#22 イリスティア・ティーグレ
今回は極端に短いです。
アイナと子爵様の話をするはずだったのに、なんでこうなったのか……
「解散」という言葉が出た瞬間、アイナは凄まじい勢いでギルドを飛び出して行ってしまった。どんだけ行きたかったのよ……。
私達がパーティーを結成してもう1年は過ぎた。まだ駆け出し感丸出しだったアイナに声をかけて、パーティー募集でアイリーンとライラがやってきた。なんか変な奴らもやってきたけどそれらは帰ってもらった。
最初は互いに遠慮がちだったけど、次第に打ち解けていって、今では何でも話せる仲と言ってもいいくらいの大切な仲間だと思っている。
別に自分から進んで話したわけでも、聞かれたわけでもないけど、それぞれの身の上話なんかもしたことがある。
ライラはシュテヴィーゼ帝国の北にあるアンデルス子爵領の次女で、結婚した姉が1人と騎士の兄が4人いる。アンデルス子爵家は代々優秀な騎士を出している家系で、ライラは兄達の姿を見て育ったせいか、騎士になろうとしている。現在の帝国騎士団長が女性であることも影響しているのだろう。
しかし、騎士になることを親に反対されたため、家出。冒険者になって、そこから騎士になろうとしている。だから、もしスカウトされたらパーティーを抜けるのかもしれない。そう思っていたのだけどライラは騎士にならずにこのまま私達と冒険者をやっていくつもりだと言ってくれた。
アイリーンはアンデルス領のさらに北にあるリエース王国からやってきた先輩冒険者。冒険者になった経緯は聞いていないけど、故郷で紫ランクになってから帝国に来たらしい。家族は母が1人いるだけで、きょうだいはいない。父親のことを聞いたら苦笑いしながらいないと言っていた。多分、物心つく前、もしかしたら生まれる前に死んだのだろう。
アイリーンはあまりリエース王国にいた時のことを話したがらないことから、あまり良い思い出がないのだろう。そもそも、紫ランクの冒険者が国境を越えるなんて、そうそうあるものじゃない。護衛の依頼を受けることができるのはもう1つ上の緑ランクから。だから拠点を変える場合、行商人などの護衛の依頼を受けるのが一般的。ライラのような家出娘の可能性は否定できない。
私、イリスティアは5歳の時に両親に売られた。だけど私を買った商人は盗賊に襲われ、私は近くを通りかかった冒険者パーティーに助けられた。遠征の旅を始めたばかりだったため、そのまま旅に同行し、可愛がってもらった。そのまま孤児院に預けられることもなく、冒険者として色々学ばせてもらって、パーティー内結婚をきっかけにパーティーは解散したのが2年前。私は1人で冒険者になり、仲間を探すことにした。
黒ランクになってから魔物退治をするようになったけど、火属性の魔法で焼き殺すため討伐証明部位もボロボロになって、買い取り額もランクアップに必要なポイントもかなり低くてなかなかランクが上がらなかった。
冒険者の仕事だけでやっていくのも難しく、色々な仕事をやっていた。そして、新天地で再スタートした時、アイナと出会った。あのマヌケ顔は、いつか誰かに騙されて酷い目に遭うんじゃないかと思って、思わず仲間にしてしまった。だけど、アイナは私が思っていたほど馬鹿じゃなく、人を見る目があった。
そんなアイナは、幼い頃に村を襲った冒険者助けられたのをきっかけに冒険者に憧れていて、貧困が原因で親に売られそうになったので逃げ出して、そのまま冒険者になった、らしい。
私とライラの話を組み合わせた作り話だった。あの子は自分の過去を話したがらないため、何か複雑で重い理由があるのだろうと思って誰も聞き出そうとは思っていない。
どんな過去があろうと、アイナは私達の仲間であることに変わりはない。無理に聞き出すつもりはないけど、いつかあの子から話してくれるかもしれない。その時は今よりももっと仲良くなれていると思う。
私達は道場に向かって駆け出した小さな背中を見送ってから解散した。
ライラは武器屋、アイリーンは道具屋に寄ってから宿に戻るつもりらしい。私はもう少しギルドに残って、他の冒険者から色々話を聞いてから戻ることにしよう。
冒険者歴はアイリーンより短いけれど、8年も冒険者と一緒に帝国中を旅していたから経験量は私の方がずっと上。だから私がしっかりしないと。
ワガママで自由奔放な大切な仲間のためにも、情報収集に勤しむとしよう。
本文が終わってから、なんでこうなったのだろうと思いながら、サブタイトルでさらに頭を悩ませた結果、ティアの名前にしてみました。
まぁ、今回はティアの視点だったのでタイトル詐欺にはならないでしょう。
次回こそは子爵様の出番が……来たらいいなぁ……(弱気)




