船の護衛。
川には川の魔物が住んでいる。
まあ、陸ほど種類は多くないがそれなりに強い。
定期航路なので仕事は途切れないし慣れた仕事で比較的楽なのは確かだね。
それでも数が多くて困る時もある。
今回は客が手伝ってくれた。
ギルドに登録したての新人で勝手に手を出したのを謝ってきたが、
まあ助かったからな。
怒るのも大人げないだろう。
神官と魔術師のコンビだったが新人のくせに強かったよ。
三日目にかなりデカイ水蛇の魔物が出てヤバかったんだが
川に叩き落されたオレ達を拾い上げてくれたし水蛇の首をぶったぎったし、
回復魔法まで盛大に使いまくってくれた。
まあ、命を恩人だあね。
ところが水蛇の代金をオレ達にも分けると言ってきた。
そりゃあ嬉しくても受け取れないよなあ。
やっつけたのはアイツラだしな。
「次に会うことがあったら助けて下さい。」
なんて言いやがったんだ。
次に会うことがあってもまた助けられちゃいそうだが。
なのであいつらが下りたところで宴会を開いたんだ。
でもチビのほうはともかく神官のほうはもう大人だと思ったんだけどなあ。
酒を飲ませちまったんだ。
まあ、チビの怒ること怒ること。
ハハハ・・平謝りしちゃったぜ。
あの二人が同じ歳だなんて詐欺みたいなもんだろう。
王都に行くと言ってたよ。
あの停泊地からだと馬車で3日だが一緒に行くやつは幸運だ。
何しろあの実力だから安全そのものだろう。
アイツらの行く先がオレ達と同じだったら良かったんだがな。
仲間の魔術師は水魔法を練習に余念がない。
「オレ、水魔法は飲み水がすこし出せる程度だったんだ。
でもアイツが言うには少し頑張れば川にお前らが落っこちても
拾い上げられるくらいになれそうなんだ。」
そう言いながら客が飛ばされた帽子を水魔法で拾い上げた。
「まだ人を拾い上げるまでは行ってないんだがもう少しで
できそうな気がするんだよ。」
そんなにしょっちゅう川に落ちたくはないんだがな。
客も喜んでるしやる気になるのはいいことだ。
アイツらにまた会えるかどうかは分からんが
会えたらまたビックリさせられそうな気がするよ。
こっちもビックリさせられるくらいに成れるといいけどな。