王さまになったことをチョッピリ後悔してるケチな前王の末の王子。
父王の評判が良くないことは皆分かってたんだ。
でも逆らえなかったんだよね、だって王さまなんだもん。
ドワーフに頼んだ武器の代金を踏み倒したって聞いて意味の分からなかった
「踏み倒す」って言葉がわかったよ。
あー、、そういうことをしてるから評判が悪かったんだね。
そりゃあドワーフだって怒るよね。
オマケに戦争したらボロ負けに負けてるんだもん。
勇者の召喚をしたくもなるよねぇ。
大人とお兄さんお姉さんたちだったけど大人の男の人が
スッゴイ怒って抗議してたよ。
まあ、、、そーなるよね。
言うコト聞かなかったら、、
勇者は女の子で大人の心配してた。
なんだか可哀そうだったよ。
ところがどー見てもオマケに見えてた男の子達が予想外なコトをやってくれた。
クーデターだ!
最後通告に来たドワーフの使者には武器の代金の20倍もの価値の宝物を
魔法のカバンごと渡してたし父王を魔力で拘束するし護衛の騎士たちには
電撃の魔法で打倒した!。
電撃の魔法を使うことができるのは勇者だったはずだよね?!
女の子だけが勇者じゃあなかったんだ!
チビな男の子が父王の王冠を取り上げて
「王さまやりたい人いますかぁ?。」
と聞いてきた。
でも、だーれも返事をしなかった。
できなかったのかもしれない。
電撃を放った勇者が
「王さまの代理とか次の王さまのための予備が王族なんだろ?
誰もいないんなら王族なんか要らないんじゃないか?
いーぜ。
オレが全部〔元王族〕ってヤツに加工してやっても。」
ニコニコと笑いながら剣を振って見せた。
えーと、、〔加工〕って、、、(汗。)
お、、脅しだよね、、、
でも立太子を控えていた長兄も次の兄もそのまた次の兄も勿論お姉さまたちも
怯えるばかりで返事もできなかった。
父王の弟である叔父たちも何人か居たのに「オレは違う!」とばかりに
他の貴族の中に隠れてしまった。
だって隷属の首輪もチョイって感じで外しちゃうし電撃の魔法も風魔法も
威力が見たこともないほど強力だったんだ!
軽く振ってる剣に盛大な魔力が込められてるってボクにも
分かるくらいだったんだよ。
返事をしないとみんな〔加工〕されちゃうかもしれない!。
気が付いたら手をあげていたんだ。
自分でも震えてるのが分かったんだけど。
王なんてできるとは思ってなかったよ。
みんなを〔加工〕されたくなかったんだ。
そーしてボクは玉座に座って王冠をかぶっている。
でも、どー考えても王冠を載せておくための台になった気がしてるんだよ。
お手伝いをしてくれる宰相も大臣たちも父王の時より
なんだか楽しそうに見えるんだよね。
ドワーフとの戦争には負けたのに楽しそうっていいのかなぁ?。
時々、塔の上に引っ越しした父王に会いに行く。
でも出して差し上げることはできないんだよ。
みんなが反対するしね。
出して差し上げたら殺そうとする人もいるそーだから、、、
兄達はなんだか恨めし気な目で見て来ることがあるんだよ。
でもあそこでボクが手をあげなかったら〔加工〕されてた
かもしれなかったからね。
そんな目で見て来られても、、、
勇者達は彼等の世界の神さまが迎えに来て帰っていった。
なので長兄に王をやってもらいたいと宰相や大臣たちに相談したんだけど、、
「あちらの世界の神さまはかなりお怒りだったそーです。
ココの世界の神さまからも厳重な注意を頂きました。
このまま陛下に王を務めてほしいとの思し召しでした。
我々もそう願っております。」
どーして長兄じゃあイケナイんだろう?
父王を止められなかったのは皆同じだと思う。
ボクだって、、、
「陛下は震えておられましたね。
それでも王族の方々を守ろうとなさいました。
皆さま成人でしたが陛下はまだ未成年です。
成人のできないことをなさったのです。
資格はソレだけで充分です。」
「王としての仕事はこれから覚えて下さればよろしいのです。
我々もできる限りのお手伝いをさせていただきます。
どーかご退位などお考えになりませんように。」
結局、王を続けているんだよ。
アノ勇者たちのことをチョッピリ恨めしい気持ちになったりするんだけどね。
勝手に呼び出して勝手に戦争に使おうなんてした側だから
本当は文句なんか言えないんだけど、、、
王位を継ぐなんて重い責任なんて背負わずにのんびりと
端っこの王族でよかったのに、、、
まあ、それでも皆が期待してくれてるのは分かるからね。
できることからやって行こうと思ってるんだよ。
兄達にも仕事をしてもらうのがいいかもしれない。
敗戦国なんだからノンキな王族って訳にはいかないってことを
分かって頂こうと思うんだ。
ボクだけ仕事漬けってのはヤだもんね。