塔のテッペンのケチな先王。
もう私はココから出してはもらえないらしい。
まさか後を継ぐことになったのが末の息子だなんてなぁ。
私が王になった頃は今よりずっと国は貧しかった。
王族にさえ食べるのがやっとの者もいたのだ。
無駄を省き節約し値切れるモノはなんでも値切った。
それこそナリフリ構わずに、、
そうして国を立て直したのだ。
それがいけなかったと言うのか?
ドワーフの武器を値切ったのの何処が悪い!
アイツラはいつでも値段を吹っかけて来たんだ。
値切った値段で払ってやるつもりだった。
なのに短気なヤツラでいきなりな感じで戦争に突入してしまったんだ。
戦力で勝てるとは思えなかった。
武器は連中のほうが専門家だしな。
もうどーしようもなくなって勇者を召喚しようという弟達の言葉を
退けられなかった。
アレは禁じられた邪法だったはずなんだが、、、
でも、出てきたのは頼りなげな男と子供達、、
こんな子供なんかで、、、
男は怒り狂っていた。
どーやら子供たちの保護者的な人物のようだ。
だが王に逆らうなど許すわけにはいかない。
ソノ男を捕らえたことで子供たちは大人しくなったと思った。
ところがなんとクーデターを起こした。子供なのに!
宝物庫にため込んだ数々の宝物をドワーフの要求の倍も渡し
魔力で私を拘束し騎士たちを電撃の魔法で制圧した。
増援も風魔法で入って来られなくした。
「王さまやりたい人いますかぁ?。」
誰も答えなかった。
答えられなかった。
剣士が脅していた。
盛大な魔力のこもった剣を軽く振りニコニコと笑いながら。
「王さまの代理とか次の王さまのための予備が王族なんだろ?
誰もいないんなら王族なんか要らないんじゃないか?
いーぜ。
オレが全部〔元王族〕ってヤツに加工してやっても。」
弟たちは貴族たちの陰に隠れた。
私の子供たちは氷ついたように動けずにいる。
そーしてまだ子供な末の息子が、、、
あの子の勇気はほめるべきだろう。
殺されるかもしれないのに手をあげたのはあの子だけだった。
だがまだ子供のあの子に王などできるのだろうか?
あの子は時々私の所にやってくる。
出して差し上げられないと詫びながら泣いていた。
お前のせいではない。
もう誰も私のことなど訪ねても来ない。
他の子供達も来ようと思えば来られるハズなのに、、
大臣たちはなぜか楽しそうだと言う。
私は国を豊かにしようと一生懸命だったのだ。
どこかで大臣たちとはズレがあったのかもしれない。
まあ、、、いまさら、、だな。
あの子は皆に見捨てられたような私に会いに来てくれる。
せめてあの子の役に立つようなことをアドバイスしてやれたらと思う。
新しい王、、か、、
古い私のアドバイスなど無い方がイイのかも、、、とも思う。
こんなことも未練なのかもしれない。
あの子とこの国のことを祈ることくらいしか私にできることは
無くなってしまった。
それでもあの子供達を恨む気にはなれないのは何故だろう。
勝手な召喚をしでかしてソレにしっぺ返しされたようなものだからだろうか、、。
彼等のオカゲで王族達の正体が分かったからだろうか、、
まあ、考える時間はタップリある。
ひたすら国の事だけ考えてきたがもう王ではないのだ。
あの子はココを快適な空間として整えてくれるし粗略な扱いでもない。
早めに隠居したと思うことにしよう。
ココは眺めもイイから閉じ込められている憂さもさほどじゃあないからな。