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ミスった火魔法使い。

みんなには言って無いがオレはこれでも国に雇われてたことも有る。

まあ、貴族連中に目の敵にされちまって辞めたんだがな。

だから自信だけは山のように持ってたんだ。


あんなことは初めてだった。あんなミスは、、、

魔法をそらせただけじゃあなく味方に被害を与えたなんて、、


賄い係はドジだが気のいいヤツでメシも美味かった。

だから決してワザトじゃあない。

護衛はみんなベテランだったから一目でみんなコレはダメだと分かったと言った。

、、、助からないと、、、。


ところが商人がなぜかウキウキ顔で雇ってきたチビがなんと

上級の回復魔法で治してしまった。

神官の回復魔法を見たことはもちろんある。

だがソレはソコにいた全員が驚いたほどの威力だった。


まさかコイツは、、、


「だから遠慮なんかいりませんよ。

こういう魔法は使うほど精度が上がりますしね。

まあ、練習台にされたと思って諦めて下さい。」(笑。)


賄い係に話しかけているのが聞こえた。

練習台、、、か、、。


オレの自信はもろくも崩れた。

落ち込んだなんてもんじゃあない。

だけどチビがまさかフォローを入れて来るとはねぇ、、

何度も一緒に仕事をした連中でさえ声を掛けるのをためらってる風だったのに、、、


・乱戦になったらミスがでることも有る。

・イメージと集中を明確に保ち続けるのは疲れる。

・オレも散々師匠に叱られた。


・色々な属性が使えても特化した人には敵わない面がある。

・威力では負けなくても精度で負ける。

・要するに器用貧乏だ。

・でも常に最高峰の威力が必要な訳じゃない。


「だからオレ程度でも役には立つ訳なんです。」


そんなことを隣に座って訥々と話した。

こんなスゴイ実力を持ってても悩みはあるのか、、、

オレの方が年上なんだがなぁ、、、

こんなチビに落ち込んでる所を見せてばかりも居られないと思ったんだよ。


賄い係に詫びを入れた。

殺しかけたんだから許してくれないかと思ったんだが、、


「ワザトやったんじゃあないと分かってるからイイよ。

チビに礼を言ってやってくれればそれでイイ。

だけど食料がほとんどイカレちまったんだ。

チビも提供してくれたし商人も村で仕入れてくれたんだが

やっぱり領都までには足りないかもしれない。

狩りをしてくれるように護衛連中に頼んでくれないかな?。」


護衛仲間はよろこんで協力してくれた。

チビが索敵してくれるので簡単な仕事だった。


何かチビに礼をしたかったが何を持ってる訳でも無い。

なので魔法談義をしながらオレの持ってる技術を全部教えた。

コイツは魔法が好きなヤツだというのはすぐに分かった。

目をキラキラさせてたからな。


教えてもらったからとチビも色々自分の技を披露してくれた。

魔力の量はだいぶ違うハズだがそれでもオレにもできるのもあって

得をしたのはオレの方な気がしたよ。


アイツは自分の故郷に帰る方法を探してたんだそうだ。

領都の神殿で神託をお願いすることにしたと言う。


神殿の神官には親戚が一人いたので訪ねた時に聞いてみた。

ソイツの言うことにはなにか神殿のトラブルを解決するのを手伝ったらしい。

ちゃんと神託を貰えて故郷に帰ったそうだ。


アイツは賢者って感じじゃあないと思ったのでソイツの意見を聞いてみたら

口止めしながらこう言った。


「彼は実は『勇者』です。

それも神殿の記録にある勇者達よりもレベルの高い勇者です。

神殿のトラブルを解決するために召喚されたんです。

予定より彼のレベルが高すぎたようで出現場所がズレたんですけどね。」


勇者か!、、、なるほど、、、。

なんでもできる訳だ、、、。

なのに本人は「器用貧乏」なんて言ってたんだよな、、。


「でも、もっと強い勇者もいるんだそうでその勇者の

一番弟子なんだそうですよ。

まあ、上には上がいるって言葉はホントなんですねぇ。」


そーか、、謙虚なのはそのせいかもしれない。

変な自信だけを膨れ上がらせてたオレなんかアイツからしたら

カスみたいなもんだろうなぁ、、


「だからオレ程度でも役には立つ訳なんです。」


そうだな。いつでも勇者が必要なわけじゃあない。

オレでも役に立つことは沢山あるはずだ。

アイツが色々と教えてくれた技もある。

なんだか初心者だった頃の謙虚さを思い出した気もするしな。


商人はアイツのことを「ラッキーボーイ」だと言っていた。

ラッキーは生かさないと意味がないだろう。

生かせるように頑張ってみようかね。

アイツに会えたこと自体がラッキーだったと思うからな。

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