港街の責任者。
ココは半島の先端に近い湾の奥にできた街だ。
風除け・風待ちの絶好だしちょうど東西の航路の中間点なので
物資の補給場所に丁度いい場所なのだ。
だが、海に大きな魔物が現れて船が軒並みやられた。
幸い大破はしても沈んだ船はまだ無い。
しかしコレが続いたら・・貿易は滞るだろうしこの街もどうなるのか・・
悩んでいたら神殿から連絡が来た。
神託が下りたそうだ。
実を言えば私は信仰心はあまりない。
お祈りをするなら仕事をしたほうがマシだと思う。
でも今回ばかりはワラにもすがりたい気分だった。
神殿に行ったらいたのは成人にもなっていないガキだった。
こんな子供に協力しろ! ってどういうことだ!
でもわざわざ神殿が押すような子だから何かあるのかも・・
一応なんでも協力してみることにした。
他に何をしたらいいか分からなかったし・・
船員・船長その他に事情を聞きまわって魔物が満月に
同じコースを通っていることを特定した。
三日後の満月に来たのは彼の予想通りの神殿の下の浜だった。
まさかあんな大きいのに只の亀だなんて・・
次に来るのははるか先のことだろうとあの子は言った。
前回のことを誰も知らないのは街ができる前だったからだろうと。
一週間で子亀が生まれて海に帰って行った。
あの子は見送りながら海鳥から守ってやっていた。
「オレの所の亀って大人になれるのは5000分の1だって言われてるんです。
ココで生まれた子亀はたくさんいたんでしょうがあの一頭だけしか
産みに来てませんからね。
ココでも生存率は多分低いんだろうと思いますよ。
まあ、海に戻るまでかばってやるくらいでは戻って来る確率が上がるとも
思えませんけどね。」
海から来て海に帰って行く。
邪魔さえしなければ攻撃されることもない。
我々がココに街を造る前からココを産卵の場所にしていたのだ。
ちょっとの間譲るくらい大したことではない。
まあ、次がいつになるかはわからないけど。
それよりもあの子が気になることを言った。
海から攻撃されたことはないのか? と。
ここの港はこの海の周辺各国の船が利用している。
独占を考えるものなど居ないとは思うが・・・
確かにココの防衛は街の外の魔物くらいしか考えてなかった。
そういえば東の果ての方で海賊が出たという噂があったな。
万が一・・とは思うが・・ココに来たら・・・
まあ、ムダになってもココは備えをしていると言う示威にもなるし
警備兵や街の連中の訓練にもなるだろう。
警備責任者たちに相談してみるか・・・
海賊は数年後に街を襲いました。
でも備えあればなんとやら。
さしたる被害も無く撃退したそうです。
でも、マモルくんが一言いったことがキッカケだったことは
責任者さんはすっかり忘れちゃってたのでした。
プププ・・マモルくんの方も忘れちゃってるんですけどね。