から地道に探さなければいけない。



「シノノメさん、魔力枯渇状態ではパワーもせいぜい「音を置き去りにする程度」まで低下します。喧嘩はしないでくださいね」


「多分、だとしても相手はミンチになるわ」



とりあえずぶらぶらと歩きまわりながら、一応見える限りで一番大きな家に歩いて行く。



「おい、ちょっといいか?」


「ダメです」


「いやいや! 歩けど歩けど家の大きさが変わんねーんだけど! 遠すぎ以前にあの家多分くそでけーぞ!」


「…………ですよね、ですよね! 確かに!」



ルーベルトも気付いていたようだ。昔のレースゲームを思い出す。仕組みがルームランナーみたいなやつ。


既に太陽は南天に登ってしまった。多分このペースだと夜になってしまう。



「シノノメさん、魔力はどの位回復しましたか?」


「全開の1000分の1といったところだな。《テレポート》1回分だな」


「もうそれで行きましょう」


「いや待て、《千里眼》無しは初めてだしどこに飛ぶか分からん。大丈夫か?」


「最悪方向さえあってればいいですよ! あんなとこまで歩きたくなーい、距離分からないけど!」



《魔力超回復》は浮遊魔力(大気中の魔力)を皮膚より取り込み、回復というよりも回収と言った方が正しいスキルだ。


超回復と言っても通常より、というだけで、完全に名前に負けている。



「じゃあ行くぞ!」



戻った魔力の8割を使い、その方向へ《テレポート》した。





次の瞬間、暖かい水の中にいた。ただ、足はつくし、すぐに立ち上がる。



「ぷはあ! 風呂かここは!」



周りを見渡すと、女神の土左衛門が横に見えた。が、それはどうでもいい。


ここはどこの風呂だ!


その時、戸が開く。ガラガラと音を立ててスライドする木製の戸はやがて、ガタンと音を立てて止まった。


そこには女の子の裸体があった。



「わー!」


「なんであなたが叫ぶんですかー!? てか誰ですかー!」


「ごめんなさい! とりあえず戸を閉めて! 隠してください!」


「そ、そうでした!」



今度はスパーンと音を立てて戸は閉まっ……てなく、反発で元の位置まで戻った。



「きゃー!」


「何やってんだバカー! もういい俺が閉める!」



一悶着あったが、無事天照大神ごっこは完了した。





今、俺と女神はあの風呂のあった建物の客間にいる。


無事あの建物には到達できたみたいだ。ただ、跳んだ場所は悪かったが。



「にしても、豪華絢爛とはこういうのっていう感じの建物ですね。あの報酬金額は中抜きされてそう」


「確かにな。まあでも一文無しに値100万円分の報酬はでかいし」


「そーですねー、相手がハーフドラゴンでなければですけど」


「お前が選んだんだろ!」



くそ、こいつ本気で腹が立つ!


その時、カタリとドアノブが鳴り、ドアが軋みながら開いた。



「お待たせしました、私はこの村の長、カーディと言います。 この度はクエストを受けていただき感謝いたします。 あのような報酬ではなかなか受けてもらえず、どうしようかと困っていたのです。 既に村の端からじわりじわりと瘴気で作物が枯れていっている。 何故、こんなこと、なかったのに……」



村長の顔は暗い。


聞く話によると上級の魔物は瘴気を垂れ流しているらしく、それが色々なものを枯らしているらしい。



「あー、深刻だと思うんだが、話しを先に進めたい。 いいですか?」


「す、すいません、少し参っていまして……。 ハーフドラゴンはちょうど1年前に姿を表しました。 南から北へ一直線に村を焼き、そのまま西の《槍岳》へ、その姿を小さくさせました」


「それ以降は?」


「特に現れることはなかったです」


「なるほど」



村を焼いた意味は分からんが、村があるから来たわけではなさそうだ。


瘴気で村を滅ぼそうとした訳でもなさそうだ。



「何かから逃げていた……?」


「……翼から月明かりが漏れていた、のを見た村人が居たそうですが……」



なくはない線だ、ルーベルトにしてはいい頭の回転してるな。



「とりあえず《槍岳》に向かえばいいんだな?」


「はい、そうなります」


「ルーベルト、《槍岳》までどの位だ?」


「ここからだと150キロって所ですかね」


「……てか、なんでルーベルトは距離が分かるんだ? スキルか?」


「えっへん、私には《行方知らず知らず》というスキルがあります。目標地点を思い浮かべればおよその距離までわかります」



カーナビって呼ぼう。



「出発は明日にしよう。さっさと終わらせて帰ろう」


「あ、明日!? 準備は?」



村長が狼狽える。多分、ここまで苦労してたどり着き、疲弊してると思われてるのだろう。


魔力が無いだけで、その他はほぼ万全。金が無いだけだ。



「で、ではせめてここにお泊まりください!」


「有難い。 あと、野営道具がないので貸していただけると有難いのですが……」


「勿論です!」



話はまとまった。

泊まるところは決まり、明日の野営道具まで借りられた。これはいい感じだ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ