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赤ちゃんを召喚しちゃった第二王子。

 成功したと思ったんだ。

勇者の召喚は昔から魔族に対抗する最後の手段として時たま行われてきたんだ。

だが・・出てきたのはカゴに入った赤ん坊だった。


なんで赤ん坊なんかが? ・・

と思ってる間にまだ成人もしていないガキが出てきた。

生意気なガキだった。

隷属の首輪を付けて置いて大人しくさせておこうとしたのに

反対に部下に付けられてしまうし、挙句は神だという魔族まで出て来て

もう何がなんだか訳が分からなかった。


13歳だなんて嘘だと思ったしなぁ・・

あんな子供を戦争にだなんていくら勇者だったとしても外聞も悪いし

やっぱり許されないと思う。

部下の魔術師は反対に首輪を付けられてしまったがアレは

世話係兼見張りにしておくことにした。


ところが兄はあんな子供をも巻き込むつもり満々だった。

スパイがいるのは感づいていたがあんな子供のことまで報告をしているとは・・


ところがあのガキは規格外もいいところだった。

なんなんだ! 雹を自在に降らせるなんて聞いたこともないぞ!  

しかもあれほどいたオーガの正体を暴いたあげく元の魔族に戻してしまった。


結局魔王城にまで乗り込んで休戦協定の交渉を始めることを

魔王国側に飲ませてしまった。

だがまさかその条件が兄の第一王子の排除だなんてなぁ・・


兄は王位にこだわっていた。

母君が側妃だったことが兄の心に影を落としていたのか?  

私の母は確かに正妃だが彼を王太子にすることには反対などしていなかった。


兄が優秀なのは皆が認めるところだった。

なのにその優秀な能力を使ってやったことがあんなどちらの国の為にもならない

戦争だったなんて・・


父王でもかばい切れないことは明白だった。

それでも彼は王子なので極刑とはいかず全ての地位と権利を奪われた上で

辺境の修道院で一生を過ごすことになった。


もっともその前に第一王子が戦争の原因だと知った魔術師の一人が

他の異世界に強制送還とばしてしまったのだが・・・

家族が戦争の犠牲になったということだった。


辺境とはいえこの国の中に居るのと自由の身とはいえ何も分からない

異世界に行くのとどちらが兄にとってよかったのか・・

いくら考えても答えは出て来なかった。


ただ、無事を祈るしかない・・

兄は私を疎ましく思われていたようだが私はこれでも兄のことが好きだったのだ。


私も王子だから王になれたらと考えなかったとは言わない。

だが、国のためには我々王族が無駄な争いをするのはマイナスなのは明らかだ。

国と国民の利益を一番に考えなければいけないはずの立場で

自分の利益を一番にしていていい訳がない。


開戦に兄がなにか絡んでいるらしいと気付いて色々と探った上での

勇者の召喚だった。

まさかこんな結末になるとはなぁ。


兄は最後に我々にまでサイクロプスをけしかけた。

あのガキな勇者が軽くやっつけてしまったけど。

最初に出てきた赤ん坊のところにもサイクロプスは出たが

トカゲがドラゴンのブレスのような攻撃をして倒したと言う。


あとからガキ勇者を問い詰めたらトカゲじゃあなくて本物のドラゴンだった。

正体を見せてもらって驚いたのなんの・・

あんなに小さくてもちゃんとドラゴンの姿だった。


「あー・・すみません。

やっぱり皆驚くんで魔道具でトカゲに見せてるんです。

大丈夫ですよ。

産まれた時から一緒にいるんで人間は仲間だと思ってます。


まあ、当分は弟のおしゃぶり代わりですね。」


ドラゴンのシッポをおしゃぶりにしてる赤ん坊か・・

あー・・赤ん坊でも勇者なんだったな。


結局彼等は魔族の神に元の世界に帰してもらった。

ココの神は魔族か・・


エコヒイキくらいはあるかもしれないが世界のバランスを考えて

調整と管理をしてるってあのガキ勇者は言っていた。

エコヒイキがどれくらいかは分からないが極端なことは多分無いだろう。


当分は魔族の国の側から攻めてくることも無いと思う。

解決はこちらでしたようなものだしな。

向こうから攻めてはきたけれどこちらの所為での開戦だった。

だからもう一度こちらからというのは論外だろう。


魔王国は油断のできない相手だが当分戦争は回避できそうだ。


兄の無事を祈りつつこの国を守っていこう。

あのガキ勇者にバカにされない程度の勇気は私にもあるのだから。

ちょっとだけ内容修正してみました。

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