魔王弟。
姉魔王の強さはムチャクチャだ。
私は小さいころからずっと努力した。
なのにとても追いつける気がしない。
国中どころかこの世界中探しても多分彼女に敵う者などいないだろう。
王位が彼女のものであっても誰も文句を言わないのは当然だ。
頂点に居るというのはどういう気分なんだろう。
姉は楽しそうには見えない。
退屈しきっていてすることは義務以外の何ものでもない。
アレでいいのだろうか・・・
花のようだと皆が認める美しさなのに・・・
その姉の退屈を紛らわせてくれるらしいことを里帰りされた
魔族の神さまが教えてくれた。
「最強勇者」
寝物語に聞かされた人の勇者は我らの先祖の魔王と決戦をして当時の魔王国の
中心地を草木の一本も生えない荒野に変えた。
相打ちだったから彼だけではなく魔王のせいでもあると思う。
それでもそこまでの被害を受けたのは代々言い伝えられていて
「勇者」は魔族にはトラウマと言っていいだろう。
「最強勇者」は別の異世界に居て召喚でもしないと会えないだろう。
会えたとしてもまたこの世界に荒野が増えるだけだろう。
だが退屈しきっている姉には耳よりな話だったようだ。
一応禁止事項なので自分達でなく人の国の神官を脅すようにして
勇者の召喚をさせたのだが・・・
来たのはどうみても弱っちい勇者だった。
オマケは無視だな。
勇者もそう思ったらしくオマケを除外してほしいと言った。
そう言われるとかえって認めたくなくなった。
「お前一人ですら退屈な対戦になりそうなんだ。
少しでも面白くしたいからソレはダメだな。
二人がかりなら勝てるかもしれないぞ。」
オマケは意外と頑張ったな。
魔法の威力は弱いし勇者に庇われてばかりだったが同じ所ばかりを狙って来る。
まあ、鬱陶しくなって弾き飛ばしてやったが。
勇者も言うまでもないな。
だが次に来たチビは驚きだった。
あんなチビなぞ問題外だと思ったのだが・・
私の方が強いのは分かっていたが油断できないと思わせた。
まあ、チビの体力は大したことは無いように見えた。
高々3時間で限界がきたようだったし・・・
〔あーっ!!! 魔王さま! 後ろーっ!!! 〕
思わず姉魔王を振り向いた。
姉は後ろを振り返ったがあっという間にチビの持っていた
透明な容器に吸い込まれた。
『コレはあなた個人とではなく魔王さまとの試合ですよね? 』
このチビは私が魔王じゃあないと気付いてたのか!
頭に血がのぼったのがわかった。
だがそれが隙になった。
あっという間に魔力で拘束され妙な魔道具で封印までされた。
屈辱以外のなにものでもない。
でも・・・
「実力はともかく勝負は君の勝ちだよ。」
魔族の神の言葉には逆らえなかった。
私は・・いや姉魔王もだが・・負けたんだな。
しかもチビは魔族の神の「加護」まで受けていた。
人の身で魔族の神の加護を得ているなんて・・・
姉魔王は私に王位を譲ってあのチビと最強勇者の世界に留学だと言って
出かけてしまった。
私なんかが王だなんて・・と思ったしそんな訳の分からない世界には
行かせたくないと反対したのだが。
執事は帰って来るかを心配しているようだ。
姉にはコノ世界は退屈でしかなかったと分かっている。
けれどココは彼女の世界だ。
他の世界を知ればこの世界の良さもきっと分かると思う。
・・・帰って来る・・・来てほしい・・
あのチビの世界がココより良い所だなんてことは・・
無いよな・・無いよな・・無いと思うんだが・・・(汗。)




