ケモ耳姉さん(召喚主)。
誰にも言えなかった。
神さまが魔族の方だなんて。
魔族をひいきされてる訳でも無くちゃんと他の種族のことも
考えて下さっている。
でも、魔王は言う事を聞かないそうだ。
アチコチの国を蹂躙して一番遠いはずのこの獣人の国ももう風前の灯だ。
なので、どうもホントはイケナイらしいのだが勇者の召喚をするようにと
思し召しがあった。
以前の記録はある。
ソレに基づいて召喚をしたのだが・・勇者たちは子供だった。
「魔法なんかオレ達の世界には無いんですけど。」
そういわれたが一番小さく見えたその子が一番魔力が強い。
私は獣人の中ではあるほうだが足元にも及ばない。
その子はいつの間にか我々から事情をスイスイと聞きだした。
ココが神殿だと分かるとお祈りを始めた。
異世界人のお祈りなんて・・と思ったら神さまがおでましに!
「帰還願いは分かるのだが勇者をやってほしい。
アノ勇者の弟子ならぜひともお願いしたい。
君に憑いてるアレの前世ほどの強さは無いから君でもなんとかできると思う。
やってくれるなら確実に帰してあげよう。
他にも報酬を用意してもいいが? 」
彼は報酬を断ったうえで引き受けてくれた。
でも全部押し付けようとした仲間にはキレた。
「ワガママ言わんと訓練!レベル上げ!
もしオレがダメなら帰れないし魔族にやられちゃうんだゾ!
手伝わなくてもイイから自分の身を守るくらいの力はつけとけよ!
ココが戦争中で負け戦側にいて下手すりゃあの世行だって理解しろ! 」
まさか仲間に隷属の腕輪を発動させるとは思わなかった。
〔負け戦側〕・・・確かにそうだ。
我々にできることはもう何もない。
一番ちいさな彼に頼るしかないなんて情けない限りだ。
でも神さまが見込まれただけの事はあったようだ。
魔王に勝って帰って来た。
聞いたことも無い効果のマジックアイテムを使ったそうだ。
停戦と占拠した国々の賠償金による復活。
賠償金もこれから頑張れば払える程度の額だった。
どうやらどっちのメンツも立つように魔族側に話を付けてくれたらしい。
「多分、あの神さまから言われて召喚をしたんでしょうけど
できたらもうしないでいただけると嬉しいです。
召喚でお互いの世界に穴が開くそうなので。
神さま方が塞いでは下さるんでしょうけど結構危ないコトみたいなんです。」
「ところで失礼な事らしいとは知ってるんですがちょっと
お耳にさわらせてもらえませんか?
獣人の方を見るのはまだ2回目なんです。」
あー・・どうして失礼なことなのか、まではどうやら知らないらしい。
家族か親しい異性にしか触らせないんだけど・・
まあ・・彼はどう見ても〔子供〕だしね。
珍しいモノには触ってみたいんでしょう。
オッケーした。
そうっとやさしく触れていった。
子供の頃親になでられた時のようにやさしかった。
ニコニコと上機嫌で帰っていった小さな勇者。
これから大きくなったらどうなるんだろう。
今でさえあの魔王にも勝っちゃったくらいだもんねぇ。
そういえば神さまは〔アノ勇者の弟子〕って言ったよね。
〔アノ勇者〕って一体・・・
な、なんだか考えちゃぁイケナイことかもしれない。
あの子には感謝だけどあの子の向こうにはコワイものが控えていそうだと
身震いするケモ耳姉さんなのでした。




