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おとーさん勇者(鈴木氏)。3

 息子が生まれた時も普通の出産ではなかったから気が気では

なかったのだが今回も双子なのでとても平静な気分では居られなかった。

案の定予定日にはまだ大分あるのに産気付いてしまった。


男ってホントこんな時には役立たずだよなぁ。

息子の方が落ち着いて見えたんだからオヤジの威厳もなにも

あったもんじゃあなかったな。


ともかく無事に産まれてくれた。

保育器のお世話にはなったが退院も思ったより早かった。

有り難い限りだね。


なのに仕事は順調すぎて出張過多な状態から脱することができずにいる。

う~ん・・世間様にはイクメンとやらが増殖してるそうなのに

なんでオレって社畜なままなんだろう。


息子の方がよっぽどイクメンって言葉がピッタリになってる。

なんかクヤシイ気がするが・・まあ有り難いと思わないとな。

妻は少し疲れ気味な毎日だ。

義母も手伝ってくれているが息子が手伝ってくれるのは

負担の軽減になるだろうからな。


あの日は久しぶりに早い退社に少し浮かれてたんだ。

だがドアを開けたとたん上がった妻の悲鳴に狼狽えてしまった。


リビングには妻と娘、そして義母。

息子たちが居なくなっていた。

次男のベビーキャリーごと・・・


パニックを起こしている妻はともかく義母が蒼い顔ながら

冷静なのが有り難かった。


召喚されたのは間違いないだろう。

だが、次男のほうが召喚されたらしい。

長男はそれを阻止しようとして引きずり込まれたようだ。


バイトなあの人に連絡して事態の報告をした。

息子にはマーカーが付いてるそうなので発見してもらうのは

オレ達が思うより簡単だろう。

何しろ神さまだそうだし・・・


妻を落ち着かせてマモルが何度も召喚されていることを説明した。

アレは勇者だしオレみたいな初心者じゃあない。

きっと弟を守って帰って来る! ・・そう言って安心させた。

なかなか信じなかったが・・・


義母は親戚のお兄さんが消えたのを目撃したらしい。

誰も信じてくれなかったそうだ。


息子によるとココの世界は召喚される人の多い世界だそうだ。

そんなに昔からだなんてなぁ。


息子達は6時間ほどで帰って来た。

師匠な勇者さんが送って来てくれた。

どうやらちゃんと召喚理由を解決してきたらしい。


妻は安心したせいかまるでスイッチが切れたように眠ってしまった。

義母は息子に消えた親戚の話をして戻ってきたことにお礼を言っていた。


消えた彼は戻ってこなかったんだそうだ。

でも生きて居るかもしれないと思えるのが嬉しいと言う。

うん・・確かに。

生きて居て帰って来てくれたこと。

それが一番嬉しいことなんだと実感した。


しかし・・次男まで勇者とはなぁ。

なんで我が家は勇者だらけなんだ? 

まあ、あの体育館には似たような連中がゾロゾロだから

たかだか3人くらいは驚くほどでもないか。


息子が弟はともかく妹が〔戦士〕なんだけどどうしよう・・

と言ってきた。


あー・・戦士かぁ・・・

女の子が戦士でも大丈夫だろうとは思うけどなぁ。

コイツの周りって強い女の子だらけなんだよな。

なるほど・・強い女の子が苦手なのかもな。


まだ首も座ってないからそこまで心配しなくても大丈夫だよ。

それらしいお稽古事でも仕込めば簡単に戦士だって見破られないだろう。


コイツだってオレだって勇者になるなんて考えもしなかった。

娘だって戦士なんてなりたい訳でも無いだろう。


息子は体育館に行かないかと誘ってきた。

あまりワガママも言わないヤツだからこんなことを言われるとなんだか嬉しいね。


聖女さん達が家に結界を張ってくれたので家からの召喚は

確率が大幅に下がるそうだ。

息子達も落ち着いて生活できるだろう。

バイトなあの人たちには素直に感謝しよう。


なんにもお返しのようなこともできないけど体育館には

時々顔を出してみようかな。


マモルの心配も負担も少しは減るかもしれないしね。

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