オークの国の王さま(魔族の勇者)。
王なんかになる気は無かった。
モチロン勇者にも。
なんだって弱くていじめられるのが日常のオレなんかが召喚されるんだ?
まあ、人間の勇者を呼びだすつもりだったってのはすぐに分かったんだが、
即! 殺しにかかるとは思わなかったね。
オレはイジメられるのには慣れてるけど逃げるのも最近は上達したんだ。
魔族じゃあない人間なんかに殺されてたまるかってーの!
でも、ココに魔族の気配は感じない。
人だけしかいない世界なんだろうか?
だったら逃げ回ってもしょうがないよな。
仕返しできるもんならやってやりたいしな。
と言うことで召喚目的のオーク。
コレを使って仕返ししてやることにした。
テイムがこんなに効くとは思わなかったね。
オレの世界のヤツラはなかなか効かなかったんだけど。
増えすぎたオーク。数の暴力。うん、便利だねえ。
思いのほか早く目的は果たせたね。
オークの国の王さまか・・・
王さまって言ったって国の運営は属国ってことにした人間の国の連中に
やらせてるんだけどな。
ヒマしてたら荒野の向こうの人の国から大使が来た。
話は面白い奴だが貴族のせいか態度はデカいし
なんだよその見下し感いっぱいの目つき!
なぁんかオレをイジメてたアイツラを連想させやがる。
見てると殺しそうになったので牢屋に放り込んだ。
まあ、殺しても良かったかもしれないけど別にオレをイジメようとか
思ってる訳でもないみたいだしな。
多分殺しちゃったらそれを理由に戦争とか吹っ掛けて来そうな
感じもするんだよね。
人間ってそう言うコトをするヤツラらしいからな。
大使を牢屋に放り込んだらまたヒマになった。
そう思ってたんだけど・・・
人間の勇者が来ちゃったよ。なんか変なオヤジとガキが二人。
ガキどものほうがスッゲー強そう!
でも弱そうなオヤジにも勝てなかったよ・・(涙。)
あー、オレってだからイジメられてたんだった。
でも連中はオレを殺さなかった。
ココの神さまがオークの国を解散させれば帰してくれると言う。
『ココで王さまやってるよりも弱いってバカにされても自分の世界に帰りたい。』
オレはムリヤリ召喚されたのと殺されかけたのの仕返しがしたかっただけで
王さまに成りたかったって訳じゃあない。
色々ガキどもと話をしてそう言う事を納得してもらった。
アイテムボックスの魔法なんかもその時に教わったよ。
魔族の神さまに話を付けてくれたとかで元の世界に無事に帰ることが
できた時には泣いちゃったね。
ちょっとレベルが上がったこととガキが教えてくれた
アイテムボックスの魔法のおかげで前ほどイジメられなくなったんだ。
まぁ、まだ絡んでくる連中はいるけどな。
あのガキどもほどは強くないからコワイって思わなくなっちゃったんだよ。
帰って来てから魔族の神さまにお祈りするようになった。
そんなオレを見てバカにしてるヤツもいるけど神さまのオカゲで
帰ってこれたんだ。
感謝のお祈りくらいはしないとな。
・・・ついでにアイツ等への感謝もしてるんだけどな。