表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/142

変な目にあったけど得しちゃったバスの運転手。

 一泊二日のバス旅行。

中学生のガキどもは浮かれてたね。

修学旅行の予行演習なんかするんだねぇ。

まあ、本番で問題が起きても困るってことだろうけどな。


オレは運転手で観光旅行の客には慣れてたんだがガキの団体は

初めてだったんだよ。

だけどあんな目にあうなんてなぁ。


何度も通った経路で何度も通ったトンネルのはずだったのに

トンネルを出たら雪国・・じゃなくて草原だったんだ。

あわてて止めて後ろを確認したけど通ってきたはずの

トンネルが見当たらなかった。

どーなってんだコレ! と混乱しちゃったよ。


引率の教師は片方は慌ててたけど片方は慌ててなかった。

どうやらどういうことか分かってたみたいだったよ。

ノンキに寝込んでたチビを起こして何か話してた。

そうしてチビはバスの屋根に登ってなにかしてたんだ。


なんだか半分くらいの生徒は落ち着いてるみたいで残りの連中に説明していた。

「異世界」とか「転移」とか「マモルがいるから大丈夫」とか

チラチラ聞こえて来たけど・・

ソレってラノベのアレなのか? 


「召喚」とは言わなかったからコレは迷い込みなのかな? 


チビの指示で街があるという方向に車を動かしてみる。

道路じゃあないので揺れるが、まあ仕方ない。


街の手前で止めて待たされた。

チビと二・三人が出かけて行って街へ入る準備をしてきた。

ハハハ・・変装だね・・この歳で変装ゴッコだなんてなぁ。

他にどうしようもないので付いて行った。

振り向いたらバスが消えちゃったよ! 


「あー・・ココに置きっぱなしって訳にも行きませんからね。

ちょっと仕舞っておくだけですよ。心配いりません。あとでお返しします。」


このチビ・・もしかして・・


宿も取れたし今夜は屋根のあるところで休めると思ったけど

役人やら兵士や騎士やらあげくは神殿の使いまで来た。

チビとその仲間連中は慌てもしなかった。


結局、4・5日滞在することになったそうだ。

費用はどうすんのかと思ったらチビは意外なお金持ちだった。

ココに来たのは連中のせいじゃあなさそうだけどオレじゃあ

とても対処なんてできないよなぁ。

一人だったら絶対のたれ死んでる気がする。


引率の先生方もあのチビとその仲間を頼りにしてるようだ。

ハッキリ言って部外者なオレだけどココはオマケでもなんでも

連中のお世話になることにしよう。


生徒たちは滞在を開き直って受け入れたようで街の見物やら買い物やら

〔冒険者ゴッコ〕やら忙しくしてた。

チビがオレにまで小遣いをくれるなんて思わなかったね。

まあ、生徒たちについて回って楽しんじゃったんだけど。


神様が手配してくれたとかで帰れた時にはホッとしたね。

4日も5日も行方不明なんてどう言い訳をしたら・・と悩んだんだけど、

なんと3時間遅れで宿に着けた。

あんなとこで渋滞なんか今まで起きたこと無かったんだけど。


夜にチビとその仲間から色々説明されたよ。

まあ、他人に言っても信じてもらえないのは良く分かった。

ココの神さまも黙っててほしいとお望みだそうだ。

神さまっていたんだ・・あ! あの渋滞ってのは! 


「異言語理解」ってスキルをあの世界の神さまがくれたと言われて驚いた。

あー・・そういえば通訳なしで買い物ができてたよ! 

なんで違和感とか感じなかったんだろう? 

生徒たちが一緒だった所為だろうか・・


チビは迷子予防のマーカーの魔法ってのを教えてくれたよ。

おかげで客がすぐ見つかるので予定が順調にこなせてる。

バスに客が戻って来なくて予定オーバーなんてしょっちゅうあるんで

困りもんなんだよ。


「異言語理解」のおかげで外国のお客にもビビらなくていい。

まあガイドでもビビッてるヤツいるもんなぁ。


異世界なんてコリゴリだけど無事に帰って来れたしコレは得したね。

まあ、このスキルが学生のころに有ったら英語とかラクチンだったろうなぁ。

まだ中学生なあの連中がちょっとうらやましかったよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ