引率なオバサン。(世話係。)
坊ちゃんが生まれた時からずっとお側でお仕えしてきた。
夫が病で死んで子供もなかったので婚家をそれこそ
追い出されてしまったのだけれど実家はすでに没落。
まあ、だから追い出されたのかもしれないけれど。
坊ちゃんの父君は夫の友人の一人だった。
病弱な奥様を愛しておられたから私に眼など向いてはいないのが
分かっていたので安心してお仕えできた。
坊ちゃんは三人目の男子なので家を継ぐなど夢のまた夢だ。
将来の心配をしてしまうのはやっぱりお育てしたせいだろう。
やんちゃで元気で家族思いだけれど兄君たちにはそれほど大事にされているとは
思えないのは私の気のせいだろうか?
父君のご当主はよりによってオークの国に大使として派遣されてしまった。
そして消息が知れなくなった。
〔どこの国のものでもない荒野〕のむこうには幾つか人の国があったのだけれど
そこはオークの国の属国になったそうだ。
ご当主はそのあたりの実情を探るのを兼ねて送り出されたようだ。
ほとんど捨て駒のように、、、。
兄君たちは諦めたのだけれど坊ちゃんは諦めなかった。
コッソリと忍び込むように向こうに入国してご当主を探した。
モチロンお供した。
世話係も付いていない貴族の子供など怪しすぎるから。
ご当主が牢に入れられていることだけは分かった。
でもバレた。オークの兵士が追いかけて来た。
御付きの女騎士が応戦したけれど多勢に無勢。
もうダメだ!と思った時救いの手が現れた。
どー見てもアヤシイ大人一人と子供二人。あとトカゲ。
警戒してしまう私をよそに坊ちゃんは護衛を依頼された。
アヤシイ、、、でも強いことは確かだ。
オークを魔法で瞬殺してしまったもの。
馬車も壊れてほとんど何も持っていない私たちに食事も振る舞ってくれた。
聞いたことはあっても見たことは無いアイテムボックスの魔法を
一番チビな子が使っていた。
できるのは彼だけだったけれど。
同行の大人に教えたりしてた。
坊ちゃんがコッソリとマネしてたけれどできなかった。
そんなのはできなくても御付きが運ぶからイイんです!。
街まで着いたら彼らは神殿に行きたいと言ったそうだ。
ご当主の救出と引き換えに廃墟の神殿に案内されると言う。
私は危険だからと街に置いて行かれた。
オークの国より荒野のほうがずっと安全だと思ったけれど。
彼らは無事にご当主を救い出してくれた。
オークの国の王を元居た世界に戻して神殿を復興させると言うことになったと
聞かされて驚いた。
ご当主は神殿復興の助力をされるそうだ。
坊ちゃんは神官の資格があったそうで神さまにもお目にかかったという。
神殿の復興はオークの国に属国にされていた人の国の寄進と
奉仕で行われるという。
ココの世界では神さまを信仰する人は少ないけれど神殿が復興すれば
きっと信者も増えるだろう。
坊ちゃんは新しい神殿の最初の神官になることになった。
将来をどうするのか心配で気が気ではなかったけれどあのアヤシイ三人と
神さまのおかげで安泰な未来になりそうな気がする。
坊ちゃんが神さまから聞かされたことによると彼らは迷い込んでしまった
異世界の勇者なんだそうだ。
勇者、、、アヤシイと変な眼でみちゃった、、。
で、、でも、アレで不審に思うなってのは無理よねぇ。
もう、帰ってしまったのでお詫びもできない、、。
なので今日もお祈りしている。
神さまと彼等に感謝の祈りを。