表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/142

僧侶な先生。

 午後から雨漏り修理の業者が来るというのに連絡を忘れてたアホな新人がいた。

他にもミスしたらしくて副校長に説教をくらっている。


なので屋上にいる子供たちに通知にいくことになった。

もうじき昼休みも終わりだからほっといてもいいのだが張り紙一枚よりは

口頭のほうが周知も徹底しやすいだろう。


案の定子供たちは不満の声を上げたがこれも仕方のないことだ。

ほとんど退去させてあと5、6人となったところで目眩が来た。

足元が光っていたような気もしたが・・


まさか子供たちの読んでいるライトノベルに出て来た異世界召喚だとは・・


子供たちは6人、大人は私一人だ。

成人どころか義務教育も終わっていない子供を戦争に行かせようだなんて

なにを考えてるんだ! 

怒りとともに抗議した。


ああ・・話の分かる連中じゃあないとどこかで分かってたはずだったんだが。


気が付けば牢に放り込まれていた。

どうやらされたらしい。


牢番たちの話だと子供たちは私を心配して依頼を引き受けたようだ。

連日、訓練をさせられていると言う。

彼等をかばったつもりだったのにかばわれてるのか・・


壁を叩いて嘆くしかないというのは辛かった。

ところが子供たちが助けに来た。

カギをまるで手品のように造って見せた。


唖然としてる間に彼らの部屋に連れて行かれ暫くそこに

隠れていてほしいと言われる。


「オレ達召喚は初めてじゃあないんで何とかしますよ。」


一番チビで頼りなさげな子がそんなことを言う。

そう言いながら私についてた首輪を外してくれた。


彼等のも外せるそうだが油断させたいのでそのままだと言う。

結局私はかれらの足手まといでしかなかった。


「先生が抗議してくれたんで嬉しかったですよ。

アレでかえってオレ達には警戒してませんでしたから

色々するのには好都合でした。」


クーデターをおこして戦争相手のドワーフに賠償金を渡し

王さまを隠居させて末の王子を新王にした。

権力がほしいとかじゃあなく貴族たちに抽選で仕事を丸投げして

帰還の方法を探したようだ。


どうも帰る方法は知らないだろうと予想はしてたらしい。


だが〔お迎え〕が来た。

知り合いらしい青年は

「〔迷子用のマーカー〕をつけといたんだ(笑。)」

と悪戯に成功した子供みたいな顔で言った。


〔迷子〕と聞いて子供たちは大笑いしている。

だから・・プププ・・そこで笑っちゃ気の毒だろ。

いや・・可笑しくない・・可笑しくない・・プププ。


帰還したが彼等は午後の授業をサボって遊びに行ったことになってしまった。

子供たちのおかげで帰って来られたのでなんとかかばおうとしたのだけれど。


「あー・・気にしなくていいですよ。言っても誰も信じませんから。

ココは実は召喚される人が多い世界なんです。

バイトなあの人が色々防御と後処理をしてますけどね。」


「召喚一回だと魔法が手品程度に使えるくらいです。

ココは制限のかかってる世界で魔法は無いことになってます。

先生はアノ世界で特訓させられませんでしたから教えますよ。

でも、手品ってことにしててくださいね。」


結局できたのは回復魔法だった。

おかげで二日酔いと肩こりの心配は無くなった。

子供たちのちょっとしたケガも軽減できる。

完全に治すと魔法を使ったとバレかねないのであくまでも軽減だけど。


「先生って〔僧侶〕でしたよ。

ご実家がお寺さんだってのはこういうのに影響するんですかね? 」


実家は兄が継いでいる。

〔僧侶〕ねえ・・召喚されるのって勇者だけじゃないんだな。


たまには実家に顔を出そうかと久しぶりに思ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ