表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/142

もう一人のマモルくんな子役くん。

子役なんかする気はなかった。

性格が暗いからって心配した親に劇団に放り込まれたんだ。

イヤイヤやっててもイイことなんか無いハズだったんだけど

なぜか結構目立つ役が来た。


殺陣をやってるもう一人のオレだという子には驚いたね。

周りのおっきな連中が一目置いてるのがオレにも分かったよ。

まあ、一番うまいと思えたんだ。


演技はできないそうで殺陣じゃあない部分がオレの役だった。

悪役側の幹部のワガママ息子でコイツのワガママのせいで

作戦が台無しになるという設定だった。


まあ、シリアス展開の合間の息抜き的な存在みたいだね。


映画のデキはそれなりに良かったようで次回は続編だそうだ。

でも、オレと同じくらいだった彼はほんとは周りのデカイ連中

と同じ歳だったそうであっという間に背丈が伸びていた。


あの役はチビな息子の役なのに・・

どうすんだろうと思ってたらなんとオレに殺陣をヤレ! だと! 


結局アイツラと一緒に殺陣を叩き込まれた。

アイツラにできるんならオマエにもできるハズだ! だってさ! 

勝手なコト言うなー! 


でも、監督に逆らえるわけもなかった・・(涙。)


大変だったよ・・

連中はなにか武道をやってるらしくてハードな動きでも

息も切らさずこなしてるんだ。

演技はできても運動は並なオレに付いて行けって無理! 


さすがに気の毒に思ったらしくて彼とその仲間たちは色々と丁寧に教えてくれた。

大人の指導係もいたけど彼の指導のほうが上手いと思ったね。

妙なドリンクまで譲ってくれたりしたんだ。

変な味だったけど元気が出てくる気がしたね。


どんなことでもできるようになるってのは楽しい。

あの連中ほどはなかなか動けないけどソレナリにできて

監督にもほめてもらえたんだ。

アクション系の仕事は子役にはほとんど無いけど子役は

いつまでもできる訳じゃあない。


アクションができればそういう仕事が来るかもしれない。


連中は製作会社のエライさんの息子の友達なんだそうだ。

エライさんがわざわざ造ったマネジメント会社に登録して

殺陣とかスタントとかのアクションの仕事をしている。


監督がアイツラの後輩になれるように話してくれるそうだ。

ありがたや。


殺陣をヤレ! なんていわれた時はどうなる事かと思ったけど

なんとかこなせたのは彼と仲間の連中のオカゲだね。


映画の主役さんは連中と仲がいい。

一緒にトレーニングなんかしている。

主役さんは主役になりたかったんじゃあないそうだ。


「引き立て役というか脇役を目指してたんだけどね。

どういう訳か主役なんかが廻って来たんだよ。

主役なんてコレッキリかもしれないと思って引き受けたんだけどね。

まさか続編までつくるとは予想できなかったよ。」


そうなんだ・・

てっきり目指せ主役! な人だと思ったんだけど。

まあ、オレだって殺陣とかのアクションなんて頭に無かったからなぁ。


最近はダンスも始めた。

ほとんど趣味みたいなもんだけど体を動かすのが楽しくなっちゃったんだ。


子役ができるのもあと少しだろう。

役者を続けるかもまだ分からないけどイヤイヤやってた頃が

遥か昔の事みたいに思える。


もう一人のオレなはずの彼ほどにはまだ動けていないけど

もう少し頑張ってみようと思う。

なんといってもコレは「楽しいコト」になったんだもんな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ