イケメン神官。
屋上はみんなの憩いの場だ。
先生たちがあまり来ない場所で眺めも良いし日当たりもいい。
今日はちょっと風があるみたいだけど。
女の子たちのスカートのすそが少しヒラヒラしてるねえ。
あんまりマジマジ見ちゃうと・・
あー・・やっぱり・・ちょっと短気なんだよね、彼女。
ムフフ・・オレの彼女。
『見たんじゃない! 見えたんだ! 暴力反対!!! 』
あー・・無駄だね。
彼女のゲンコツは効くからなあ。
気の毒だけど弁護なんかするとこっちが危ないもんな。
いつも来ない先生が屋上に来た。
雨漏り修理の業者が入るらしい。
憩いの場もしばしのお別れか・・
ところが屋上から出ようとしたところで目眩がした。
アレッ? と思ったら意識が飛んでいた。
「お前たちはこの国に仇なすドワーフどもを駆逐するために召喚された。
連中を駆逐したら帰してやってもよいぞ。」
どうやら戦争のコマとして召喚されたということが実感できるまで
しばらくかかってしまった。
オマケに彼女が勇者でオレは神官。
なんでだよ! 普通男が勇者だと思うんだけど!
先生が抗議してくれたけどあっというまにのされて連れて行かれてしまった。
人質か・・・
彼女は先生を心配して言う事を聞く気になったようだ。
逆らうにはレベルが低いし隷属の首輪を付けられている。
しかたなく訓練を受けた。
彼女のゲンコツの犠牲者たちも一緒だがなんだか余裕でこなしてるように見える。
オレや彼女が訓練でいっぱいいっぱいな間に連中は先生を助け出し
クーデターを起こしドワーフ側に賠償金を渡した。
首輪が一番難物だと思ったのにチョイと言う感じで外してしまった。
チビなマモルくんは召喚は初めてじゃあないと言う。
「王さまやりたい人いますかぁ? 」
そんなことを彼が叫んだ時にはズッコケそうになった。
王さまって募集するもんなのか?
結局、現王さまは隠居してもらって9歳の末の王子が次の王さまになった。
まあ、彼一人で国の運営ができる訳ないから周りの団結次第だろう、この国も。
この国の人たちはオレ達を帰す方法を知らなかった。
でもなんと〔お迎え〕がきた。
マモル君はしょっちゅう召喚されるのでお迎えの人に
迷子マーカーを付けられてたんだそうだ。
プププ・・中一になっても迷子だって・・
あー・・怒ってる怒ってる。(笑。)
戦闘をさせられる訳でも無く無事に帰ってこれたのはマモル君たちのオカゲだね。
でもたった5時間留守しただけになってるなんて思わなかった。
結局午後の授業をサボったことになったが彼等のほうが目立ったので
オレ達はほとんどお咎めなしだった。
なんだか不公平だと思ったが黙ってろとマモルくんに言われた。
「これ以上目立ってもしょうが無いだろ。」
目立つ目立たないじゃあないだろう!
でも彼女のことも心配だったので言う通りにした。
チビッこいマモルくんの方がオトナな気がしてちょっと悔しかった。