魔法使い四人娘。
火魔法が得意な娘
「チャラ男くんってドコからタダ券持ってくるのか知ってる? 」
水魔法が得意な娘
「おとーさんがイベントの会社の役員とかだったんだと思うけど。
関係した会社とか出資した会社とか関係者に配るんでしょ? 」
風魔法が得意な娘
「ああいうタダ券ってなんでタダなの? 」
土魔法の得意な娘
「理由は色々あるんだろうけど人が来ないイベントなんて取材すら来ないでしょ。
人が集まれば宣伝効果が大きくなるんだと思うよ。
ブログとかにでも書いてもらえば口コミ効果もあるでしょうし。
タダだからって気にすることないわよ。」
水魔法
「でもイベント以上のイベントだったよねぇ。召喚だなんて。」
火魔法
「魔法使いだって言われて驚いたけど元の世界じゃあほとんど使えない
というか手品なんだもんね。魔法少女になり損ねたわね。」
風魔法
「あー、魔法少女やってみたかったわよねぇ。
まあ、アノ世界でできたから私はちょっとだけ満足したわよ。
チャラ男くんはイイ所があんまりなかったよね。
でも意外とちっちゃい子にはやさしかったんだね。」
土魔法
「あのおこさまゆうしゃくん可愛かったわよねぇ。
マモルくんが天才だって言ってたけど中身はやっぱり普通の子だって思ったよね。
あんな子をムリヤリ召喚して魔物と戦わせただなんてヒドイ話だよ。」
風「私たちだってムリヤリ召喚されてんのよ。
しかもあの子と戦わせようとしてただなんてもうあきれちゃった。
マモルくんがキレちゃったのも無理ないわぁ。」
水「マモルくんたちって召喚は初めてじゃあなかったんだね。
どうりで魔法を教えるのが上手だったワケだよね。」
火「まあ、おかげで無事に帰ってこられたんだから文句は言えないよね。
ところで気づいてる?
英語がやけに簡単な気がするのって帰って来てからだよね。」
土「あぁ、それね。マモルくんに聞いたら私たち召喚で
えーと、異言語理解ってスキルが付いちゃったそうなのよ。
召喚陣にそういう機能が付いてたんだって。
メイワク掛けられた報酬だと思っちゃえばイイわよ。」
火「へぇ、私たちあのおこさまゆうしゃくんと遊んだくらいで
なんにもしなかったのにねぇ。イイのかしら。」
土「いーんじゃないの?
あのバイトみたいな人が黙っててって言ってたからコレも
口止め料みたいなもんだと思っとけば。」
風「親がなんだか妙な顔して黙っとけって言ってたしね。
召喚されましたなんてバレて変な取材とか押しかけられてもメイワクだもん。」
水「僧侶な先生まで召喚経験があるなんて知らなかったね。
実家がお寺さんだなんて誰か知ってた?
でもまあ、おかげで不在も誤魔化せたし有り難いと思うわよ。」
火「ところで最近チャラ男くんが『おでかけ』に付き合ってくれなくなったよね。
どうしたのかしら? 」
土「あぁ、最近はマモルくんたちと一緒みたいよ。
まあ、彼が『おでかけ』してたのってお母さんが亡くなってからだったから
きっと寂しさの裏返しだったんだと思うよ。
彼がいるとボディガードってほどじゃあないけど余計なのが寄ってこないから
良かったんだけどね。」
風「そっかー、彼も元気が出て来たのかもね。良かったわ。
でも、もうタダ券は回してもらえないのかしら? 」
水「ダイジョーブよ。
実を言うともう回してもらっちゃってるの。
この間みんなの言ってたアレ! フフフ、ゲットしちゃった。
皆の分もちゃんとあるわよ。予定空いてる? 」
こうして『魔法使い四人娘』は召喚でも大したショックも受けずに
『手品四人娘』になったとさ。
めでたしめでたし。