ゲンコツ女子。
勇者なんてゲームの中だけだと思ってた。
なのに女の私が勇者だなんて・・・
一緒にイケメン君やアホ三人組やマモルくんも居たのに私が勇者・・・
オマケに私たちを勝手に召喚した連中に抗議してくれた
先生は殴られて気絶させられて連れて行かれてしまった。
もしかしたら・・殺されるかもしれない。
なので渋々ながら命令に従うことにした。
訓練はキツかったけれどイケメン君は励ましてくれる。
他の四人が召喚経験者で私なんかよりずっと強いんだと分かったのは
全てが済んだあとだった。
私たちに注目が集まってる間に裏で色々やってたらしい。
先生を助け出してクーデターだなんて。
結局訓練をさせられただけで帰って来られた。
でもなんだか素直に感謝の気持ちを言えなかった。
私は・・勇者だったのに・・・
でも、そんなことを思っていられたのも安全に帰って来られたからなのだと
気付いてなかった。
二度目の召喚に遭うまでは・・
しかも戦う相手は同じ勇者で魔族の軍隊を撃退したという。
訓練だけで実戦の経験なんか無い私が勝てる訳がない。
イケメン君やマモルくん達がこんなところまで助けに来られるわけもない。
ドコの異世界なのかなんて特定できるはずもないもの・・
出てくるのは涙とため息だけだった。
泣き疲れた頃その人は通路の影から現れた。
戦わされる相手の勇者・・
隷属の首輪は外せなかったけれどこの王都から距離をとればあるいは
効力が薄れるかもしれない・・ということでお城から抜け出させてくれた。
郊外の草原で突然突き飛ばされてなにがなんだか分からないで呆然としていたら
マモルくんが抱きとめてくれた。
え! マモルくん!! どーして!!!
見ればイケメン君は助け出してくれた勇者さんを攻撃してる。
やめて! やめて!! 敵じゃあないのよ!!
イケメン君は飛ばされてしまった。
マモルくんが割って入る。
でも私の目に入っていたのはイケメン君だけだった。
パニックを起こしていたんだと思う。
抱き付くなんてしたことはなかったけど・・抱き付いていた。
「君が無事ならあとはもう・・どうでもいいや。
一緒に帰ろう。
あそここそがオレ達の世界なんだから。」
そっと髪をなでながら言ってくれたイケメン君の言葉が嬉しかった。
その他のことはおぼろげにしか覚えていない。
みんなで一緒に帰って来た。
それだけで充分だった。
居ない間はインフルエンザにかかってたことになっていた。
マモルくんがバイトな神さまに頼んでくれたそうで
今の私には召喚除けのアンクレットが付いている
家族はアノ神さまに何か言われたようで何も言わない。
なので私も何も言わないことにした。
言っても余計な心配をかけるだけだものね。
お礼の意味も込めてマモル君たちの試験勉強に付き合っている。
あー・・なんというか・・
みんな頭が悪い訳じゃあないと思う。
でも勉強は積み重ねな面も多大にあるわけで・・
異言語理解で英語が妙にできるようになってしまった。
他の科目もできるようになるスキルってないのかな?
異世界では勇者でもみんなはココでは勉強の苦手な中学生なんだよね。
異世界では助けられたけどココでなら私はみんなを助けてあげられそうだ。
まあ、イケメン君のスパルタ教育から逃げ出そうとするみんなを
とっ捕まえるだけなんだけどね。