008 「ぴぇ!こんな風にする予定なんてなかったんだ!」
「ありがとね」
部屋に戻ると、ニッコリと笑った主からそう声を掛けられる。自分はクランベリーを抱えたまま軽く礼をした。こうやって、礼を言う事自体、他の人と違う。一緒にしようとは、思わない。心の中で呟きながらクランベリーをベッドの上に降ろした。クランベリーは恥ずかしそうに目を逸らし、自分に頭を下げる。自分は何となく恥ずかしくなり、同じように軽く頭を下げた。
「役得と思えばいいのに。勿体ない」
笑い声混じりに主は自分たちに声を掛けた。自分は大きく首を横に振る。そんなこと、思えない。これから同じように過ごしていく仲間なんだ。邪な考えなんて、持つわけない。
「素晴らしいね」
主はそう言って、自分に優しく笑いかけてくれた。そして、主はベッドに横になる。
「カンパリ。まだ朝は早いから二度寝しな。クランベリーが漏らしそうだったから起こしただけだし」
主はそれだけ言ってすぐに寝息を立て始めた。クランベリーをちらりと横目で見ると顔を赤くした後、ベッドの中へと潜り込む。恥ずかしいらしい。自分は何とも言えない気分になりながら、のろのろとベッドの中へと入る。ベッドの中は冷たくなっていたが、熱くなった体にちょうど良く、気付いたら夢の中だった。