九人目の勇者。
オレは自分が勇者だなんて思ったことも無かった。
だってオレの世界にはちゃんと強い勇者がいたんだよ。
魔族と小競り合いを繰り返してる所なんでいてくれるだけで万々歳だったよ。
よーするにオレは一般人だったんだ。
なのに召喚されて勇者なんだと言われた。
そんなのウソだろー!って思うよな?
でもウソじゃあなかった。
オマケに召喚主は獣人で呼び出されたオレ達よりもずっと強そうだったんだ。
隷属の首輪なんかなくたって逆らう気にもなれなかったよ。
だから自分たちでやればいいのにって思ってたんだよ。
なのに子供まで召喚してるなんてねぇ、、。
指示されたところを攻略して来い!なんて命令されてもみんな
ほとんど一般人な感じの連中だったからできる訳ないよな。
オマケになんだか端から〔敵〕だって連中にとっ捕まってた。
まあ、纏めて行って来い!って気持ちはわかるけど、、、
アイツラはオレ達より、多分獣人達より強いと思うね。
二人だと思ったら四人でガキまでいるのにそのガキの方が大人より強かった。
オレの後で召喚されてた子供は意外なことにスゴイパワーで
アイツラを手こずらせてた。
でもどーやら経験がアイツラのほうが上だったんだろう。
実は勇者の雷魔法を見たことがあったんだ。
アイツラの一番チビなヤツがソレを使ったんだよ。
アイツラも勇者だったんだな。
十人目だった子供は連中とは知り合いだったんだそうだ。
まあおかげでオレ達の帰還はスムーズだった。
「この子を庇って下さったそうでありがとうございます。
以前も召喚されて帰還させてもらえなかったりしてました。
まだこんなに小さいのに、、、。
なんとかおかあさんの所に帰してあげられます。
あなた方も大変でしたね。」
まあ、、勇者だなんて言ったって獣人連中の言う事を聞くしかなかった
マヌケだからなぁ。
子供にはあんなことはさせたくなかったし、、。
お礼なんか言われるほどの価値なんかオレ達には無いんだけどな。
アイツラもアノゴーレムの召喚陣で来たんだそうだ。
でもオレ達よりレベルが上だったせいか獣人には捕まらず
ココの神さまに頼まれて事件を解決してくれたそーだ。
オレ達のレベルが高ければ獣人の言うことなんか聞かずに済んだのか、、、、
今回の事でオレは一般人じゃあなく勇者だって分かった。
アイツラほどでなくても少しは鍛えてレベルアップしておけば
面倒ごとが減るかもしれないな。
もっともあんまり目立つとその面倒ごとがかえって増えるかもしれない。
一般人のほうが楽だからな。
勇者だってことは秘密にしておきたい。
フフフ、、秘密の勇者、、だね。
なんか、カッコイイ気がする。
元の世界の人たちには秘密にできた九人目の勇者でしたが
神さまに隠せるわけもありませんでした。
なので彼は神さまからいろいろ頼まれて勇者のお仕事をするハメになってます。
正体が分からないので希望どーり〔秘密の勇者さま〕になれました。
よかったね。(笑。)