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二人の関係、聖界の存在

「奏くん…ごめんね、今まで騙してた」

「いや、別にいいよ」

普段なら明るくて元気いい煉が辛そうな声で奏太に謝ってきた。衝撃の事実を知らされてから1週間が経ち、奏太も唯香もようやく受け入れ始め、落ち着いてきている。

「そういえば雪菜ちゃんは?」

「今は愛媛のお婆ちゃん家に行ってる」

奏太のお婆ちゃんは愛媛の新居浜市に住んでいる。毎年雪菜と父親だけがクリスマスから正月3日まで行っている。

「そうくんは行かないの?」

「俺は近くに住んでるじいちゃん家に行くから」

雪菜は父方の家に行き、奏太は母方の家に行く。だから奏太は父方の祖母にあったことがない。反対に雪菜は母方の祖父に会ったことはない。別に仲が悪いわけではないし、しきたりがどうのというわけでもないただなんとなくで行かないだけだ。

「ふ〜ん」

「煉も行く?埼玉だけど。唯香も一緒に来るって」

「え?なんで俺が?」

新年の挨拶は家族内で行うものだと思っている煉には意味がわからなかった。唯香は彼女だからまだしもただの友達の煉が行く理由がない。

「いや、煉はその…俺の大切な友達…だから…」

「いや、いいよ。俺は遠慮しとく」

煉はガブリエルから忠告を受けていた。いつ戦うことになるかわからないのだから奏太に深入りしすぎるなと…たしかにガブリエルの忠告どうりだ、いずれ戦うことになるかもしれない相手と親しくなりすぎては戦得ないだろう。ましてや煉はミカエルが操る。それに比べて奏太は自分の意識がある中で戦うのだ。

「そっか」

「それにしても、ここはいい場所だね」

煉と奏太はあの公園にいた。クリスマスイブの夜、あの事件が起きた公園に、あの事件以来来ていなかったが、煉が行きたいと言ったので来たのだ。

「俺は複雑な気持ちだけどね…」

「あ…そっか…そうだよね…」

あれからしばらくたったが、やはり奏太の心には傷が残っていた。

「そろそろ帰ろうか」

「うん…」

奏太があまりにも辛そうな顔をしていたので、煉も辛くなったのだろう。奏太と煉は階段を降り、帰宅道を歩いていった。


「ただいま…」

誰もいない部屋に帰ってきて数時間眠る、そしたら母が帰ってきて、兄が帰ってきて夕飯ができてそれを食べた後風呂に入る。そしてまた寝る……それが煉の日常だった。

「おかえりなさい。煉くん」

「なんで…お前が…」

「あら、私は煉くんの契約者よ、普通に部屋ぐらい入れるわ」

煉の日常を壊したのはミカエルだった。この天使が300年の時を経て再び煉の前に現れたことで煉の日常は…煉と奏太の関係は壊れた。

「奏太くんがガブリエルと契約しちゃった今世界を壊すのはあなたしかいない。残酷な運命ね、親友と殺し合いをするなんて…」

哀れみを一切持たない冷たい声、煉は300年前の自分を恨むことしかできなかった…


「ただいま〜」

「あら、おかえり〜」

いつも通りの声、いつも通りの生活…それがおくれるだけで今は幸せだと思う。

「おかえりなさいませ、奏太様」

「あぁ、うん。ただいま」

突然現れた二人の天使この天使たちにより、奏太たちの日常は壊れた。いや、壊された。理不尽な条件で契約を強いられて世界を救えという。ましてや煉と対立させられるこんな残酷なことはない

「あのさ…」

「はい?」

「いやなんでもない…」

奏太の思いは声にはならず、虚空へと消えていた。


「天使界のミカエルだな?」

東京の街をのうのうて歩いていたミカエルに声をかけてきたのは人とは言い難いものだった。

「あら、どちら様ですか?」

「神界の特務部隊だ。貴様を連行する」

ミカエルの前に突き出されたのは天界最高神のゼウスの印が押された、強制連行書だった。

「あらあら、神界のあるじ様が何の用でしょう?まぁいいですわ、行きましょうか」

いくらミカエルでも、界の最高神が出した令状には逆らえない。もし逆らえば、天使界が危うい状況に落とされてしまう。ここは大人しく従うのが一番だ。というわけで大人しく神界のトップ、ゼウスのもとへときた。

「これはこれはゼウス様、ご機嫌麗しゅうございますわ」

にこやかに頭を下げて敬意を示すミカエルの姿は煉といるときには一切見えない優雅さだった

「それで、私に何ようでしょう?手錠をかけられいないとゆうことは、私は罪人として呼ばれたわけではないようですが?」

「天使界の最重要権天使(トップエンジェル)のそなたを呼び出したこと申し訳なく思う。本来ならアダム本人を呼び出したいところなのだが…」

「あの方には万物に対する拒否権がありますからね」

アダムにはいかなるものにも従うことのない自由を獲得するために、天使界の主となったのだ。界をおさめるものになればひとつだけ誰にも侵犯させない権利を得られる。

「・・・さて本題だが、お主はクリスマスイブの夜奏太くんの机の上にプレゼントを置いたか?」

「なぜ私がそんなくだらないことをするのですか?」

「理由はともあれ、置いていないのだな?」

「ええ」

「奏太くんに贈られたプレゼントには白い羽がついていた。明らかに天使のものだ。ガブリエルがそんなことをするわけがない、それにクリスマスイブの夜にプレゼントを贈れる天使は聖王か聖神に使える聖界の天使のみだ」

クリスマスイブの夜は聖なる夜と言われ、聖界と呼ばれる界の聖王か聖神に使える天使のみがプレゼントを配ることができるとされているため、一般天使が贈ることはできないのだ。

「まさか聖界が実在しているとでも?」

「可能性は否定できん」

「そうですか、すぐにアダム様に報告したいので今日は帰りますね」

ミカエルはいつになく冷静でいながらも焦ったような顔をしながら足早に去っていった。

この聖界の存在はこの先に起こるであろう事件に関わるかは誰にも分からなかった…

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