送り狼A。
チビッこいガキだった。
歳を聞かれて13なんて言ってたがどうみても
10になってるのか? って感じだった。
魔物のウサギなんぞを売り払って食料を仕入れてた。
ちょっとオレラの小遣いくらいにはなる額は持ってる。
まあ、ガキだからちょっと脅せば簡単に金を出すと思ったんだよ。
甘かったね。
3人がかりで周りを囲んだのに怖がった風もない。
殴ろうとしたら反対に殴られた。
ニコニコと笑ったまま他の連中をのしていった。
ヤバイと思った時にはノサれてた。
身ぐるみをはがれて木の上に縛り付けられた。
「ガンバレばほどけるよ。服は隣の木に掛けとくから
頑張ってね。あー、稽古代にお財布の中身はもらっとくね。
ココのお金はあんまり持ってないんだ。」
ガキだと思ってたのにガキの姿をした魔物だったのかもしれない。
他の連中も
「アイツ、オレ達を殺せたよね。笑顔がコワイって初めて思ったよ。」
「もう、ガキには手は出したくない・・チビはもうたくさんだ!
アイツをやっちまおうなんて言い出したお前が悪い! 」
賛成したのはお前だっただろ!
でもまあ、あんなバケモノに会うとはさすがにみんな思わなかったってことだな。
結局ほどけなくて通りがかった村の知り合いに助けてもらった。
誰にやられたのかは黙ってたがあのガキがその頃に村を出て行ったのを
覚えてたヤツがいてバレた。
あー・・あとは想像どおりだよ。
村長にも、親どもにも説教をくらったし笑われた。
でもあんな弱っちく見えるガキだったんだぜ!
ちょっと小遣い稼ぎしたくなるだろ。
まあ、おかげで素寒貧にされたんだがな。
アイツは弱っちいガキに見えることを反対に利用してるのかもしれない。
あの方向なら隣の街に行くんだろうが街の連中が簡単に騙されるのが
目に見える気がする。
しばらく街には行けないな。
アイツが居るかもしれないと思うと怖いし。
まあ、素寒貧だから何処にも行けないんだけどな。