残念ロボ搭乗員。
まさか転移事故を起こしてるなんて考えもしなかった。
ココは魔族が勝手に広げた魔の森だと思ってた。
いっしょに転移したはずの先輩たちがいつまでたっても来ないので
不安にはなったけど戦争が起こる前に薬草を準備するという
重大な目的があった。
でも60日も連絡すらないので不安になってきてた。
魔族なのか時々チョッカイをかけてきたけどコレは最新式なので
ダメージはほとんどない。
何しろ戦闘用ゴーレムを作業用に設計変更したという優れもので
工兵部隊でも使う予定もあるそうだ。
だから攻撃を受けたときパニクッてしまった。
機体にはたいしたダメージじゃあなかったのに私にはダメージが入ったから。
気が付いたら脱出ボタンを押していた。
でも脱出したとたん捕まってしまった。
しかもどう見ても相手は子供だった。
成人前なんてもんじゃあないまるっきりの子供。
おまけにココは魔の森じゃあなくてエルフの森。
勝手に彼等の森を切り開いて言うなれば自然破壊をしてたというオチだった。
そして私は元の世界が分からないから帰れないという。
このまま森だらけのココで死ぬまで・・やだーっ!
帰りたい・・けど・・
落ち込んでたら電撃魔法をかけた子供が帰れるという。
ココの神さまに帰れるようにお願いしてくれたそうだ。
泣きたくなるくらい嬉しかった。
私が切り開いてしまった森はエルフさんは元に戻るまで放置しておくと言う。
子供なマモルくんは若木を植えこむと早いと言った。
なので森から集めて植えこむ作業を手伝うことにした。
私が帰れるまでもうしばらくかかるそうなので。
エルフさん達は迷惑を掛けまくりの私を許してくれた。
マモルくんも
「間違うことも誤解しちゃうこともよくあることだよ。
でもちゃんと謝ってくれたし元に戻すのも手伝ってくれたからね。
気にしなくていいよ。」
こんな子供に慰めてもらうなんて思わなかった。
彼は私のせいで勝手にココへと召喚されちゃったのに。
彼が神さまに頼んでくれたから帰れることになったし。
お礼がしたかったけど何もないので携帯食をあげた。
軍でも使ってる3日は食べなくても大丈夫という優れもの。
こんなのはココにも彼のところにも無いだろうから
話のタネにでもしてくれると嬉しいよね。
彼にはお迎えが来て先に自分の世界に帰っていった。
私もマモルくんの知り合いだというエルフさんが来て元の世界に戻してくれた。
マモルくんの知り合いさんはココのエルフさんとは知り合いらしくて
なにか話していたけど二人とも微妙な表情だったのはなぜなんだろう?
ともかく元の世界に帰れたんだけどなぜか3日しかたってなかった。
60日もアノ世界に居たのに・・・
転移事故は一緒の先輩たちにも起こったそうだけど
異世界に飛ばされたのは私だけだった。
でもマモルくんのおかげで帰ってこられた。
携帯食だけじゃあとてもお礼には足りなかったなぁと思いつつ仕事に励んでいる。
先輩たちも飛ばされた先から戻って来てるのできっとうまくいくだろう。
〔ちょっと変わった薬草〕を育てる畑・・頑張るぞ!