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マモルくんのばーちゃん。

 親戚のおにいさんが消えたのを見たのは私だけだった。

そうして誰も信じてはくれなかった。


けれど目の前で孫たちが消えてしまったのは娘も見ていた。

そうしてパニックを起こしている。


お兄さんが消えた時と同じように丸い輪が光っていた。

マモルは何か知ってたんだろうか? 

弟のベビーキャリーの周りが光ったのを見て文字通り飛んで行って

引き戻そうとしたように見えたから。


いつもは帰りの遅い婿が帰って来て娘をなだめてくれた。


「大丈夫だ。マモルはこういうことは初めてじゃあない。

大丈夫だ。以前も何度かあったんだよ。

大丈夫だ。きっと弟を連れて帰って来るよ。」


そう言うとどこかに連絡を取っていた。


帰って来るまで6時間ほどだった。

時々どこかから連絡が入ったがそれで余計にやきもきした。


マモルに武道を指導してくれているという師匠さんが二人を送って来てくれた。

武道の師匠にしては強そうに見えない人だったけど無事に二人を

連れて帰ってくれたことに感謝した。


アノ師匠さんは孫たちが消えたことについて何か知っているのだろう。

なにも言わなかったけれど・・


孫たちは帰って来た。

お兄さんは帰ってこなかったけれどもしかしたら無事かもしれない。

優しくて勉強も色々教えてくれた憧れの人だった。


マモルたちが帰って来てくれて嬉しい。

そうして帰って来てくれたことでお兄さんが生きていてくれるかもしれないと

思えることが嬉しい。


娘は安心したのかスイッチが切れたように眠ってしまった。

息子をベビーキャリーから出して抱え込むようにしていた。

やれやれ・・赤ちゃんはもう一人いるんだけどねぇ。


婿がマモルと話していた。


「お前の負担が多すぎるかもしれないなぁ。

勇者さんやあの人に相談してみることにするよ。

かぁさんの負担と不安を軽くしてやりたいしな。」


負担と不安・・出張の多い生活で留守がちでもちゃんと家族のことを

気遣ってくれてるらしい。


結婚した時には

「大学を卒業したばかりなのに何してくれるんだ! 」

と死んだ亭主は怒りまくってたんだけど。

ちゃんと一家の主として娘を孫たちを愛してくれている。

それは嬉しくて有り難いことだね。

亭主が生きてたらなんて言うんだろう。


「そんなのは当たり前だ! 」とでも言うかもしれないね。


もうあんな目に会わないようにと変なアンクレットが娘の次男には付けられた。

長男のマモルも自分も付けていると見せてくれた。


「コレで全部防げるわけじゃあないんだけどね。

確率はかなり下がるんだよ。

今度師匠の奥さんがこの家自体にも予防措置をしてくれる。

そういう力を持ってる方なんだよ。」


言葉通りやってきたのはきれいで優しそうな奥さんと

なんだか不気味な感じの中年男だった。

あ・あやしい・・(汗。)

でも、この家のために、孫たちのために来てくれたんだよね。


マモルは〔魔王さん〕なんて呼んでいた。

あー・・なんだかピッタリ過ぎるアダナだなぁ。


あの二人が来てから娘の気持ちも落ち着いたようだ。

私にできるのは何もなく平穏でいてくれることを祈るだけね。


亭主がもう少し生きててくれれば増えた孫たちを喜んでくれただろう。

まあ、亭主のところに逝くのはもう少し後に延期したい。

双子で娘は疲れ気味だけど2人とも可愛いことこの上ないんだもの。

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