手助けが何もできなくて歯がゆいゲンコツ女子。
他人の恋愛には口出し無用だと思っていたのよ。
だって自分のことなら口出しなんかして欲しくないから。
ホントに好きなら何を言っても言われてもムダだと思う。
恋愛が持続できるモノかどうかは別にして、、
神官ちゃんと高校生勇者の二人には口を出したくても手助けをしたくても
何もできなかった。
お互いに住む『世界』が違う。
国際結婚より遥かにハードルが高かった。
最初は高校生勇者をロリコンなのかと疑ったわね。
でも彼は彼女が神官だということ、自分と彼女の年齢差、
彼女の気持ちがまだ幼くて恋愛感情までは行っていないと思えること、
そして彼女が住んでいるのは異世界だということを鑑みて
自分の気持ちを告げることもなく帰って来た。
ただただ彼女の為に、、、
でも彼女は彼と居たいと、、
ただひたすら側に居たいと追いかけて来てしまった。
欠損部位の復活のできる神官になるという名目で、、。
異世界間の転移には膨大な魔力と精緻な術式の魔法陣が必要なはずで
危険が一杯だったはずなのに、、
それでもココに滞在が許された二人は幸せそうだった。
一年の期限があると分かっていたのに、、
なかなか素直に自分の気持ちを言わない、言えない勇者。
〔勇者〕なのに、、と何度思ったことか、、
元魔王と神官ちゃんをからかうフリで煽ってもみた。
まあ、大した成果が出る訳でもなかったけど。
それでも余計な口出しは控えたつもりだった。
一年が過ぎる前に彼女は名目上の目的を成し遂げた。
もう神官ではなく聖女と言っていいと思う。
でも、目的を果たしたら帰らなければならない。
ココでの滞在は上の方の許可で許された。
バイトなあの人でもめったに変更はできないそうだ。
あの二人が泣いていても何もできないなんて、、
マモルくんが彼を継続的に彼女の世界に派遣できないかと
言い出したのにはホントに驚いた。
ずっと彼女の世界に居るのは難しくても何度も行くことができるならそれは、、、
神官ちゃんが元の世界に帰っても高校生勇者の気持ちは揺るがなかった。
神官ちゃんもきっとそうだろう。
上の方の許可が下りた時はみんなホッとした。
あの二人はこれで同じ時間を過ごすことができると。
イケメン君と私は同じ世界に居て同じ時間を当然のように過ごしている。
召喚されて戻れなくて泣くしかなかった事もあったけど無事に連れ戻してくれた。
ただ一緒に居られるということがどんなに貴重で嬉しい事なのか身に染みている。
だから何も手助けできなかったことが悔しいと思う。
あの二人がどーなるか私にわかる訳もないけれどこのまま
一緒にいるということを大事にしてほしい。
まあ、そんなことなんか本人たちが一番分かってると
分かってはいるんだけどね。