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大使なおとーさん。

 自分が捨て駒なのはすぐ分かった。

そういうふうに仕組んだヤツが誰なのかも。

だが、後手に回ったこちらのせいでもある。


連中は私がオークの国で殺されれば開戦の名目が

立てられると思っているんだろう。

ココで逃げると家族が逆賊扱いになるだけだ。

仕方がない・・せめて殺されないように努力でもしてみることにしよう。


荒野の手前の街の責任者は古い友人だ。

逃げる気があるなら協力する・・とまで言ってくれた。

だが、偏屈な性格のせいでこんな国の隅の街に飛ばされている彼を

もっと苦境に追い込みたくない。

家族のこともあるし・・・

気持ちだけもらってオークの国に向かった。


オークの国の王はオークではなく魔族だった。

増えすぎたオークの対策のために〔勇者〕として召喚されたと言う。


〔魔族〕で〔勇者〕だなんて聞いたことが無い。

召喚した連中も驚いて彼を殺しにかかったそうだ。

あー・・召喚者の彼には悪いと思ったけれどなんだか

召喚した連中の気持ちも分かってしまう。

やっぱり驚くよなぁ。


礼を失しないように気を付けたつもりだったがやっぱり私は〔人〕なので

魔族にはうまく話を合わせられなかった。

結果、牢屋住まいということに。

処刑だろうか・・それなら一応任務を果たしたことにはなるのだが。


ところが事態が思わぬ方向に転がった。

三番目の息子が異世界の勇者に私の救出を頼んだんだそうだ。

荒野の廃墟の神殿で神さまにもお目にかかったんだと信じられないことを言う。


王都には法王を名乗る神殿の関係者がいるが王どころか並の貴族にすら

バカにされているくらいでたいした勢力ではない。

勢力と名乗るのもおこがましいと思えるくらいだ。


勇者達はオークの国を解散させて召喚者の〔魔族の勇者〕を元の世界に帰した。

属国にされた国に寄進と奉仕をさせて神殿を復興させたいというので

協力することにした。


寄進と奉仕は元属国の力を多少なりとも削ぐことになる。

息子は神官をするようにとお告げが下ったそうなので神殿には元属国よりは

こちらの国の意向を重視させられる。


魔物の氾濫で廃墟になった神殿だが戦争に備えた兵力を使わずに済んでいるから

アレを流用させられれば・・・


ともかく死なずに済んだしオークの国を解散させられたのは神さまと

迷い込んだ勇者たちと私の息子のおかげだ。


この辺りを強調して王にも神殿の復興に力を貸してもらおう。

元属国に対抗しておく必要があるのは王も分かると思う。


荒野もいずれは開発されて巡礼の信者や商人やらが行き交う場所に

なるかもしれない。


ハメられて大使にされたが息子や勇者達や神さまのおかげで

新しい道が開けた気がする。


信心など考えたこともなかったがせめて感謝の祈りを捧げることにしよう。


息子に聞いても神さまがどんな方なのかハッキリとは

教えてもらえないのだけれど・・・

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