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世界

「救世主の力がどんなものかわからないけど、あんたを倒すためから悪でも正義でも構わない」

「人間ごときが、調子にのるな」

イヴが指を鳴らすとあたりから無数の砲台が奏太を囲むように現れた。

「ただの砲台ではなく高質力な光線を出す砲台だ。こればかりは避けられないだろう?」

「くッ…」

「人間では私に勝てない」

イヴが合図をしたわけでもないのに砲台から光線が放たれた。囲むように設置された砲台から出される光線を避けることはイヴが言うように不可能だった。

無慈悲にも光線は奏太のいるあたりで激しい光と音を立てている。どちらも静まった時、イヴの顔から笑顔は消えた

「なんで…まだ生きている…」

奏太の周りには透明なシールドが貼られており、奏太は無傷だった。

「これは…」

「まさかそんなことがあるわけないだろ!」

イヴは狂ったかのようにその力を放ち続けた。しかし奏太には一切当たらなかった。

「奏太くん、今の君はなんでもできるよ!武器を出すことも、魔法を使うことだって」

奏太に助言をしたのは死んだと思われていたラファエルだった。

「貴様!まだ生きていたか」

イヴは奏太に向けていた砲台をラファエルに向けた。そして間髪入れずに放った。光がおさまったときラファエルはもういなかった。

「イヴさん、貴女は間違っている!」

「何が間違っているという?」

「二人の天使はこんな事をするためにいるわけじゃないはずだ!貴女はなぜ僕を倒そうと…殺そうとする?」

「お前が二人の天使になっては私が困るんだ。今の身分を手放すわけにはいかない、私が私のままでいるためにはお前が邪魔なんだよ」

「そんなのただのわがままじゃないか!」

「だからなんだ!?元はと言えば全てはわがままから始まった。その始末をするのが私だ、ならばなぜ私にはわがままが許させれない?おかしいだろ?」

今のこの状況も、300年前の世界崩壊の時も全てはただのわがままだった。そんなわがままが起こした事を円満に解決するのがイヴの仕事だ。300年前ゼウスによって造られてからずっと。

「もう限界だ。もはやこの世界に救済の機会などない」

イヴは悲しんでいたのだ。300年前のあの日ミカエルが自分勝手に人間と契約してからずっと世界の安定させるためにその身を費やしてきた。それなのに、300年経ってもなおゼウスやアダム、その他の生きとし生けるもの全てが自分勝手に過ごしている。そんなこの世界に費やしてきた自分が愚かに見えて仕方なかった。

「貴女にそんな権限はないはずだ!」

「有ろうが無かろうが関係ない!もはやこの地を守る者も支える者もいなくなった。誰が何をしようと世界が戻ることはない」

「だったら僕が…俺がやる!」

「させるかそんなこと!世界は終わるのだ!終わらなければならいのだ!」

イヴは持てる魔法を全て放った。しかし奏太の周りには今もシールドがあるため、一切当たらない。

「これを続けても無駄らしいな…」

「だったら諦めてください」

奏太はゆっくりとイヴに近づいていった。このシールドがある以上奏太は無敵だった。

「考えが甘いぞ、人間!」

イヴは鞘から剣を抜き、奏太の下からふるった。奏太もそれに気づきとっさに身を後ろに引いたため、切れたの前髪だけだった。

「全てを防ぐ万能なシールドなどあるものか」

奏太が手を広げると光とともに刀が現れた。

「神刀…天羽々斬…」

「日本に伝わる刀の一つか、どうやら決着をつけるときみたいだな」

イヴが持っている刀は、神界の神剣ジョワユーズだ。

天羽々斬とジョワユーズは乾いた音を立てながらぶつかり合った。刀を振ったことのない奏太も救世主の力により、イヴと対等になっていた。

「その程度ではどうにもならないよ」

「黙れ!」

奏太はイヴの攻撃を避けることしかできず、隙をつけないでいた。こちらから攻撃を仕掛けても当たることはなく、全て防がれた。

「神刀解放!天羽々斬!」

「そんなのずるいじゃん。神剣解放!ジョワユーズ!」

二人の刃は光り輝き、その身に新たな力を与えた。このまま二つがぶつかればどちらも壊れてしまうだろう。それでは決着がつかない。だから奏太一つの賭けに出た。

「魔法陣、展開!無限剣(インフィニティソード)

「まさかそんな」

無限剣(インフィニティソード)はガブリエルが使っていた魔法だ。

「魔法陣、展開!最高審判(ジャッジメント)

最高審判(ジャッジメント)はガブリエルが使っていた魔法だ。二人の魔法を使うことはイヴにとって想定外のことだった。そのためその身に一瞬の隙がうまれた。奏太はその隙を見過ごさなかった。

「これで終わりだ!天羽々斬!」

奏太の放った一撃はイヴに防ぐ余裕を与えることなく、直撃した。衝撃によって巻き上げられ砂埃が収まったときようやくボロボロになったイヴの姿が見えた。

「まさかお前がここまでやるとはな…さすがは救世主だ…」

「俺は救世主にはならない」

「は?」

イヴには状況が掴めなかった。奏太は世界を救うためにイヴと戦っている。そう思っていたからだ。しかし奏太の考えは違った。

「あんたの言うようにこの世界はもう終わってる。救いようがない。だから壊してしまおうよ。そして新しい世界を作るのさ」

「なかなか面白いことを言うな」

「そのためにはあんたが必要だ。協力してくれるよね?」

「いいだろう。協力してやる」

「じゃあまずは今あるもの全て壊そう(終わらせ)ようか」

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