表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/24

#7 コンビで初狩り

久しぶりの投稿になりました。転生特典で【文才】とかあったらいいですね。

「自己紹介?あー、そう言えばやってなかったわね」

 何で自己紹介を忘れることができるのでしょうか、この人は……。って、さっきまで忘れていた私が言っても説得力がないかもしれません。けど、気付いただけ私の方がマシですよね?……五十歩百歩ですか?そうですか。

「私はイリスティア。イリスティア・ティーグレよ。イリスでもティアでも、なんでも好きに呼んで」

「じゃあリアさんで」

「そうくるか」

 私の略し方が予想外だったのか、苦笑いされました。なんでも好きに呼んでと言われましたので、せっかくなので誰も使わなさそうな呼び方を、と思ったのですが。変でしょうか?まあ、今のは流石に冗談ですが。

「イリスさんは魔法使いなんですよね?」

「そうよ。火属性なら任せなさい。後は簡単な支援魔法と回復魔法も使えるわ。そっちはあまり得意じゃないけど」

 詳しく聞いてみると、支援魔法は防御力と素早さ上昇、回復魔法は擦り傷やたんこぶを回復させる程度の微弱なものしか使えないらしく、さらに魔力効率もあまりよくないみたいです。

 火属性は性質上、全属性の中でも最も攻撃的であり、場所を選ぶ属性だそうです。雨の中では発動しませんし、湿気の多い場所では効果は激減。基本的に範囲技なので乱戦時に使えば味方を巻き込み、森で使えば大規模森林火災が発生。火熾しや暖房としては非常に優秀ですが、光源なら光属性の方が優秀で、攻撃面でも他の属性の方がピンポイントで狙えたり、仲間や周囲への被害も少ないので、火属性の魔法はそれほど重宝されないようです。火熾しも専用の道具が売っていますしね。

 そこで、自身の価値を上げるため、支援魔法や回復魔法にも手を出したものの、性に合わないのかあまり上達せず、ストレスを発散するために火属性魔法で魔物を焼き払う。その結果、火属性だけがどんどん上達して……。属性と性格って、関係あるのでしょうか?何だか火属性の使い手って、アニメとかでは短気だったり、攻撃的な性格の人ばかりだったような気がするのですが。

「それで、ティアさんは何歳なんですか?」

「……呼び方、統一してもらえる?」

 ツッコミいただきました。リアさん、イリスさん、ティアさんときて、次は何て呼ぼうかと思っていたのですが、ツッコミをされたのでこれからはティアさんと呼ぶことにしましょう。

「ティアさんは何歳なんですか?」

「私は15よ。この前成人したばかり」

「……え」

「なによ?」

 ティアさんの言葉に、私の視線はわずかに下に移動しました。本当に?15歳?この身長、この体型で?

 今の私は13歳ですが、やや小柄なので10歳くらいに見られるかもしれません。その私より少し背の高いティアさん。体型むねも私とさほど変わらない。

「ひょっとして、私のこと、子供だと思ってたんじゃないでしょうね?」

「そ、そんなことないですよ!」

 ギロリと睨まれ、私は慌てて否定します。コンプレックスなのでしょう。確かに女性であっても大きいのに憧れますよね。無いよりはあった方がいいですよ。あればあるだけ悩みもあるみたいですけど、無い人から言わせてもらえるなら、それは贅沢な悩みですよ!

「で、あんたは?」

「私はアイナです。アイナ・フォルレイク。13歳です」

「13歳!?」

 私の言葉にティアさんは驚いて目を見開いてきました。ちょっと!何ですか、その反応は!

「10歳くらいだと思ってたわ……」

「なっ……!」

 言っちゃったよ!言ってくれちゃいましたよ!そこは言葉に出したらダメですよ!そもそもティアさんも実年齢より幼く見られるの嫌なんじゃないんですか!?だからさっき睨んだんでしょ!?

「13歳です」

 私は少しだけ語気を強めて主張しました。前世の記憶があるので精神年齢はもう少し上ですけど。

「ごめんごめん。それで、確か魔法剣士だっけ?魔法は使えるの?」

 ティアさんは私の頭をぽむぽむしながら聞いてきました。子供扱いですか。けど、13歳は成人前なので子供扱いも仕方がないのでしょう。

「使える魔法は【ファイアボール】【ウィンドカッター】【ストーンルーム】【アクアクリエイト】【ライト】の5つです」

「5つ……っていうか5属性も使えるの!?」

 私の言葉にティアさんがまたもや驚いています。

 食堂で働いている間に、私は照明魔法の【ライト】を使えるようになったのです。この魔法があればランタンや松明も必要ありませんし、部屋で蝋燭を使うこともありません。かなり便利な節約魔法です。安物の懐中電灯くらいの灯りですが。

【ファイアボール】と【ウインドカッター】もある程度の威力コントロールができるようになっています。そのうち新しい魔法の開発もしておきましょう。

 水属性から派生する氷属性と風属性を組み合わせれば冷房魔法ができそうですね。【クーラーファン】とか?扇風機ならぬ冷風機ですね。

「5属性と言っても、どれもたいしたものは使えませんよ?【ファイアボール】と【ウィンドカッター】は攻撃に使えますけど、あとの3つは生活魔法みたいなものですし」

【ストーンルーム】は籠城や捕獲にも使えますが、本来の用途は簡易テントとして開発した魔法です。

「普通は1種類の魔法を伸ばして、補助的に2つくらい修得するものなのよ?それなのに5つもなんて……」

 ティアさんは何だか呆れた感じでため息をついています。これは、私がおかしいのでしょうか?

「まあいいわ。ごく稀にだけど、精霊に愛されて色んな属性を自在に扱える人がいるって聞くし」

「そうなんですか?」

「今代の勇者と先代勇者パーティーの魔法使いがそうだったみたいね」

 魔法は精霊の力を借りて行う技。必要なのはイメージ力と魔力。これはこの世界の魔法学の基本的な知識です。なので、イメージと魔力と精霊。この3つさえ揃っていれば、全ての属性を扱うこともできるはずなのですが……。

「精霊にも好みがあるでしょ?精霊に好かれないと、力なんて貸してもらえないわよ」

 疑問に思ったことを尋ねると、ティアさんはそう返してくれました。精霊に好かれないと力を貸してもらえない、ですか。

 下位の精霊には自我がないので、関係ないと思うのですが、どうやらそうではないのかもしれませんね。

 互いの自己紹介(と言っても名前と年齢と戦い方くらいですけど)を済ませ、他愛のない話をしているうちに、私達は目的の森に到着しました。

「さぁ!ガンガン狩るわよ!」

「何で魔法使いがガンガン前に行くんですか!」

 勢い込んで森に入っていくティアさんの背中を、私は慌てて追いかけました。

 ……あれ?確かティアさんの攻撃手段って火属性だけですよね?それでどうやって森で狩りをするつもりなのでしょうか?


「左前から一角兎が来てるわよ!」

「わかりました!」

 ティアさんの指示で私は身体を少しだけ左方向に向き、鞘に入ったままの剣を構えます。

 木々をかき分けるように走ってくるのは角の生えた兎の魔物、一角兎です。

「やぁぁぁぁぁっ!」

 一角兎が飛びかかってきたタイミングで剣を水平に振り抜きます。剣は一角兎の胴体に命中し、近くの木に身体を打ちつけた一角兎は力無く倒れました。

「次!後方からジャイアントビーが来たわ!」

「わかりました!」

 後ろから私に指示を出しているティアさんのさらに後方から、大きな蜂がやってきていました。大きさは1mくらいあります。お尻の針は定規くらいありますよ。正直、かなり怖いです。ずいぶん古いゲームに出てくる蜂もこれくらいの大きさなんですよね。10歳の少年がパートナーとなるモンスターと冒険をするというゲーム……。

 私はティアさんと蜂の間に立ち、再び剣を水平に振り抜きます。狙いは胴体と頭の境目。振り抜いた剣は狙い通りの場所に命中し、衝撃だけで蜂の身体を上下に分断しました。毒々しい色の体液を撒き散らしながら、蜂は地面に落下しました。

 うげぇ……。気持ち悪い……。

「また来たわよ!今度はゴブリンが3体!」

「わかりまし……って、さっきからティアさん何もしてないですよね!?」

 森に入ってから2時間。初めは採取をしていたのですが、10分前からは戦闘ばかりです。ティアさんが接近される前に発見し、私に敵の位置を教えてくれるのですぐに対応できるのですが、ティアさんは指示だけで戦闘に参加してくれないのです。

「何もしてなくないわよ!ちゃんと討伐証明部位と素材の採取をやってるじゃない!」

 確かに、私が巨大化した蜂を倒している間にティアさんは一角兎の角を採取していました。今は毛皮の採取をしています。ってそうじゃなくて!

「戦闘には参加してくれないんですか!?」

 私は突出してきたゴブリンの脳天に剣を振り下ろしながら言いました。

「私が戦ったら、大規模火災になるじゃない」

「じゃあ何でここで狩りをするんですか!」

「何でって、ここ以外の狩り場はもっと遠いし、私達の実力じゃ無謀よ。せめてまともに回復魔法が使える人がいないと」

 私が気絶させたゴブリンにナイフでトドメを刺しながら答えてくれました。あのナイフ、確か剥ぎ取り用のナイフだから、あまり頑丈じゃないはず。でも、私がまだトドメを刺すことに抵抗があるので、そのフォローをしてくれているのでしょう。

 ともかく、ちゃんとした回復魔法の使い手がいない以上、安全面を優先した狩り場で戦うしかないのでしょう。確かに、無理して大怪我をするのも嫌ですし。


 次から次へとやってくる魔族や魔物を倒し、ようやくひと息つくことができた私は、早速ステータス画面を表示しました。

 レベルは11。戦った割にはあまり成長していません。能力はそれなりに高くなっていますが、やはり低いです。魔法は増えていません。剣術もありません。適当に振り回しているだけなので当たり前ですね。

「さて、そろそろ帰りましょうか。今回は結構手に入ったわ」

 大きな袋を背負ったティアさんが嬉しそうに言いますが、ほっかむりをすれば泥棒にしか見えな……いえ、何でもありません。

 袋が白だったら赤い服を着てサンタさんと言えたのでしょうが、ちょっと邪悪な笑みが泥棒らしさを強調しているんですよね……。

 ともかく、私達は初めてのパーティー狩りを終え、町に戻りました。行きもそうですが、帰りも特になにもありせんでしたよ。街道で盗賊や魔物に襲われるなんて、そうそうありません。そんなの、交通事故のようなもので、頻繁には発生しません。世界規模で見るとそれなりに発生しているのかもしれませんが。

 ギルドで換金をした私達は、初めてのパーティー狩り生還祝いをするため、ギルドの食堂へ移動しました。テーブルに着くまでの十数秒の間にセクハラをしてくる人はみんな回避して柄頭で反撃しましたよ。私は黙ってセクハラなんてされません。魔法を撃ち込まないだけありがたく思ってほしいです。まあ、撃ち込んだとしても【ライト】ですけどね。どっかの大佐みたいにしてあげますよ。

 テーブルに着いて料理と飲み物を頼みます。ティアさんは15歳。この世界においては成人をしているのでお酒を飲むことは許されているのですが、注文したのは私とは違う種類の果実水でした。

「ティアさんはお酒は飲まないんですか?」

「飲まないわよ、あんなもの」

 どうやら飲んだことがあるようです。私もまだお酒は飲んだことがありませんが、聞いた話では苦かったり辛かったりするようです。

「……私は自分を大切にしたいのよ」

 ……何があったのでしょうか?

 今回の狩りの話をしていると、注文していた料理と飲み物がやってきたので、話は一時中断です。

「それじゃあ、初めてのパーティー狩り終了を祝して……」

「乾杯!」

 透き通る金色の液体の入ったグラスと、ブルーハワイのような青い液体の入ったグラスが、チンッと軽い音を立てます。クリアゴールドというのでしょうか?この綺麗な金色の飲み物は、柑橘系の甘い香りがします。味はパイナップルのような、そうでないような……。まあ、これはこれで中々美味しいですね。

「いただきます」

 料理はガッツリと肉を中心にしていて、米食文化がないのかパンが添えられています。この辺りは内陸なので魚料理はほとんどなく、魚は薫製や干物くらいしかないうえ、そこそこ高いので頼んでいません。そのうち海辺の町とかに言ってお刺身を食べたいですね。生魚を食べる習慣はあるのかが問題ですが。

「それにしても……あんたの戦い方って……あれよね……」

「食べるか喋るかどっちかにしてください。行儀悪いですよ」

「………………」

 お肉を頬張りながら話し出すティアさんに注意すると、黙々と食事に集中しました。いや、そこは話す方を優先するんじゃないんですか!?

「気になるので話してくださいよ!」

「……仕方ないわね」

 ティアさんは食べる手を止めてくれました。この人、何気に自由すぎる気がするのですが……。

「あんたの戦い方って、なんか素人っぽいわよねって思ったのよ」

「それはそうですよ。私、剣なんてまともに振ったことないですし」

「誰かから教えてもらったりとかは?」

「ないですよ」

 学校によっては体育の授業で剣道をするところがあるそうですが、私の通っていた学校にはありませんでした。同じ中学だった知り合いは剣道を授業でやったらしく、生徒が使い回しているのでかなり臭いと文句を言ってました。

 確かに、誰が使ったかわからない面をかぶったり、篭手に手を入れたりするのは嫌ですね。もしかしたらお相撲さんみたいな男子が使った後かもしれないと思うと……。これ以上考えるのは止めましょう。ともかく、私は剣なんてこの世界に来て初めて触ったのです。お土産屋の木刀すら触ったことがありません。あんなの買うの、頭の悪い男子か海外からの観光客の人だけですよ。

 しかし、それでも色んなゲームの剣士キャラの動きを適当に真似はしましたよ。だから余計に変に見えたのでしょう。

「……やっぱり、ちゃんとした前衛が必要ね」

 ティアさんは真顔で呟くと、食事を再開しました。

 とりあえず私も目の前の厚切りステーキの攻略を開始しなくては!


今までに食べたことのないお肉でしたが、何のお肉だったのでしょうか?

「……あんたは知らなかった方がいいわよ」

本当に何のお肉だったんですか!?


2人が食べたお肉は、少し珍しい動物であって変な肉ではありません。単にティアがからかっただけです。


次回更新は多分来月になると思います。更新ペースは遅いですけど、気長に待っていて下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ