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料理は美味いのにドジな賄い係のオッサン。

 オレが雇ってもらえてるのはアノ商人が親戚だからだと分かってる。

それでもいろいろ工夫もしてるんで料理はそれなりに美味いはずだ。


ただ生来のドジはなかなか治らない。

極力気を付けてはいるんだがそれでもついつい・・な。

港街で商人のアイツが雇ってきたガキは変なヤツだった。

護衛のハズなのにオレの手伝いなんかしたがるし・・

ドジを見兼ねたみたいだな。


おかげでドジが少し減った気がする。

気のせいかもしれないが。


アイツは索敵ができるとかで魔物や賊を早めに感知したんで

護衛の連中は喜んでいた。

先制攻撃ができるし気付かれていると分かれば襲って来ないこともあるからな。


でも襲われたときに魔術師が火魔法を逸らしちまったんだ。

オレの乗ってた賄い用の馬車には食料が満載だったのに。

オレも大ヤケドで痛いなんてもんじゃあなかった。

コレで死んじゃうんじゃあないかと思ったくらいだったよ。

だけどチビがなんだか強力な回復魔法を掛けてくれた。


商人が連れて来た時はこんなチビなんか役に立つのか? と思ったんだよ。

オレが一番助けてもらうなんてなぁ。


「仲間の負傷は仲間が治して当然ですよ。

領都までですがオレ達は仲間ですからね。

神官さんよりは下手ですから遠慮はいりませんよ。」


商人が神官だったら大枚のお布施が必要だと断言した。

そ・そ・そ・そんなにスゴイ魔法だったんだ・・


「だから遠慮なんかいりませんよ。

こういう魔法は使うほど精度が上がりますしね。

まあ、練習台にされたと思って諦めて下さい。」(笑。)


練習台・・ねえ・・(汗。)


アイテムボックス持ちだったんだそうで燃えた食料の補填をしてくれたそうだ。

馬は無事で荷台もなんとか残ってた。

アイツは魔法で道具類も治したし水の容器も水も出した。


「色々できるんですけどね。

できるだけで専門家には敵いません。

間に合わせ程度ならなんでもできるんで便利には便利です。

ダチどもには器用貧乏って言われてるんですよ。」


確かに便利なヤツだよなぁ。

なんでもできるって・・


でも専門家が必要な事態ばっかりじゃあないからな。

コイツは敵わないって言ってるけどオレにかけた回復魔法は

並の神官には負けてないって商人の保証付きだ。

器用だけど貧乏だなんて思えないよな。


魔術師はオレに詫びてきた。

アイツのオカゲで跡もほとんど残らなかった。

わざとやったわけじゃあないしな。

アイツに礼を言ってくれればイイということにした。


アイツはちゃんと魔術師のフォローなんかしてたよ。

魔術師は少ないからな。

ずっと落ち込んでいられても困る。


商人はアイツは異世界人で帰り道を探してたんだと言った。

異世界人かどうかはともかく帰り道が分からなかったのか。

神殿に行ってみるって言ってたって? 

神頼みで解決できるんならイイんだがな。


まあ、帰れなくてもあれだけ魔法ができるんだ。

この国で暮らすのに苦労は無いだろう。

それこそ〔器用〕なんだからな。

たとえ〔貧乏〕な目に会ってもアイツなら平気な気がする。


商人は「アイツはラッキーボーイだ! 」と言う。

あー・・そうか・・オレ達はそのオコボレを貰った訳だ。

死にかけた所を助けてもらったんだ。

オレには特大のラッキーだったな。


前に神殿にお参りしたのは何時だっただろう? 

たまにはお参りしてみるのもイイかもしれない。

まあ、アイツの事をお祈りしてもバチは当たらないよな。

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