副神殿長。
宝物庫から有る限りの解析の宝珠を出させて手配した。
なんとしてもダンジョンを攻略できる実力者を探さねば!
だが、なかなか見つからない。
ダンジョンのボスを倒した記録は10年も前だ。
その時の攻略者はもう引退しているしあれほどの者はあの時以来出ていない。
このままでは神殿長さまも王族の方々も死んでしまう。
王族が全部死んでしまったら・・この国は・・
ところが最近はあまり無かった神託がおりた。
参拝者に適任の者が来ていると。
あわてて解析させたらなんと『異世界の勇者たち』と出た。
子供な見掛けなのに実力は大人でもなかなか届かないほどだ。
さっそく招いて依頼した。
なんとしても引き受けてほしい。
彼等は帰還の道を探しているらしい。
「それは私たちでできることなんでしょうか?
ご覧のとおり皆成人前の若輩ものですが。」
控えめな発言はむしろ好ましいものだった。
神さまのお言葉を伝えつつお願いした。
王族の呪いは神殿長さまさえ助かればなんとかなる。
お茶を出すことすら忘れていたのに気づいたのは彼らが出かけた後だった。
もっともあっという間に戻ってきたが。
多分攻略の最短時間だっただろう。
あの薬草を神官がお祈りで増殖させたと言う報告にも驚いたが
製造るべきエリクサーをリーダーが所持していたのにも驚いた。
彼らの師匠からもらったものだという。
我々の物よりはるかに上質なモノ。
回復した神殿長さまは王族を助けることができた。
神官はレシピを教えてくれたが込める魔力がとんでもない量だった。
製造のために集めた神官、魔石、それでも足りない。
勇者たちも魔力を提供してくれてなんとかできたが
もう一度造る事が果たしてできるだろうか?
「祈りの聖力が蓄積して奇跡を起こすように時間をかけて魔力を込めて行けば
ゆっくりでもエリクサーは精製できると思います。
今回は勇者達の魔力がありましたからね。
有効活用ってところですよ。
あせらないで頑張ってください。」
若い神官はボスのドロップ品だという薬の本を写本にして置いて行ってくれた。
中身は全部解明できていないがきっとこれからココの世界のためになると思う。
女神があられもない姿でお出ましになったのにはさすがの勇者達も
オタオタしていた。
神殿長さままで平静を保っておられなかった。
バカンスにお出かけだったそうで驚いた。
彼等は元の世界の神が迎えにこられて帰って行ったが
残して行った功績は忘れられないだろう。
勇者は戦うだけの存在だと思っていたのだがそうではないと
証明して行ったのだから。